ナタリー PowerPush - WEAVER

前向きエネルギー全開! 幸せを呼ぶ「笑顔の合図」

「66番目の汽車に乗って」はWEAVERの根っこ

──カップリング「66番目の汽車に乗って」は、資料によるとかなり古い曲だそうですね。

杉本 はい、オリジナルを作り始めてすぐの高2~高3くらいで作りました。それまでギターバンドだった僕らが、この曲で初めてピアノを入れて。この曲をきっかけに、ピアノバンドとしてやっていこうっていう気持ちになれたんです。

──現在のWEAVERの原点といえる曲なんですね。

杉本 そうですね。この曲を作った頃は、お客さんが0人とか、2~3人とか、そういう中でずっとやってたんです。だからこそ、もっとたくさんの人に聴いてほしい、こんなことやってるんだって知ってほしいっていうのを、曲に詰め込んだんです。今聴くと、やりすぎだろうみたいなアレンジもあるんですけど(笑)、自分たちが伝えたい思いが詰まった、根っこになってる曲だと思います。

──やりすぎだろうと思うのは、アウトロの壮大なピアノアレンジとかですか? でもそこから今おっしゃった「ピアノバンドでいくんだ!」っていう当時の気持ちが伝わってくる気がします。

杉本 そうだとありがたいです。思いを込めすぎて、今演奏しても難しいなって思うんで。昔、よくこんなん弾いてたなって(笑)。

奥野 僕はこの曲のアレンジのときにベースラインをめっちゃ考えた記憶があります。今は割と杉本がデモを作る段階からリズムが決まってたりするんですけど、当時は全く何もない状態からで。杉本にまず「コード教えてー」って言うところから始まり、本当に1音1音に対して、ああでもないこうでもないって言いながら作った思い出がありますね。今は自分たちの技術もあの時よりは向上したし知識も増えたので、作ろうと思えば短時間でアレンジもできることもありますけど、この曲は、何も知らないからこそ全てをつぎ込んでる感じがあって。今後、またそういうアレンジもやってみたいですね。

──Aメロのベースのうねりとか、かなり耳に残りました。

奥野 16~17歳で、やっぱり目立ちたい年頃だったので(笑)。どうやったらカッコよくて、音楽的にも後悔しないものができるかってことをすごく考えてたんだと思います。でもそれってバンドにとって大事なことだと思うし、今回改めてレコーディングをしてその気持ちを思い出しましたね。

当時は絵本みたいなことを考えてた

──この曲は幻想的で美しい歌詞も印象的ですね。これは河邉さんが当時書かれたもののままですか?

河邉 はい。今改めて歌詞を見ると、この頃の僕は、とにかく自分の書きたいことを書きたい、自分が思い描いてる世界をめいっぱい表現したいってときだったのかなって思いますね。自分の好きな言葉を使って好きなものをたくさん書いて、それが楽しい!ってときだったなと思うし、そういう部分は今読んでもワクワクした気持ちにさせてくれますね。最近はどうしたらもっと伝わるんだろう?とか、聴き手のことを意識して書くようになっているので。

河邉徹(Dr)

──歌詞のイメージはどんなところから?

河邉 当時、「なんで夢を見れるんだろう?」とか「どうやったら夢の世界で生きれるんだろう?」みたいなことを思ってたんです。で、夜寝てたら、夢の世界へ連れってってくれる汽車が現れて……というようなストーリーを想像して。そういう絵本みたいなことを考えてたんです(と、照れながら下を向く)。

杉本 自信を持て(笑)。

──でもすごく河邉さんらしいというか、夢のような世界に浸れるファンタジックな歌詞だなって思いました。また、メロディも河邉さんの世界観と通じる雰囲気がありますし。

杉本 具体的に銀河とかをイメージして作ったわけじゃないんですが、この曲は「笑顔の合図」と作り方がちょっと似てるかも。当時はオリジナル曲も全然なかったし、そんな中で、これからどうしようって迷うときもあって。でも、とにかく音楽でもっと周りの人を幸せにしたいとか、自分自身も幸せになりたいっていう思いが強くて。この曲はそういった思いから書いたメロディなんです。河邉の言った「夢」も、もちろんその中に含まれるし、歌詞に近いロマンチックな感じというか、流れるようなメロディを意識したところがあります。

ニューシングル「笑顔の合図」/ 2011年12月21日発売 / 1260円(税込) / A-Sketch / AZCS-2017 / Amazon.co.jpへ

CD収録曲
  1. 笑顔の合図
  2. 66番目の汽車に乗って
  3. 泣きたいくらい幸せになれるよ
  4. 笑顔の合図 杉本雄治独奏曲(Piano Instrumental Ver.)
  5. 笑顔の合図(Instrumental Ver.)
【初回プレス分特典】

「笑顔の合図」ピアノ独奏曲
杉本雄治手書き楽譜封入

WEAVER(うぃーばー)

杉本雄治(Vo, Piano)、奥野翔太(B)、河邉徹(Dr)の3人からなる神戸出身のスリーピースピアノバンド。2004年に高校の同級生同士で結成され、2007年に現在の編成となる。メンバーの卓越した演奏テクニックと、ピアノの音色が印象的なメロディアスな楽曲が魅力。2009年10月に配信限定シングル「白朝夢」でメジャーデビューを果たし、デビュー翌日にはflumpoolの日本武道館公演でフロントアクトを務める。2010年2月にメジャー1stミニアルバム「Tapestry」を、同年8月に亀田誠治をサウンドプロデューサーに迎え、au LISMO CMソング「僕らの永遠~何度生まれ変わっても手を繋ぎたいだけの愛だから~」などを収録したアルバム「新世界創造記」をリリースする。その後もコンスタントにリリースとライブを重ね、2011年8月に杉本のピアノ独奏を含むアルバム「ジュビレーション」を発表。同年12月にシングル「笑顔の合図」をリリース。