バレーボウイズ ネギ&前田流星、植野秀章(HOLIDAY! RECORDS)、DAWA(FLAKE RECORDS)座談会|平成最後の“なつやすみ”を彩る決定盤

どうやら弟がバンドを始めたらしい

植野 DAWAさんがバレーボウイズを知ったのはいつ頃だったんですか?

DAWA HOLIDAY!が扱い始めた頃から知っていて……実は音源を扱わせてくれって前にメールしてるんですよ。ホームページから。

ネギ えー! たぶん俺が見落としていますね。すみません……。

DAWA そういうケースは多いから大丈夫(笑)。俺、自分から声をかけることはあんまりなくて、基本的には待つ側で。で、なんで知ったかと言うと、HOLIDAY!のTwitterで見かけたのと、流星の兄貴の凌と知り合いなんですよ。あいつが15歳くらいからずっと知ってて。凌はSeussのドラマーなんですけど、その前はDIMってバンドをやっていてその頃から知ってたんです。で、どうやら凌の弟がバンドを始めたらしいっていうのが耳に入ってきて。

左からDAWA、前田流星(Vo)、植野秀章、ネギ(Vo, G)。

流星 兄貴は中学生の頃からバンドをしていてすごくうらやましかったんです。俺もバンドをやりたいという気持ちはあったけど、友達に音楽してる人はまったくいなくて、それからは兄貴と同じことはせんとこと思っていました。大学に入って絵を描き始めて、気付いたらバンドをやることになっていて。でも絶対黙っておこうと思ってたんです。

DAWA 流星が黙っていても周りからバレていくんやろ?(笑)

流星 てらくんがライブを観に来て広めちゃったんですぐにバレました。

DAWA 顔がすごく似てるのに、意外とみんな気付いてないんだよな。てらとのスプリット(「RECORD STORE DAY JAPAN 2017」にあわせてリリースされたカセット「大人になれやしねえ」)がうちで最初に扱ったバレーボウイズの作品。あれな、親父が店に買いに来たぞ。最初は気付かなかったんやけど、あとで前田兄弟の親父だって知って。

流星 親父は俺らのことを応援してくれていて、バレーボウイズのライブもSeussのライブも友達をいっぱい連れて遊びに来るんですよね。ヘンな親父です……(笑)。

6人の音楽でのアウトプットがバレーボウイズ

植野 音源を扱うってことは気に入ったからやと思うんですけど、どういうところが気に入ったんですか?

DAWA さっきも言ったように俺らからすると懐かしい音楽を、懐かしいと感じずにやっているところ。それでいてライブはフィジカルが強いというところが新鮮だと思って。日本語がうまく乗ったメロディと誰でも歌いやすいスピード感なところもええよな。男女混声バンドって、男と女のパートがバラバラにあって、どこかで混ざることが多いけど、バレーボウイズはずっと一緒に歌っていることが多くない?

ネギ そうですね。あんまり歌い分けはないです。

DAWA 資料にも「合唱しようぜ!」ってあるけど、そういうコンセプトだからなん?

前田流星(Vo)

流星 いや、そういうわけじゃないんですよ。ネギちゃんは合唱が好きっていろんなところで言ってるけど、ほかのメンバーは別にそういうわけでもなくて(笑)。最初7人集まったときに、楽器を持っている人は楽器を演奏して、何も持っていない俺とじゃあぱ(ボーカルのオオムラツヅミ)は歌うことにして、ホンマにそれが始まりなんですよ。だから自然と2人がボーカルになった。合唱したかったと言うより、みんなで演奏するのが楽しかったから、今のスタイルになった感じですね。

DAWA そうなんや。そもそもネギはなんで宅録からバンドをやることにしたん?

ネギ 「アサヤケ」を作ったときに自分の声がハマらなかったんです。つまり自分の伝えたいことが自分1人で作れるものでは収まらんなって気付いたんですよね。流星は昔から仲がよくて普段からよく鼻歌とか歌っているのを聴いていて、俺の曲を流星に歌ってもらったらきっと自分が望む形で伝えたいものを伝えられると思ったんですよ。だからボーカルは流星って決めていて。合唱したいと思ったっていうのはまた別の話で、バンドだったら人数もいるしみんなで歌えるなって。無意識にその2つが重なったと言うか。

植野 初めて合わせたときに「望んでいたのはこういうスタイルだ!」とピンと来たの?

ネギ いや、ピンとは来なかったですね。でも流星が歌ってくれてるだけで俺は満足だった。それでみんなも一緒に歌ってくれたらもっと楽しくなるだろうなって。予想外だったのはじゃあぱのコーラスで。じゃあぱのパートは全部本人が考えているんですけど、「そこに言葉入れんの!?」みたいな、じゃあぱにしかできないコーラスを入れてくるんですよ。

流星 あれはホンマにすごいよなあ。ネギちゃんと俺が歌っても全然バレーボウイズの歌にならないんですよ。最後にじゃあぱがコーラスを入れると、バレーボウイズとして全部がまとまる。このスパイスがないとバレーボウイズにならないんだっていつも感動しますね。

ネギ 宅録の頃は俺の曲だったけれど、今は九鬼(知也)くんやチャッキーも前に出たり後ろに引いたりをうまいことやってくれて、俺の範疇を超えたと言うか。でも俺が伝えたいことをみんなが自分なりに解釈して歌って、演奏してくれて、体現してくれるから、最終的にちゃんと俺がやりたかったことができるんだろうなって。それは最近思うようになったんですけど。

DAWA 最終的なイメージをみんなで共有している感じがあるよね。できあがったときにみんなで「これや!」と思えるものが。

流星 そうですね。みんなもともと絵を描いたり、いろんな作品作りをしたり、アウトプットの方法がそれぞれあるんです。バレーボウイズはみんなの音楽のアウトプットの場で、ネギちゃんの作る歌を軸にみんなそれぞれ自分なりの表現をしていて。ライブは特にそういう場だと思います。でもアートワークやグッズも込みでバレーボウイズの作品だと思ってもらえたらうれしいですね。

やっと今現在の俺らが表現できた

──7月4日発売の「なつやすみ'18 猛暑」ですが、昨年発売した「なつやすみ」の収録曲をベースに新曲を加えたミニアルバムになりました。なぜ今回はこういう形でのリリースとなったんでしょうか?

左からDAWA、前田流星(Vo)、植野秀章、ネギ(Vo, G)。

流星 これまでは今ある曲を詰め込んだ感じで作品を作っていたんです。最初の「なつやすみ」はまさに「これがバレーボウイズの夏休み」っていう感じで出したけど、1年経って聴いてみると、今の自分らならもっと表現できたんじゃないかなと思って。

ネギ 曲同士のストーリーは無視やったもんな。今回で言うと、「マツリ~猛暑~」と「ミラーボウル」は続けて聴いてほしい曲だったんです。でも「マツリ」は半年前くらいからライブではアレンジを変えていたので、7人で録り直して「猛暑」と付けました。もともとあった曲に今の俺らがやりたい曲を入れて、やっと今現在、2018年の俺らが表現できたんじゃないかなと思っています。

植野 なあ「卒業」って曲、いろんな作品に入れてるけど一体何回入れるの?(笑)

流星 「卒業」をもっと広めたくて。3月に公開した「卒業」のミュージックビデオもすごく気に入っているので、もっとみんなに観てもらいたいんですよね。だから今回も入れました。2018年のバレーボウイズには「卒業」が必要だったんです。どの曲がよかったですか?

DAWA 俺は「フラッシュバック」かな。

植野 「フラッシュバック」いいですよね。ライブでもいいなと思っていました。「海へ」もよかったです。新曲がどれもいいですね。さっき一発録りだって言っていた「タイトルコール」は完全に即興なん?

流星 完全に即興ですね。まだ完成してないと思っているんですけど、今の完成形はこれです。

ネギ コードとかはみんな知ってるけど、終わりを決めずに演奏する曲なんです。俺が「終わるよ」っていう雰囲気を出してジャーンとみんなで終わらせるという。

バレーボウイズ「なつやすみ'18 猛暑」
2018年7月4日発売 / felicity, Volleyboys Club
バレーボウイズ「なつやすみ'18 猛暑」

[CD]
2160円 / PECF-1156

Amazon.co.jp

収録曲
  1. アサヤケ
  2. 海へ
  3. マツリ~猛暑~
  4. ミラーボウル
  5. 夏休みがおわる
  6. フラッシュバック
  7. 卒業
  8. タイトルコール(チャッキーの家ver.)
ツアー情報
「なつやすみ'18 猛暑」リリースワンマンツアー
  • 2018年8月19日(日) 東京都 下北沢BASEMENT BAR
  • 2018年8月22日(水) 大阪府 LIVE HOUSE Pangea
バレーボウイズ
バレーボウイズ
前田流星(Vo)とネギ(Vo, G)を中心に、京都精華大学の学園祭「木野祭」出演のために2015年に結成された男女混声6人組バンド。哀愁を帯びたギターサウンドに乗せてノスタルジックなメロディを“合唱”するスタイルが特徴で、2017年にavex、DUM-DUM LLP、HOT STUFF、lute、ULTRA-VYBEがタッグを組んで行ったライブオーディション「TOKYO BIG UP!」でグランプリを獲得した。同年夏には「FUJI ROCK FESTIVAL 2017」にROOKIE A GO-GO枠で初出演。2018年7月に永井聖一プロデュースの2ndアルバム「なつやすみ'18 猛暑」を発表する。
FLAKE RECORDS(フレークレコーズ)
大阪、南堀江にて店舗を構えるレコード、CDショップ。世界中から厳選した新譜の新品レコードを軸に、日本のインディーズものまで幅広く音楽を扱う。オーナーのDAWAは取扱商品のセレクトに加えて、自社インディレーベル・FLAKE SOUNDSの運営や海外バンドの招聘、イベントのDJなど、多岐にわたって音楽にまつわる事業を展開。アーティストからの支持も厚く、CHAIやLOSTAGE、tricotらはFLAKE SOUNDSから作品をリリースしている。
HOLIDAY! RECORDS(ホリデイレコーズ)
国内のさまざまなインディーズアーティストの自主制作音源を販売するセレクトショップ。実店舗を構えず、Webやイベント出店でアーティストの音源や音楽にインスパイアされたデザインのオリジナルグッズを販売している。