新たなアンセムソングに
──EPの3曲目は「DISCOVER」。スケール感のあるサウンドで、広い会場で鳴っていたら映えるだろうなと感じました。
「DISCOVER」もストックの中にあった曲です。合うタイアップが来たときのために取っておいた曲。でもなかなか曲に合うタイアップが決まらんし、もうライブのアンセムソングにしようと振り切って今回出しました。これからのセットリストに食い込んでくる曲になると思います。キャッチーでWANIMAらしさもある中で、今までのWANIMAにはない感じもある。音の広がりが感じられる場所、音抜けがいい場所でやったらかなり合うんじゃないかなと。このインタビューを読んでくれた人たちは、しっかりこの曲を覚えてきてください!
──お客さんがシンガロングできるようなパートもありますよね。さっきおっしゃっていた今までのWANIMAと違うところというのは、スケール感のあるサウンドなどでしょうか?
そうですね。「DISCOVER」もそうですが、このEP自体、「バンドサウンドってこんな感じよな」という固定観念を外して俯瞰して作れたなと思います。「今のWANIMAはこういうことができるんじゃないか」と思ったことを表現できた。時間はかかるかもしれないですけど、少しずつできることを増やしながら、気持ちを落とさずにバンドを続けることがこれからのWANIMAのキーポイントなのかなと思ってます。
──確かに今作の収録曲は、何かに似ているということはまったくないんですけれど、KENTAさんがいろいろなものを見て吸収したものをアウトプットした音なんだろうなと、「DISCOVER」を聴いても感じられました。少し前にONE OK ROCKのツアー(9月から10月にかけてアジア、北米、ヨーロッパで開催されたワールドツアー「ONE OK ROCK 2024 PREMONITION WORLD TOUR」)のヨーロッパ公演を観に行かれていましたが、KENTAさんは海外でライブをしたいという気持ちはありますか?
これまではなかったんですけど、今はやってみたいですね。俺らが挑戦しとる姿にお客さんはワクワクしてほしいです。今までのWANIMAを全部ブッ壊したかったから髪の毛を切ったのもあるし。これまでのスタイルを変えることって、本当に難しいと思うけど、あまり悩みすぎずにやっていいんだよというのをみんなに伝えたいです。居心地が悪かったら環境も変えていいと思います。
──確かにどうしても現状維持というか、保守的になりがちな人が多いかもしれません。
時間は有限だから。それを教えてくれた仲間がいたから、俺はそこに気付けた。攻めながら決めた方角へ進んでいきます。
──その攻めの一部に海外公演も入っているという。
そうですね。お客さんの中には海外の方も多いのでアジア圏からワンチャン狙っていきます。
絶望の先の光
──「爛々ラプソディ」は実写ドラマ「【推しの子】」の第6話の主題歌です。冒頭からかなりラウドで、ブレイクダウンのようなパートもあったりして、ハードコア調なサウンドで驚きました。
聴いた人が一発目に「この曲、WANIMAなん?」と思うような曲にしたかったし、俺らはこういうこともできるというのを伝えたかった。でも無理して作ったわけではなくて、すごく自然にできた。「昔からスタジオでやっとったよ?」くらいの感じ。
──しかもドラマのタイアップ曲としてこのハードなサウンド感のものを持ってくるというのも意外でした。ドラマサイドからは何か要望はありましたか?
「自由に作ってください」という感じでした。
──ではこの曲はどういう思いで作っていったんでしょうか?
言葉にできんような思いを音楽でぶつけました。少しでも葛藤や熱が伝わって「この曲イケててオモロいな」と思ってもらいたくて作りました。絶望しているんですけど、少しの可能性や光を見出したくてあがいている歌です。周りの仲間たちもスカすことなく、不器用ながらもあがいてるやつばかりです。
──ドラマでは劇中舞台「東京ブレイド」の主題歌として流れていて、「爛々ラプソディ」のサウンドと映像がクールにマッチしていました。
チームのみんなと一緒に観ました。カッコよかったですね。
──ドラマの映像もクールでしたが、MVもダークな雰囲気でカッコいい仕上がりですよね。
衝撃的な作品にしたくて。観た人に「え?」と感じてほしかった。そのあたりを監督(Spikey John)といろいろ話しましたね。「Rolling Days」の次は激しい映像にしたかったので、それが表現できてよかったです。
ワンオクのヨーロッパ公演で受け取ったものを曲に
──EPの最後は、「♡Dear Me♡」で締めくくられます。ここまでの4曲とまたガラッと変わって、しっとりとしたエモーショナルな雰囲気の楽曲ですね。
ライブの最後に歌うことをイメージしながら作りました。このEPの中で一番大事な曲です。EPの最後の曲は、ワンオクのヨーロッパ公演を観たあと、日本に帰ってきたら作ると決めていました。ヨーロッパから帰ってきて、自分が何を思うんやろうなと気になったから。ヨーロッパ公演は、ワンオクのTakaから「絶対に今のKENTAは観たほうがいい。ワンオクが海外で10年積み重ねてきたものや、国を越えての葛藤、日本人としてこれから先に向かう気合いと覚悟を見てほしい」と言われ観に行かせてもらいました。そこでいろんな刺激を受けて帰ってきて作った曲がこの「♡Dear Me♡」なんです。
──なるほど。ヨーロッパではどんなことを感じましたか?
周りから「KENTAは海外に行ったほうがいいよ」とずっと言われてきました。それってなんでなんやろうとずっと思ってたんですけど、自分の目で見ること、肌で感じることが大事なんやなと、今回ヨーロッパに行って思えたし、自分で勝手にいろんなことを狭めていたことに気付けました。
──ONE OK ROCKのライブはどうでした?
ひと言にはまとめられないぐらい、いろんなことを感じました。ワンオクは海外で活動を始めてから、今年来年あたりで10年。その10年の葛藤や集大成、これからが鬼のように詰まっていました。僕らがデビューして積み重ねた10年とはまた違って、「チーム一丸となり過酷な環境で戦ってきたんだな」と感じました。
──そうしてKENTAさんがヨーロッパから帰って来て完成させた「♡Dear Me♡」は、未来を見据えているような思いを歌詞やサウンドから感じました。
ホールツアーの最後はこの曲で締められたらなと思います。今は苦しくても幸せに向かっている苦しみならって思えたら少しは気が楽になるのかなって。今はまだ結果じゃなくて過程で、俺らとみんなで未来を変えていくんだよ、と歌で伝えられたらいいなと思います。
──今話題に出ましたが、来年はホールツアー「『Sorry Not Sorry』 TOUR」が開催されます。
「Sorry Not Sorry」のジャケのインパクトが強くてツアーでは攻撃的なWANIMAが炸裂するんじゃないかなと考える人もいると思いますがそれだけはなくて。今のWANIMAをこのEP「Sorry Not Sorry」に詰め込んだので、ホールでEPのコンセプトを伝えたい。あとは、ライブに足を運んでほしいという思いから、「Bear Book」というCDを会場限定で販売しています。昔からライブではやっていたけど、音源にはしていなかった曲たちを集めたCD。「Bear Book」と「Sorry Not Sorry」だけでも曲の振れ幅がかなりあるので、今回のホールツアーではWANIMAのいろいろな一面を楽しんでもらえたらうれしいです。
──ちなみに、この記事が公開されるのが年末の時期なのですが、今年1年を振り返っていかがでしたか?
「爛々ラプソディ」のMV撮影でギックリ腰になったり、右足や喉も傷めちゃったりして。かなり身体的には苦しい思いをしてるけど、それさえも楽しめたらと思って過ごしてました。ナーバスになった日もありましたけど、希望は失わずにいられた1年だったかなと。
──では来年の抱負は?
そうですね、来年は……まずは体を治すこと。そしてビジョンを持ってアルバムを出したいですね。
ツアー情報
「Sorry Not Sorry」 TOUR
- 2025年4月5日(土)熊本県 熊本城ホール
- 2025年4月8日(火)福岡県 福岡サンパレス
- 2025年4月9日(水)山口県 KDDI維新ホール
- 2025年4月11日(金)栃木県 栃木県総合文化センター メインホール
- 2025年4月19日(土)北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)
- 2025年4月26日(土)石川県 本多の森 北電ホール
- 2025年4月29日(火・祝)新潟県 新潟テルサ
- 2025年5月8日(木)東京都 NHKホール
- 2025年5月13日(火)大阪府 オリックス劇場
- 2025年5月14日(水)大阪府 オリックス劇場
- 2025年5月15日(木)愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
- 2025年5月18日(日)和歌山県 和歌山県民文化会館 大ホール
- 2025年5月24日(土)三重県 四日市市文化会館
- 2025年6月1日(日)静岡県 静岡市清水文化会館(マリナート)
- 2025年6月7日(土)広島県 上野学園ホール
- 2025年6月19日(木)岩手県 盛岡市民文化ホール
- 2025年6月26日(木)埼玉県 大宮ソニックシティ
- 2025年6月27日(金)神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
プロフィール
WANIMA(ワニマ)
東京都在住熊本県出身のKENTA(Vo, B)、KO-SHIN(G, Cho)、FUJI(Dr, Cho)の3人からなるロックバンド。2010年に結成された。2014年10月に1stミニアルバム「Can Not Behaved!!」をリリース。2017年12月に「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たし、2018年1月にはメジャー1stアルバム「Everybody!!」を発表。2022年より熊本・熊本県農業公園カントリーパークで主催フェス「WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL」を開催している。2023年10月に3rdフルアルバム「Catch Up」を発売。2024年1月にアコースティック作品「1Time」を配信リリースし、3月にこの作品のアナログレコード盤をリリースした。8月に森永製菓によるキャンペーン「その全力にさしいれを。学校にinゼリー」のテーマソング「Rolling Days」を配信リリース。12月には新作EP「Sorry Not Sorry」を発表。2025年4月から6月にかけてホールツアー「『Sorry Not Sorry』 TOUR」を開催する。
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