我儘ラキア×Nob(MY FIRST STORY)|共鳴し合う、ラウドな音楽の体現者たち

「音がラウドならそれでいい」とは思っていない

──MIRIさんがおっしゃったように、最近はラウドな曲を歌うアイドルが増えていますよね。そういう現状をどう捉えていますか?

我儘ラキアとNob(MY FIRST STORY)。

星熊 あまり気にしてないです。ラウドというジャンルの音って様式美があるから、そういう音にすればラウドをやってるという見え方にはなると思うんですけど、ラキアはそういう人たちとは中身が違うから負ける気がしないし、マジ、気にしてないです。

MIRI めちゃ尖ってる(笑)。

星熊 自分たちは本気でやってるし、「音がラウドならそれでいい」とは思っていないから、ほかの人たちのことは気にしてないです。

──Nobさんは、自分たちと同じようにラウドな音楽をやってるアイドルがいることについてどう思っていますか?

Nob シーンが盛り上がるという意味では必要なのかもしれないですけど、個人的には何も気にしてないです。言い方は悪いですけど、俺もマジで興味ないし、好きなことをやってるだけなんで。ラキアに関しては、今、彼女も言いましたけど、本気度が違うというか。それはレコーディングのときにもマジで思いました。ラップが入ったことで何か言われるかもしれないですけど、俺らもいろいろ言われながらも続けてきたからこそ「これはマイファスだね」と言われるようになったので、ラキアも3年、4年、5年と続けていくうちに、「ああ、ラキアだね」と言われるようになると思います。

続けたらオリジナルになる

──アイドルシーンにおいて異端な存在として扱われることが、パワーになっている部分はありますか?

MIRI マジであります。このアルバムのリリースを発表したときもSNSでいろいろ言われたんですよ。

星熊 「バンドのネームバリュー使っちゃって、お前ら、だっせえな」って。「は? しばくぞ?」みたいな。

Nob あっはっはっ!(笑)

MIRI それがツアーファイナルの前日だったんで、いい燃料になりました。もちろん落ち込むこともあるけど、一瞬落ち込んでから「いやー、面白いこと言ってくれんじゃん」みたいな(笑)。

星熊 批判されるほうが力が湧いてくるというか。「絶対負けたくない!」みたいな。

MIRI で、ライブで「クッソみたいなツイートもあるけど」という熊のMCを聞いて、また燃え上がる、みたいな。

Nob うちも昔はそんな感じでしたけど、そういう時期はもう過ぎて、今はのびのびやってます。昔はムカつくことばかりでしたけど、今は何も言われないし。たぶん、うちらは似てるんだろうね。

星熊 ふふふ。

──何を言われても自分を貫き通すことが大事なんですね。

Nob さっきも言ったように、続けたらオリジナルになると信じてずっとやってますね。

──心強い言葉ですね。

星熊 心強いです。新しいことをするときって絶対に批判されるし、今まではそういうことを言われるような環境にはいなかったからまだ慣れない部分はあるけど、今の流れを絶対につかみたいし、批判が来る分、燃料が貯まっていくと思います。

MIRI みんな、目に付くから嫌がると思うんですよ。でも、目に付くことってめちゃくちゃラッキーだなと思っていて。それって嫌でも目に入ってくるってことじゃないですか。だから、それをきっかけに興味を抱かせることができたら勝ちだと思ってやり続けています。

──怜奈さんはラキアが異端な存在であることについてどう思っているんですか?

川﨑怜奈

川﨑 私は周りの人たちが言ってることは気にしてなくて、「勝手に言っとけば?」って感じだし、「ステージで見せよう」という気持ちです。星熊とMIRIがステージで感情をぶつけてくれる分、私はパフォーマンスでどう見せるか考えています。

──すごく大事な存在ですね。

Nob うん。

星熊 怜奈はラキアで一番明るくて、精神が安定してるから。

MIRI 私たちが沸騰しすぎているときに怜奈の笑顔を見ると「あ、落ち着かなきゃ」と思うし、いい意味でステージを浄化してくれる存在です。

星熊 一番冷静にステージを見てくれています。

川﨑 でも、私も2人が沸騰してることでやる気が出てくるし、「今日は行ったろう!」という気持ちになります。ラキアはいいことがあればみんなで共有するので、それがステージにも影響してると思います。

──バンドみたいですね。

Nob バンドです! (川﨑、MIRI、星熊、海羽の順に)ドラム、ギター、ボーカル、多分……ベースです。

一同 (笑)。

アイドルの価値を一新したい

──ラキアにとって、アイドルというジャンルは壊すものですか? それとも広げるものですか?

星熊 最初は壊そうとしていたんですけど、「じゃあ、なんでアイドルやってんの? アイドル辞めてバンドやったら?」と言われたときにハッとして。アイドルをやってることがコンプレックスだったけど、今は逆にそれが武器になると思ってるから、「壊す」というよりも、「広げる」というよりも、「高める」。アイドルの価値を一新したいし、アイドルに対する意識を変えたいです。これまでの認識が古いものになるぐらい、新しい価値を生み出したいと思います。

──今は低く見られがちな存在だけど。

星熊 この数年でアイドルという壁は壊せないことがわかったし、壊そうとすればするほど押さえつけられるから、そこでどう咲くかというところにヒントがあるのかなと思ってます。

MIRI 私も「壊す」も「広げる」も違うと思っていて。アイドルを本気でやってる人も本気でやってない人も言うと思うんですよ、「アイドルがナメられてる!」って。でも、ステージで「ぜってえナメられたくねえから!」と言ってる人ほどダサいじゃないですか。そういうことを言ったり、Twitterでいろいろ書いたりすることもできるけど、そんなことやってる暇があるなら私は曲を書くし、その感情は別の場所にぶつけたほうが成長できる。「私たちはロックバンドです!」「アイドルです!」って自分たちから発信しなくても、周りで見てる人がそれを決めればいいし、ラキアに対して「お前らはアイドルだ!」と思うならそう思ってくれたらいいし、ロックバンドだと思うならその人にとってのロックバンドであればいいと思う。私たちは自分たちのやるべきことをやるだけだと思います。

我儘ラキアとNob(MY FIRST STORY)。