WANIMA初のアコースティックミニアルバム「1Time」特集|追憶にひたり、得たものとは (3/3)

「Feel」はさまざまなことが起きた時期の曲

──6曲目の「Feel」は、2021年にニッポン放送「星野源のオールナイトニッポン」にゲスト出演された際に弾き語りで披露されていました。

KENTA ラジオに出させていただいたときに、源さんに「歌っていいよ」と言っていただいたので披露しました。聴いてくれたリスナーがすごく反応してくれて、いつか音源化したいなと思っていたから、今回音源にできてよかったなと思います。その前に、ZOZOマリンスタジアムの無観客ライブで映像と一緒にこの曲の音源を流したんです。今回新たにレコーディングをして、当時のコロナの状況とか、いろんなことを思い出しました。コロナ禍では大事な人も亡くしたし、お世話になった方たちも亡くなってしまって、僕の中でいろんなことが起きた時期やったから。

──この曲の歌詞はどこかコロナ禍を彷彿させますね。

KENTA 作ったのはコロナ真っ只中のときで。「いつもと違う夏は巡る」という歌詞は、花火ができない、祭ができない、フェスができないとかいつもの日常がなくなったときのことを書いています。生きているといろんなことが更新されていくけど、人間は振り返りながら生きていく生き物やと思うから、前に進みながらも要所要所でいろんなことを思い出すことで、また新しく感じられるものもあるんやと思う。静と動を繰り返す中で広く深く感じ合える心の余裕は持っておきたいなと思います。

KO-SHIN この曲は無観客ライブのときには完成していたんですけど、今回は当時とアレンジを変えてレコーディングしました。全曲そうなんですけど、「Feel」はストレートな歌詞なのでそこをより引き立たせられるように、というのは意識しました。

FUJI 無観客ライブのときは自分たちには何ができるだろうと考えていたし、自分たちだけじゃなくてお客さんも楽しみ方を模索してくれて。そういう記憶がよみがえってくる曲ですね。レコーディングでもそのときのことを思い出しながら演奏しました。

ずっとワクワクしたいしドキドキしたい

──ミニアルバムのラストを飾る「Fresh Cheese Delivery」はツアー中、ホテルにこもって制作したそうで。

KENTA ライブとライブの合間に時間が作れたから、KO-SHINと1曲作ってみようとなって。何気なくドライブしながら聴けるような曲を作りたいと思って作りました。僕自身すごく好きな歌詞なんですよ。「山手通り 颯爽と 通り抜ける風」とか、僕らが育った場所、よく通っていた道を歌詞に入れた。山手通りをランニングしていました。その情景や雰囲気を色濃く思い出しました。

──「冴えない朝が来た時は 濃いめのコーヒーと熱いシャワーを」という部分はさわやかで生活感のある歌詞で、アコースティック曲にぴったりの歌詞だなと思いました。

KENTA 日々生きとったら冴えない朝ばっかりやん。晴れの日が少ないからこそ、晴れたときはそれを感じて喜べるって学んだから。些細なことでもいいけど、みんなの生活とつながったらと思って作りました。

──なるほど。Crisp Junkを立ち上げたこともそうですし、アコースティック盤を出すこともそうですし、WANIMAはバンドが変化していくことを臆さない印象です。

KENTA 僕らが成長したら自然と曲も変わってくるやろうし、立ち振る舞いも変わってくるはず。「Catch Up TOUR」はこの間の沖縄で52本目の公演やったんですけど(※取材は1月中旬に実施)、誰も予想がつかんセットリストで全カ所回ってます。WANIMAに触れとる時間が長いからこそ、ずっとワクワクしたいしドキドキしたい。そう思っています。

この先ももっと成長できるはず

──「1Time」を通して聴いて、改めてWANIMAの歌の力を感じました。これはKO-SHINさんとFUJIさんに伺いたいのですが、お二人は今のKENTAさんの歌をどのように捉えていますか?

KO-SHIN 100%の歌声があったとして、「Catch Up TOUR」以前はその半分も出せてなかったんじゃないかなと思います。それが、自分たちが歳を重ねて成長していくにつれて、「歌を届けよう」という思いが強くなってきて。今の歌い方が本来のKENTAの歌い方なのかなと。前の歌い方が嘘というわけじゃないんですけど。自分たちがいろいろな経験をして成長した結果だと思うし、この先ももっと成長できるはずなので、より歌の魅力が伝わるような歌い方や声になっていくんじゃないかなって思っています。支えていけるようにギターを弾きます。

FUJI 今回アコースティック盤で、原曲とは違ってキーを下げてゆったりとした歌い方ですが、それでも聴いてくれた人がすぐにWANIMAだとわかると思う。そう思わせられるのは、KENTAの歌声があるからだと感じたし、先ほど変化という言葉を使われたと思うんですけど、WANIMAは“変化”というよりも“進化”しているなと思っています。

FUJI(Dr, Cho)

FUJI(Dr, Cho)

KENTA 気持ちが乗っとるからこそ出てくる歌の表情っていうのはあると思う。今回過去を振り返ったことで、ここまであきらめずにやってきたから今につながってるということが明確になって、そこでまたさらに気持ちを歌に乗せることができたと思います。

──3月に開催される初のビルボードライブ公演でも、WANIMAの楽曲と歌の魅力を堪能できそうですね。

KENTA 「Catch Up TOUR」は自分たち自身がドキドキワクワクしながら、ヒリつきながら回ってるんですけど、それとはまたちょっと違った感じにしたいです。ビルボードライブはお客さんがお酒を飲めたり料理を食べられたりするので、肩の力を抜いたWANIMAの魅力をお伝えできたらと思います。カバーとかやろうかなーと。提供した曲もいいですね。皆さんは何が聴きたい?

ライブ情報

WANIMA 1Time Acoustic Live

  • 2024年3月2日(土)東京都 Billboard Live TOKYO
    [1st]OPEN 15:30 / START 16:30
    [2nd]OPEN 18:30 / START 19:30
  • 2024年3月4日(月)神奈川県 Billboard Live YOKOHAMA
    [1st]OPEN 17:00 / START 18:00
    [2nd]OPEN 20:00 / START 21:00
  • 2024年3月6日(水)大阪府 Billboard Live OSAKA
    [1st]OPEN 17:00 / START 18:00
    [2nd]OPEN 20:00 / START 21:00

Catch Up TOUR -1 Time 1 Chance-(※終了分は割愛)

  • 2024年2月11日(日・祝)鳥取県 米子AZTiC laughs
  • 2024年2月12日(月)島根県 アポロ
  • 2024年2月17日(土)石川県 本多の森 北電ホール
  • 2024年2月23日(金・祝)静岡県 LIVE ROXY SHIZUOKA
  • 2024年2月24日(土)神奈川県 Yokohama Bay Hall
  • 2024年2月27日(火)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
  • 2024年3月10日(日)岐阜県 岐阜club-G
  • 2024年3月12日(火)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2024年3月13日(水)愛知県 Zepp Nagoya(ゲスト:PEOPLE 1)
  • 2024年4月5日(金)鹿児島県 CAPARVO HALL
  • 2024年4月6日(土)熊本県 熊本城ホール メインホール
  • 2024年4月8日(月)熊本県 熊本B.9 V1
  • 2024年4月10日(水)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2024年4月11日(木)福岡県 Zepp Fukuoka(ゲスト:indigo la End)
  • 2024年5月8日(水)北海道 帯広MEGA STONE
  • 2024年5月10日(金)北海道 Zepp Sapporo
  • 2024年5月12日(日)青森県 青森Quarter
  • 2024年5月13日(月)宮城県 仙台PIT
  • 2024年5月15日(水)山形県 山形ミュージック昭和Session
  • 2024年6月8日(土)広島県 広島文化学園HBGホール
  • 2024年6月9日(日)兵庫県 Harbor Studio
  • 2024年6月12日(水)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2024年6月13日(木)大阪府 Zepp Osaka Bayside(ゲスト:WurtS)
  • 2024年6月18日(火)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
  • 2024年6月19日(水)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)(ゲスト:go!go!vanillas)

プロフィール

WANIMA(ワニマ)

東京都在住熊本県出身のKENTA(Vo, B)、KO-SHIN(G, Cho)、FUJI(Dr, Cho)の3人からなるロックバンド。2010年に結成された。2014年10月に1stミニアルバム「Can Not Behaved!!」をリリース。2017年12月に「NHK紅白歌合戦」に初出演を果たし、2018年1月にはメジャー1stアルバム「Everybody!!」を発表。2023年9月2、3日に熊本・熊本県農業公園カントリーパークで主催フェス「WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL 2023」を開催し、10月に3rdフルアルバム「Catch Up」を発売。2024年1月にアコースティック作品「1Time」を配信リリース。同年3月に「1Time」のアナログレコード盤をリリースする。