モノクロの世界を少しずつ色付けていきたい
──今回リリースされたアルバムのタイトルである「モノクローム」は、そんなUruさんの大切な場所を連想させるものでもありますね。YouTubeにアップされたセルフプロデュース動画はすべてモノクロで公開されていたわけですし。
アルバムのタイトルに関して、「これがUruですよ」みたいなものがパッと見てわかるほうがいいだろうって自分なりにいろいろ考えた結果、私は白と黒の世界から出てきて、そこが出発点でもあるから「モノクローム」がいいんじゃないかなって。モノクロームという言葉には単色という意味もあるんですけど、デビュー前の私はライブをせず、本当に狭い世界で活動していたからまさに単色だったと思うんです。でもデビュー以降はいろいろなところでライブをさせていただくとか、幅を広げてお仕事をさせてもらうようにもなったので、ここから少しずつ色が付いていけばいいかなっていう願いもここには込められています。
──今回のアルバムを通して聴くと、歌の表現力の多彩さに改めて気付かされました。楽曲ごとに意識的に変化させているのでしょうか?
歌詞に対しての気持ちの入れ方みたいな部分に関しては、いろいろと考えながらレコーディングできるようになったとは思います。例えばタイアップさせていただいているドラマや映画の内容を思い浮かべることで、より気持ちを込められるようになるとか。あと、昔の私は声を張って歌うことがけっこう好きで、逆に優しく歌うことが苦手だったんです。でも、曲によって歌の表現を変化させれば、それはちゃんと聞いてくださる方にも伝わるものだということが経験の中でだんだんわかってきたので、そこを意識するようになりました。今回のアルバムで言えば、「しあわせの詩」は優しい気持ちで歌いましたし、「追憶のふたり」ではちょっと危ない雰囲気を声に乗せたりしてみたので、少しずつ声色の変化を付けられるようになってきたのかなとは思います。
歌声の変遷をたどるアルバムになった
──デビュー前と比べると、ご自身の成長を実感するところもあります?
確かに歌い方はだいぶ変わってはいますよね。ただ、昔の歌もそれはそれでいいなと自分では思っていて。今の私が昔と同じように歌えるかと言うと、たぶんできないと思うので。同様に、ここから何年かあとにはきっと今と同じ歌い方はできないでしょうし。
──ならば、その時どきの自分の歌声を尊重すべきだと。
まさにそうです。そのときの自分が歌える歌を私は常に歌っている感じなので。だからこそ今回の作品は“アルバム”と呼ぶのがぴったりだなって思うんですよね。この1年半の自分の歌の変遷が記録されているものなので。
──そんなアルバムは、来年1月に公開される映画「悪と仮面のルール」の主題歌となっている新曲「追憶のふたり」が1曲目に収録されています。
曲順はいろんなパターンを考えたんですけど、「追憶のふたり」は自分としてもすごく好きな曲になったので、これでアルバムが始まるのがすごくうれしいです。人間なら誰しもが持っているけど、普段は理性やモラルで抑圧されているような心の奥底にある感情を赤裸々に描き出した映画になっているので、私も歌詞でそういう部分をうまく描けたらなと思いました。
──この曲のように人間の感情の深い部分をすくい上げていく歌詞がUruさんには多いような気がします。
たぶんそういう表現が好きなんでしょうね(笑)。それもあって「追憶のふたり」は比較的すらっと書けた気がします。曲に関しては映画の雰囲気に合わせるようにちょっとミステリアスと言いますか、暗い部分や怖さ、あとは切なさみたいなものも含めて全部入れられたらいいなと思って作っていきました。歌もそういう雰囲気を表現できたと思います。
──「鈍色の日」はライブで披露されていた楽曲で、待望の音源化となりますね。
これはデビューしたあとすぐに作った曲です。川口大輔さんに書いていただいた曲を聴いたときに、がんばってもうまくいかない、黒にも白にもならない中途半端でぼんやりとした感情が思い浮かんだんです。なのでそれをそのまま歌詞にしました。私自身、そういった“鈍色”の感情になる日がよくあるので、これもスムーズに書けましたね。
──「凛と魅せている 窓に誇る造花が 空に背を伸ばして 光を浴びている」というフレーズには、Uruさんの理想の女性像が垣間見えているような気もしたのですが。
まさにそうです。自分としてはもっとちゃんとした女性になりたいんですけど、なかなかそこまで到達できていない現実があって。そういう自分の思い描く理想の自分像、「こんな人でありたい」みたいな気持ちがすごく出た歌詞だと思います。少しずつでいいからそこに近付けていたらいいなって。でも、なかなかうまくいかなくて、また今日も鈍色の日みたいな(笑)。
──理想の自分になるためには自分を信じることが大切だというメッセージも込められていますよね。ほかの曲の歌詞にも「自分を信じる」というフレーズが出てきてもいるので、そこはUruさんにとってすごく大事なことなんだろうなと。
そうだと思います。自分で自分を信じないことには何をやるにしてもうまくいくはずはないし、誰にも伝わらないとも思うんですよね。だから、まずは自分が自分を信じようと思って日々がんばっています。あとはそれを歌詞に書くことで言い聞かせてるところもありますね。
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母の日記、子供の頃の記憶
- Uru「モノクローム」
- 2017年12月20日発売
Sony Music Associated Records -
初回限定盤A
映像盤 [CD+Blu-ray Disc]
5000円 / AICL-3454~5 -
初回限定盤B
カバー盤 [CD2枚組]
4000円 / AICL-3456~7 -
通常盤 [CD]
3000円 / AICL-3458
- CD収録曲
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- 追憶のふたり
- 奇蹟
- フリージア
- 鈍色の日
- ホントは、ね
- しあわせの詩
- Sunny day hometown
- fly
- The last rain
- いい男
- アリアケノツキ
- 娘より
- すなお
- 星の中の君
- 初回限定盤A(映像盤)Blu-ray収録内容
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MUSIC VIDEO
- 星の中の君
- The last rain
- フリージア
- しあわせの詩
- 奇蹟
Uru Live「SS」@東京グローブ座 ~Debut Live~
- WORKAHOLIC
- PUZZLE
- ホントは、ね
- Sunny day hometown
- The last rain
- アリアケノツキ
- すなお
- 星の中の君
- 初回限定盤B(カバー盤)CD収録曲
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COVER SONG
- たしかなこと(小田和正)
- 楓(スピッツ)
- 木蘭の涙(STARDUST REVUE)
- THE OVER(UVERworld)
- OH MY LITTLE GIRL(尾崎豊)
- 真赤(My Hair is Bad)
- ハッピーエンド(back number)
- 糸(中島みゆき)
- Uru Live「monochrome~吹き沁む頬に熱いザフサス~」supported by uP!!!
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2018年3月4日(日)東京都 昭和女子大学人見記念講堂
- Uru(ウル)
- 2013年に活動を開始した女性シンガーソングライター。オリジナル楽曲のほか、J-POPを中心にさまざまなジャンルの楽曲をカバーし、YouTubeで発表して注目を集める。楽曲の歌唱・演奏のほか動画の撮影や編集も1人で行い、これまでに90本以上の動画を公開。総再生回数は4500万回以上、チャンネル登録者は13万人以上を記録している。2016年3月に東京・キリスト品川教会 グローリア・チャペルで初の単独ライブを実施。6月にSony Music Associated Recordsからメジャーデビューシングル「星の中の君」を、11月に綾野剛主演ドラマ「コウノドリ」の主題歌「奇蹟」を表題曲としたシングルを発表した。12月には2018年1月公開の映画「悪と仮面のルール」の主題歌「追憶のふたり」を含む1stアルバム「モノクローム」をリリース。2018年3月4日に東京・昭和女子大学人見記念講堂で約1年半ぶりとなる東京での単独公演「monochrome~吹き沁む頬に熱いザフサス~」を開催する。