バレーボウイズが7月4日に2ndミニアルバム「なつやすみ'18 猛暑」をリリースした。
昨年7月にリリースした「なつやすみ」をアップデートした本作は、猛暑が予想される平成最後の夏にぴったりな1枚となっている。音楽ナタリーでは「なつやすみ'18 猛暑」の発売に合わせて特集を企画。バレーボウイズから前田流星(Vo)とネギ(Vo, G)、そして彼らをよく知るレコードショップFLAKE RECORDSのDAWA、セレクトショップHOLIDAY! RECORDSの植野秀章による座談会を開いた。バレーボウイズを内側と外側から紐解くこの座談会の取材は流星が暮らす京都のシェアハウスにて行われた。
取材・文 / 清本千尋 撮影 / 塩崎智裕
音源はよかったけどジャケが……
──この家は京都精華大学の卒業生たちが代々受け継いでいるシェアハウスなんですね。
前田流星(Vo) はい。バレーボウイズからは俺とチャッキー(高山燦)がここに住んでいます。「なつやすみ'18 猛暑」に入っている「タイトルコール(チャッキーの家ver.)」はここで一発録りしたんですよ。
──ではさっそく皆さんにお話を聞いていければと思います。HOLIDAY! RECORDSはバレーボウイズの活動初期から彼らの音源を扱っていますが、植野さんはどこで彼らを知ったんですか?
流星 秀章さんとは俺らが初めて学校の外でやったライブで会ってるんですよ。
植野秀章 バレーボウイズのライブは観れなかったけどね。よく覚えてるなあ。
DAWA それっていつ頃なの?
流星 2年前の夏ですね。ネギちゃんが先にライブ出演を決めて、そのためにみんなで集まって練習して出た最初のライブです。
ネギ(Vo, G) Easycomeってバンドの友達で、さとえちゃんっていう音楽好きな女の子がいて、その子が俺の宅録音源を聴いて「企画をやるから出てほしい」ってDMで出演オファーをしてくれたんです。俺らは学校内でしかライブをやったことがなかったからホンマに俺らで大丈夫かな?って思っていました。
DAWA へえ、そうなんや。
ネギ で、秀章さんが「俺はまだ観れてないけど、バレーボウイズってバンドがいいらしい」って、てら(大阪のシンガーソングライター)くんに伝えて。それでてらくんがライブを観てくれて、みんなに広めてくれたんです。でも秀章さん、そのあとライブを観てもらう前に音源渡しましたよね。
植野 あー、ばったり会ったときにもらったわ。ネギの宅録でジャケットのイラストがおどろおどろしくて。でも聴いてみたらすごくよかったから販売したいと思ったんですけど、ジャケが……という感じだったので、どうしようかなって思ったんですよ。だからオブラートに包んで「ジャケ変えたらどう?」って伝えて(笑)。
昭和歌謡っぽいとは思っていなかった
流星 その頃はまだバレーボウイズの音源って言うよりも、ネギちゃんの宅録だったよね。
植野 そうそう。当時はバレーボウイズがネギのソロなのか、バンドなのか曖昧だった。
DAWA 宅録のときから今みたいな音楽性だったの?
植野 いや、なんかカセットでダビングしてそれをダビングしたぐらいの奥まった音のサイケな感じで。音像もカッコいいなと思ったし、何より曲がよかった。タイミング的にはnever young beachとかミツメみたいな懐かしさと新しさが共存していると言うか、リバイバルともまた違う音楽が注目を集め始めた頃だったんだよね。ネギからもらった音源はネバヤン以降、なおかつマック・デマルコ以降と言うか、サイケデリック感と昭和歌謡がごっちゃになった感じでローファイサウンドで……とにかくよかったんだよ。
DAWA 今の若い子たちの音楽に対して「昭和歌謡」というワードが出るたびに思うんやけど、「昭和歌謡っぽい」と懐かしむのはおじさんおばさんだけで、本人たちは実体験がないわけだしそういう意識がないんじゃないかなって。それが自然に出てきたものだから面白いんだと思うんけど、実際のところ昭和歌謡ってルーツにあるんだっけ?
ネギ ないわけではないですけど、自分たちの音楽が昭和歌謡っぽいとは思っていなかったです。
DAWA だよな(笑)。でも音楽を評価する人たちがそこそこの年齢の人たちやから、そう言われがちなんやと思う。
植野 リバイバルとしてやるのであれば、きっとファッションも真似すると思うんですよ。だけどバレーボウイズは衣装なんてなくて、素のままでステージに立つでしょ。その立ち姿もカッコいいなと思ったんだよね。
DAWA それでいてライブに華があるよな。流星のステージングは音に似合わず、本当に熱量があってフロアにモッシュを起こすやんか。あのフィジカルの強さはライブで絶対勝ちに行ける。最初の頃からあんな感じだったん?
流星 いや、もっとひどかったですね……。大学時代のバレーボウイズはネギちゃんの曲をちょろっとやって、あとは全部即興だったんで、本当にめちゃくちゃで。ライブ中白菜を投げながら走り回っていてめちゃくちゃ怒られたこともあります。バレーボウイズってそういうのが始まりなんですよ。
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どうやら弟がバンドを始めたらしい
- バレーボウイズ「なつやすみ'18 猛暑」
- 2018年7月4日発売 / felicity, Volleyboys Club
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[CD]
2160円 / PECF-1156
- 収録曲
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- アサヤケ
- 海へ
- マツリ~猛暑~
- ミラーボウル
- 夏休みがおわる
- フラッシュバック
- 卒業
- タイトルコール(チャッキーの家ver.)
- ツアー情報
「なつやすみ'18 猛暑」リリースワンマンツアー -
- 2018年8月19日(日) 東京都 下北沢BASEMENT BAR
- 2018年8月22日(水) 大阪府 LIVE HOUSE Pangea
- バレーボウイズ
- 前田流星(Vo)とネギ(Vo, G)を中心に、京都精華大学の学園祭「木野祭」出演のために2015年に結成された男女混声6人組バンド。哀愁を帯びたギターサウンドに乗せてノスタルジックなメロディを“合唱”するスタイルが特徴で、2017年にavex、DUM-DUM LLP、HOT STUFF、lute、ULTRA-VYBEがタッグを組んで行ったライブオーディション「TOKYO BIG UP!」でグランプリを獲得した。同年夏には「FUJI ROCK FESTIVAL 2017」にROOKIE A GO-GO枠で初出演。2018年7月に永井聖一プロデュースの2ndアルバム「なつやすみ'18 猛暑」を発表する。
- FLAKE RECORDS(フレークレコーズ)
- 大阪、南堀江にて店舗を構えるレコード、CDショップ。世界中から厳選した新譜の新品レコードを軸に、日本のインディーズものまで幅広く音楽を扱う。オーナーのDAWAは取扱商品のセレクトに加えて、自社インディレーベル・FLAKE SOUNDSの運営や海外バンドの招聘、イベントのDJなど、多岐にわたって音楽にまつわる事業を展開。アーティストからの支持も厚く、CHAIやLOSTAGE、tricotらはFLAKE SOUNDSから作品をリリースしている。
- HOLIDAY! RECORDS(ホリデイレコーズ)
- 国内のさまざまなインディーズアーティストの自主制作音源を販売するセレクトショップ。実店舗を構えず、Webやイベント出店でアーティストの音源や音楽にインスパイアされたデザインのオリジナルグッズを販売している。