13人の個性ひしめく GANG PARADE
──GANG PARADEは13人という大所帯ですが、この人数でどのようにグループのパフォーマンスをまとめているのかが気になります。
アイナス 2021年までGO TO THE BEDS、PARADISESとして活動していたメンバーがGANG PARADEとして再始動して1年が経って……5月に私とカ能セイが入って、活動休止していたナルハも戻って、今の13人体制になりました。私の昇格が決まったときは10人だったんですけど、まさかさらに3人入るとは思いませんでした。ただ3人が人数として増えたというだけのギャンパレにはなりたくないと思って、今もまだ試行錯誤中です。過去曲の既存のフォーメーションをガラッと、13人用に作り直しました。例えば「Plastic 2 Mercy」のフォーメーションを組み直すのに3日くらいかかりましたし、激しいパフォーマンスを試しながらなので練習中にぶつかって怪我をしそうになることもありました。でも、とにかく大人数であることは武器だと思っているので、みんなでその武器をどう生かすかにこだわって活動しています。
──大所帯のパフォーマンスで全体を把握するのって難しいですよね。
アイナス そうですね。でもステージのバミリ(ステージの横位置を確認するために床に書かれた数字)がすごく細かいんですよ。1.75、2.25とか。私と(カ能)セイは「そこズレてる!」ってよく怒られます(笑)。
チッチ 確かにそんなに人数が多かったら「邪魔だよ!」と強めの口調になっちゃうのもわかる気がする。しかも人数が多い分、悩みも多いと思うし、つまずくことも多いと思う。でもあきらめないで軍隊のように、鉄人のように突き進んできたギャンパレのメンバーだから私は心配はしてなくて。ただ「不器用だな」って思うことがすごくあるから、ついズカズカと入り込みたくなっちゃうし、実際にマイカ(キャン・GP・マイカ)、ココ(・パーティン・ココ)、テラシマ(ユウカ)、ドク(ユイ・ガ・ドクソン)とかには「BiSHだったらこうする」って言っちゃうことがあります(笑)。もう関わって8年くらいで長いから、そういう会話はやっぱりあるんですよね。
──ちなみにヤママチミキさんからはこの1、2年で“後悔の念”のような思いをよく耳にしています。「グループのメンバーが分裂して活動することになったこととか、大きな変化があるのは自分たちに足りないものがあるから」と。
チッチ それは確かにそうかもしれない。やっぱりBiSHとはグループとしてのあり方、個人の性格も生き方も全然違うからこそ、今のギャンパレがあるんです。その礎になってるのはヤママチと(ユメノ)ユアちゃんの2人ですよね。そのあとにマイカが入って、グループに振り幅や柔軟さをもたらした。ヤママチとユアの2人がガシッとしてやってきたものを柔らかくしてきたのがマイカだと思うから、その流れが今の体制につながってると思います。メンバーが13人もいること自体、超強みですよね。13個の悩みがあれば13個の動き、可能性があって。バラエティ要素もすごく強いし。BiSHはコントしたってウケないから。
トギー BiSHのコントも面白いです!
チッチ 人それぞれだと思うけど、なんでもユニークなことができるギャンパレがすごくうらやましく思います。
アイナス コントはドクに任せることをやめて、(キラ・)メイとベビ(チャンベイビー)がメインで台本を作って、ドクが微調整するという流れになっています。それとライブだと自己紹介後のMCをベビが固定で担当しているんです。ベビは今、スベり芸を極めようとがんばっているので、注目してもらえたらうれしいです。
トギー ギャンパレとは去年の夏に一緒にツアーで一緒だったんですが、見ていると振付は確かに大きく変わってましたね。大所帯のよさをわかりやすく示そうとしているのもわかったし、ライブでも大所帯ならではの魅力を感じました。特に1mmもズレないようなフォーメーションには驚きました。
攻めの姿勢崩さず邁進中 ExWHYZ
──ExWHYZは“大型新人”とも言えるグループですね。EMPiREメンバーで昨年結成されて以降、活動休止していたmidorikoさんが今年1月に復帰してやっと足並みをそろえて突き進むターンかと思うのですが、EMPiRE時代と比べての変化はどんなところにありますか?
mayu EMPiRE解散を経たことでメンバーそれぞれのチャレンジ精神が強くなったと思います。もっとこうしたほうがいいとか、意見を出し合うことも増えたし、アグレッシブな感じがそれぞれ出てきたのは大きな変化ですね。それもこれもEMPiRE時代の積み重ねがあったからこその今だと思います。ExWHYZは「xYZ」(1stアルバム)で豪華なクリエイターの方々に参加いただいたんですけど、それはプレッシャーでもありました。みんなけっこう切羽詰まってましたよ(笑)。松隈(ケンタ / SCRAMBLES)さんの曲で育ってきた中、はじめましてのクリエイターの方々と一緒に作っていくというのは簡単なことではなかったです。でもメンバーみんなすごく前向きで、なんでもポジティブに捉えられるので、迷うことがあっても、新しいことに対しては不安より先に楽しみな気持ちが強いんです。だから明るい雰囲気で進めたらいいなって。日本武道館公演も決まりましたし、より一層気合いが入っています。
ミク 私はExWHYZさんのことがEMPiRE時代からすごく好きなんです。だから武道館が決まったことにはファン目線ですごく感動しています。同じWACKグループとして思うことは、私たちは「武道館に立ちたい」と口に出したとしても、現実味がなさすぎるんです。でもいちファンとしてずっと応援していたグループが武道館に立つんだという現実には震えました。
mayu そうなんですよ。EMPiREを結成した当初から担当してくれていたスタッフさんたちだし、メンバーとの関係もフラットに近い感じはあります。だからこそ、頼まれたらがんばりたいし、こちらからも思ったことを伝えられる環境ですね。ライブでのオープニングSEの「xYZ」という曲があるんですけど、もともとは踊る予定じゃなかったんです。でも「SEで登場して、そのまま踊れたらカッコいいよね」って話をしたら実現に向けてチャレンジできたり、自由な環境でうれしいです。
ネガティブに飲み込まれず突き抜けられるか ASP
──ASPは昨年の夏にメジャーデビューを果たし、ライブの動員も徐々に伸びているというところですね。
チーチー ASPは去年の8月にメジャーデビューして、12月にZepp DiverCity(TOKYO)で「GOD SAVE the ASP TOUR」のツアーファイナルを終えました。私とリオンタウンが加入する前の去年のWACKツアーのことをナイちゃん(ナ前ナ以)がこの前、振り返っていたんです。「気合いが入ってたけど、気合いしかなかった」って。今は1つのライブごとに何が必要かを噛み砕いてライブをするようにしています。
──チーチーさん本人としてはライブを重ねるごとに得るものがある状況?
チーチー 去年の4月に私とリオンタウンがASPに加入してからは2回ツアーをやらせていただいたんですが、1回目は正直、自分のことしか考えられていなかったです。2回目のツアーは、ファイナルが会場キャパ的にも私たちにとってチャレンジになったZepp DiverCity(TOKYO)ということもあって、そこでどういうライブをしたいか、そのためにツアーの各公演でどういうライブをしたらいいか、Zeppでのライブの先にどうしたらいいか、そんなことを考えつつ回っていました。そうやって状況を噛み砕いたうえで活動できる状況に少しずつなってきました。
──「もっとこうしたいのに!」というジレンマを抱えることもある?
チーチー ASPはうまくいったことよりも失敗したことに気持ちを持っていかれがちで。根暗なメンバーが多くて(笑)。ライブ終わりは「ここがよかったね」みたいな会話よりも「ごめんね」ってみんなで謝り合っていることのほうが多いんです。
チッチ グループもいろいろですよね。でもライブが終わって最初に話すのは反省じゃなくて「楽しかったかどうか」にするべきで。「楽しかったね」が先に共有し合えていたら、その次に反省でもいいんじゃないかな。その反省はマイナスなことじゃないと思っていて。私がよく言うのは「失敗したかどうかではなくて、自分たちが楽しかったかどうか」。これが一番大事で、「みんなが楽しかったら、それがライブの正解だよね」と。反省しないのはダメだけど、人間誰だって失敗しちゃうのは当たり前だから。BiSHのメンバーだって、大きなライブで1人1回はミスしちゃうの。でもそれを引きずって「よくなかった」というモードにするよりは、気持ちの問題で、どんなライブでも楽しかったかどうかを自分たちから引き出す。それを踏まえても楽しくないと感じたなら、よっぽどよくないライブだったってことになるから、そういうときにしっかり反省できるように。あまり考え込んでライブしても、堅苦しくなっていいライブにはならなそうだし。
トギー 間違えすぎもよくないですけど、次のライブで間違わないようにする、気を付けるぐらいでいいのかなって。だから「すいませんでした」が恒例になってるとしたら、間違えた瞬間に「ああ、今日も謝らなきゃ」って思っちゃいそう。ライブ中に気持ちが下がる流れになるんじゃないかなって。
チッチ それは嫌だね。謝るのが好きな人なんていないもん(笑)。
チーチー 最近は女性限定、学生限定のツアーをやっているんですけど、普段のツアーとは会場の雰囲気が違って、参加できるお客さんが限られている分、いい意味で“内輪感”があるんです。そういう変化を楽しめるようになっているし、WACKツアーでも楽しいと感じるかったと思うところがあるので、それをもっと共有できるようにしたいです。
──それで言ったら3期BiSもトライ&エラーを繰り返しながらバランスを取ってますよね。昔は気合いが入りすぎてから回ったこともありましたし。
トギー 2年前かな、BiSHとWACKツアーで一緒になったときは暴走しました。「BiSHよりいいライブをしなきゃ、BiSHよりカッコいいって思ってもらわなきゃ」って考えすぎて、お客さんのことを置いてけぼりにしちゃって。すごく気合いの入ったライブはできたけど、出番のあとにBiSHのライブを観て、「あ、なんか間違えたな」って。やっぱりお客さんを楽しませる、自分たちが楽しむという気持ちがないライブって、どれだけ気合いが入っていても、カッコいいとは思えないんだろうなって。もしASPが今、あのときのBiSと同じような感じになっているなら、もっとよくなれると思いました。
チーチー ありがとう。
チッチ トギーが「ぶっ殺します」とか言ってたときのライブだよね。うちらはどうでもいいと思っちゃったんだけど、あのときの勢いというか、前のめりな感じがすごかったよね。でもなんかもったいないなと思ってた。
トギー あのときは家に帰って反省しました……。
チッチ メンバーが楽しんでライブをすることが一番。メンバーが楽しんでいたら、お客さんだって楽しいわけで。重たいライブをするとお客さんだって困るから。
トギー でも誰もが通る道なのかもしれない。その負けん気の強さが前面に出ちゃうみたいなタイミングが。そこで気付けたら、いい経験になる。
新メンバー加入も崖っぷち 豆柴の大群
──豆柴の大群は昨年12月にカエデフェニックスさんが脱退し、1月に新メンバーが加入しましたが、メンバーチェンジのみならず激動の1年を過ごしましたね。
アイカ 12月に「豆柴の大群なりの合宿」をやらせていただいて、新メンバーのレオナエンパイア、モモチ・ンゲールが加入しました。個性の強いメンバーが入ってきて、グループとしてより一層明るくなったと思ってるんですけど、新メンバー以外の4人が合宿で結果を出せなくて。「1年間で成長できなかったら脱退」という形で猶予期間を与えられました。なので、この期間でメンバーそれぞれが変化できなかったらもう4人は豆柴ではいられないという崖っぷちな状況です。でも新メンバーが入ってきたからこその刺激があって、今は「自分にも誰にも負けていられないぞ」という考えに至っています。豆柴のメンバーはみんな自由なところがあって、それが実はダメなところでもあるんです。だからそのダメなところを出さないように修正していかないといけない。新メンバー2人には嫌な思いをさせたくないから、1年の猶予があるとは言え、1日でも早く成長できるようにしたいと思っています。
──アイカさんは表立って意見する印象があまりないんですが、かなり悩んだんじゃないでしょうか。
アイカ はい……。正直な話、活動しながら「このままじゃダメなんじゃないか」と感じる部分があったんです。「こんな練習でいいのか」とか。メンバーに思ったことを伝えてこなかったけど、合宿を経て言えるようになってきたし、そのおかげでみんなの練習の姿勢も変わってきたと思います。バラバラの個性は私たちの武器ではあるけど、そろえるところはしっかりそろえたい。そういうことも言い合えるようになったので、これまで以上の速度で成長していきたいです。それと……。
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チッチさん……意見するのが怖いときどうしたらいいですか?