母の日記、子供の頃の記憶
──「アリアケノツキ」もライブでは披露されていた曲ですね。
この曲はデビューする前からありました。私の父が亡くなるときの母の日記を歌詞にしたものなんです。楽曲を手がけてくださっているHidenoriさんが「お父さんを思って作った曲があるんだよね」って聴かせてくれた曲に、私も父親のことを書いた歌詞を乗せたんです。
──切ないラブソングとして聴いていたのですが、そういうお話を聞くとまた違った印象になりますね。しかも、次の曲が親への思いを歌った「娘より」ですからね。感動的な並びだと思います。
ありがとうございます。そこは意識して並べましたね。ライブでも「アリアケノツキ」のあとに「娘より」を歌うことも多いので。
──そしてもう1つの新曲「fly」。先ほどお話があったように、少し前向きになったというUruさんの心情が反映されたアップテンポなナンバーですね。
はい。この歌詞は、私が子供の頃に大好きでよく読んでいた「ラチとらいおん」という絵本のイメージで書いたんですよ。その物語には臆病者の小さな男の子と、その子に寄り添ってくれるライオンが出てくるんですけど、そのライオンの視点の歌詞になっています。その中には、ちょっと成長できた自分が過去の自分に対して「大丈夫だよ」って言ってあげているような気持ちも込めました。
──心地よいメロディのサビやアウトロの「ラララ」のパートは、みんなでシンガロングするとよさそうですよね。
そうですね。「fly」はしっとりと始まりますけど、だんだん元気が出ていく曲になっているので、ライブではお客さんも曲の流れと共に盛り上がっていただけたらうれしいです。私の曲はしっとりしたものが多いので、こういうタイプの曲が入るとまた違った雰囲気になりそうですよね。今後はテンポの速い曲も徐々に増やしていきたい気持ちもあります。
──アルバムの初回盤Bにはカバー曲をまとめたCDが同梱されますね。過去にYouTubeへアップされていた楽曲に加え、新録カバーも収録されているので、かねてからのファンはすごくうれしいのではないかと。
デビュー前から私の活動を知ってくださっていて、そのうえでカバーアルバムを待ってくださっている方がたくさんいらっしゃって。だからこうやってCDとしてカバー音源をリリースできるのは私もすごくうれしいんですよね。今回のカバーセレクションは、いろんな音を加えてアレンジするのではなく、ピアノと私の歌だけというシンプルな形で収録できたのもよかったなって思います。
──今回新たに録音されたカバー楽曲というと?
「木蘭の涙」(STARDUST REVUE)や「ハッピーエンド」(buck number)、「真赤」(My Hair is Bad)、「たしかなこと」(小田和正)ですね。あと「OH MY LITTLE GIRL」(尾崎豊)はYouTubeにもアップしていたんですけど、今回のために歌い直しました。以前はわりと淡々と歌っていたんですけど、今回は強弱を意識して歌ったので、けっこう印象は違うと思います。その時どきのよさがあると思うので、ぜひどちらも聴いてほしいです。
今後のライブ活動について
──デビューからの軌跡を詰め込んだ本作を携え、来年3月4日には東京・昭和女子大学人見記念講堂でのライブ「monochrome~吹き沁む頬に熱いザフサス~」が開催されます。これまで6回の単独公演を行ってきたUruさんですが、東京公演は実に1年半ぶりとなるんですよね。もっとライブの本数を増やして、開催ペースを上げたい気持ちはあったりしないですか?
いや、ペース的にはちょうどいいです(笑)。ライブの経験値が絶対的に少ないので、もっと本数を重ねていく必要があるとは思うんですけど、1本1本のライブに向けてのモチベーションの持っていき方を考えると、今のスパンがちょうどいいんですよね。
──1本のライブに対してじっくりと準備して挑みたいということなんですね。
そうですね。ライブに向けた歌の練習は毎日していますし、MCで何を話すかを考え、そのためにライブで訪れる土地について調べたりもします。あとは細かいイメージトレーニングをするとか。でも、どうしても悪いイメージが浮かぶことが多くて(笑)。
──あははは(笑)。お客さんが誰もいないとか。
そうそう。私が話してもまったく反応がないとか(笑)。できるだけいいイメージを思い浮かべるようにはしてるんですけどね。これまで実際のお客さんはものすごく温かく迎えてくださってますし。
──ライブに関しては何か変化ってありました?
ほとんど変わってないと思います。私はライブ中、あんまり動かないで歌うんですよ。お客さんとしては、もっと全身で表現してほしいと思ってる方もいらっしゃるとは思うんですけど……でも動かない(笑)。そこは別に変わらなくていいのかなとも思います。
──でも例えば「fly」のような曲ではきっと体が自然と動き出す感じもあるはずですよね。
ああ、確かにそうですね。ちょっとは動くと思います(笑)。今後アップテンポな曲が増えていけば、もしかするとそのあたりが変わっていくのかもしれないです。
──では最後に、3月の東京公演に向けた意気込みを聞かせてください。
純粋にまた東京でライブをすることができてうれしいです。前回のグローブ座に来てくださった方はきっと、そのときの私と約1年半経った今の私を比べるところがあると思うんです。なので、ちょっとでも成長できているのであれば、それをしっかり見せられるパフォーマンスをしたいなと思っています。
──楽しみですね。ちなみにライブのサブタイトル“吹き沁む頬に熱いザフサス”にはどんな意味があるんですか?
これはアルバムに入っている曲の頭文字を並べて文にしたものなんですよ。だから特に意味はないんです(笑)。
──“ザフサス”っていうのは?
文にならなかった、余った4文字です。ネット上では「“ザフサス”を検索したんですけど、全然ヒットしません!」ってコメントも多いんですけど、そんな言葉は世の中に存在しないので(笑)。
──面白いですね。でも熱いんでしょうね、“ザフサス”は。
あははは。そうですね。きっとそうだと思います(笑)。
- Uru「モノクローム」
- 2017年12月20日発売
Sony Music Associated Records -
初回限定盤A
映像盤 [CD+Blu-ray Disc]
5000円 / AICL-3454~5 -
初回限定盤B
カバー盤 [CD2枚組]
4000円 / AICL-3456~7 -
通常盤 [CD]
3000円 / AICL-3458
- CD収録曲
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- 追憶のふたり
- 奇蹟
- フリージア
- 鈍色の日
- ホントは、ね
- しあわせの詩
- Sunny day hometown
- fly
- The last rain
- いい男
- アリアケノツキ
- 娘より
- すなお
- 星の中の君
- 初回限定盤A(映像盤)Blu-ray収録内容
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MUSIC VIDEO
- 星の中の君
- The last rain
- フリージア
- しあわせの詩
- 奇蹟
Uru Live「SS」@東京グローブ座 ~Debut Live~
- WORKAHOLIC
- PUZZLE
- ホントは、ね
- Sunny day hometown
- The last rain
- アリアケノツキ
- すなお
- 星の中の君
- 初回限定盤B(カバー盤)CD収録曲
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COVER SONG
- たしかなこと(小田和正)
- 楓(スピッツ)
- 木蘭の涙(STARDUST REVUE)
- THE OVER(UVERworld)
- OH MY LITTLE GIRL(尾崎豊)
- 真赤(My Hair is Bad)
- ハッピーエンド(back number)
- 糸(中島みゆき)
- Uru Live「monochrome~吹き沁む頬に熱いザフサス~」supported by uP!!!
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2018年3月4日(日)東京都 昭和女子大学人見記念講堂
- Uru(ウル)
- 2013年に活動を開始した女性シンガーソングライター。オリジナル楽曲のほか、J-POPを中心にさまざまなジャンルの楽曲をカバーし、YouTubeで発表して注目を集める。楽曲の歌唱・演奏のほか動画の撮影や編集も1人で行い、これまでに90本以上の動画を公開。総再生回数は4500万回以上、チャンネル登録者は13万人以上を記録している。2016年3月に東京・キリスト品川教会 グローリア・チャペルで初の単独ライブを実施。6月にSony Music Associated Recordsからメジャーデビューシングル「星の中の君」を、11月に綾野剛主演ドラマ「コウノドリ」の主題歌「奇蹟」を表題曲としたシングルを発表した。12月には2018年1月公開の映画「悪と仮面のルール」の主題歌「追憶のふたり」を含む1stアルバム「モノクローム」をリリース。2018年3月4日に東京・昭和女子大学人見記念講堂で約1年半ぶりとなる東京での単独公演「monochrome~吹き沁む頬に熱いザフサス~」を開催する。