Uru「心得 / 紙一重」インタビュー|ドラマ「風間公親-教場0-」&アニメ「地獄楽」Wタイアップシングル Uru流の作品への寄り添い方とは?

Uruがニューシングル「心得 / 紙一重」をリリースした。

今年2月発売のアルバム「コントラスト」からわずか4カ月でリリースされた今回のシングル。テレビドラマ「風間公親-教場0-」の主題歌「心得」を表題とした“ドラマ盤”と、テレビアニメ「地獄楽」のエンディングテーマ「紙一重」を表題とした“アニメ盤”の2形態が用意され、いずれもカップリングには、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で披露された「それを愛と呼ぶなら」と「振り子」の音源が収められている。

音楽ナタリーではUruにインタビューを行い、「心得」と「紙一重」の制作エピソードや、現在開催中のツアーについて語ってもらった。

取材・文 / 廿楽玲子ライブ写真撮影 / 木村篤史

だんだん普段のライブに戻ってきた

──アルバム「コントラスト」を携えたツアーが4月に始まり、観客の声出しがようやく解禁されましたが、会場の雰囲気に変化はありますか?

私のライブのお客さんは静かに聴いてくださる方が多いんですけど、それでもだんだん普段のライブに戻ってきたなという感じがします。ライブの最後に「星の中の君」をお客さんと一緒に歌うんですけど、それがやっと元通りにできるようになったのがうれしいです。

──Uruさんは前回のインタビューでお客さんとの距離をもっと縮められたらいいなとおっしゃっていましたが(参照:Uru「コントラスト」インタビュー)、コミュニケーションは取れていますか?

はい、ちょっとだけ(笑)。皆さん私の問いかけに対して答えてくださったり、ステージを去るときに「ありがとう!」と言ってくださったりしています。

──これからも全国を回る日々が続きますね。

そうですね。反省点も毎回たくさんあるんですけど、それを生かして楽しみたいと思います。

薄い紙1枚の境界を描いた「紙一重」

──そんなツアーの真っ只中に、新しいシングル「心得 / 紙一重」がリリースされました。いずれもタイアップ曲で、すでに先行配信もされていましたが、配信は「紙一重」のほうが先でしたね。

はい、制作も「紙一重」が先でした。

──ではまず、「紙一重」について聞かせてください。この曲はテレビアニメ「地獄楽」のエンディングテーマとなっていますが、作品についてどんなことを感じられましたか?

原作のマンガを読んだとき、最初のページでいきなり打ち首のシーンから始まるのがすごく衝撃的で、1回本を閉じました(笑)。自分が読んできた物語の中にはない作風だったので、これはちょっと心構えをして読まないと、と思って。でも、戦いのシーンは衝撃的ですが、なぜそんなことをしているのかという登場人物の背景に目を向けると現実の世界と重なることばかりで、メッセージ性の強い作品だなと感じました。

──江戸時代を舞台にした劇中では、死罪人たちと彼らのお目付役である打ち首執行人がペアとなり、謎だらけの島で過酷なミッションに挑みます。楽曲を作るにあたってどの登場人物にフォーカスしようと思いましたか?

楽曲の依頼をいただいたときに「佐切という女の子(打ち首執行人)の目線で」というお話があったので、佐切の目線でペアの画眉丸(死罪人)を思って書きました。ただ、この曲はほかのペアにも当てはまるんじゃないかと思います。

──「紙一重」という言葉はどこから?

佐切を見ていて、自分では弱さと思っているところが実はその人の強さでもある、ということに気付いたんです。言葉としては「表裏一体」とすごく迷ったんですけど……表と裏があるとするならば、それが混ざり合っている部分に必ず境界があるはず。その境界はたぶん、本当に薄い紙1枚のようなもので隔たられていると思ったので、この曲ではその接している部分を描こうと思いました。

──人の心には相反する感情がたくさんありますよね。強さと弱さ、好きと嫌い、前向きと後ろ向きとか。

本当にそう思います。曲を作っているときにいろんなことを考えていたら、世の中のすべてが紙一重なんじゃないかと感じました。

──その紙一重の境目を描くときに、何を大切にしようと思いましたか?

佐切は画眉丸と出会い、自分の中の弱さが強さでもあると認めてもらえて、やっと自分でも自分のことを認めることができた。それを教えてくれた画眉丸に対してすごく深い情が湧いて、心から幸せになってほしいと願う気持ちを持っていると思うので、相手に対する愛情みたいなものも書かなくてはと思いました。

自分も相手も同じものを抱えながら一生懸命生きている

──楽曲構成についても伺いたいのですが、1番のサビのあと、「もっともっと強くなれたら」という歌詞の部分で新たなメロディが出てくる。ここはどういうふうに作られたんですか?

1番のサビのあと、もっと感情を豊かに広げていくためにDメロを入れて。その後もう一度冷静になり、最後またサビで感情があふれるような流れにしたかったんです。

──気持ちを鎮めるパートが必要だったということでしょうか。

自分の内面だけじゃなくて、周りに目を向ける瞬間を作りたかったんです。孤独や弱さを抱えているのは自分だけじゃない、自分が見ている相手も同じものを抱えながら一生懸命生きているんだということを伝えたくて。大事な部分をあえて静かなトーンにすることで、より歌詞が入りやすくなるかなと。

Uru

──起伏のある構成ですが、歌入れはいかがでしたか?

最初の歌詞は心の葛藤を描いているので、歌い出しは口を閉じ気味に歌ってみました。

──口を閉じ気味に?

はい。自分の中でいろんな思いを巡らせているところなので、あんまりテキパキと滑舌よく歌うような場面ではないなと思って。逆にサビでは感情が爆発するイメージで、声を前に出して歌っています。

──「地獄楽」のエンディングでは、葛藤のシーンからサビまでが90秒にぎゅっと凝縮されています。劇中では血が飛びまくるので、Uruさんのエンディングテーマに癒やされるという声も多いですね。

本当に衝撃的ですよね。目から両手が出ている生き物の顔とか、造形がすごいなあって思います。