紅一点バンドならではの悩み
──ポルカドットスティングレイとパスピエの共通点の1つに紅一点という特徴がありますが、同性だけのバンドとは違うところもあるんじゃないかと思っておりまして。着替えとかもありますし、基本的に楽屋は別なんでしょうか?
雫 私は基本的に楽屋は分けてもらいますね。でもそれは女子だからって言うよりも、私がいつも仕事をしてるからで。男子メンバーが楽屋でゲームをやって遊んでいる中、私が1人で仕事をしているとイライラして「うるさい!」ってなっちゃうので(笑)。
大胡田 そうなんですか。うちは楽屋はみんな一緒ですね。メンバーがみんな暑がりで、スタジオがいつもすごく寒いんですよ。本当にそれが悩み(笑)。私がいくら寒いと思っても、男子メンバーを見るとみんな汗をかきながら一生懸命演奏してくれているので、いつも我慢しています。
雫 優しい! 私だったら「暑いんだけど」って言われても「寒い!」って言って冷房を切っちゃいます。私とメンバーみんなが違うこと言ってても「寒い!」みたいな(笑)。
大胡田 私はバンドの中で最年少ですし、全体的に立場が逆ですね(笑)。
それぞれのバンドの歌詞の生み出し方
──せっかくなので、雫さんからなつきさんに聞いてみたいことなどあればぜひ。
雫 私、なつきさんの歌詞がめっちゃ好きなんです。何に基づいて歌詞を書いているかを知りたいですね。自分の経験なのか、また別の対象があって書いているのか……。
大胡田 私は最近変わったんですけど、雫さんぐらいのときは自分の頭の中にいる何人かのうちの1人のストーリーを歌詞にしていました。なので自分発信ではあるんですけど、空想の人のことを書いていましたね。具体的には自分が過ごしたい世界を描いていたと思います。自分が歳を取るにつれてファンの方も一緒に歳を取っていくじゃないですか。それに気付いたときに、空想の世界の中にいるだけじゃ、これから先ずっとやっていくのは難しいなってなんとなく思いまして、徐々に自分自身の経験をもとに歌詞を書くようになりました。
雫 素敵ですね。私はファンのみんなに「どんな曲が欲しいですか?」「どういう曲聴いてますか?」ってアンケートを取って、その結果をスプレッドシートにまとめて、そこにある情報をもとに歌詞を書いています。
大胡田 すごい! アンケートなんだ。
雫 はい。私はいつもスプレッドシートで仕事を管理していて、歌詞の要素もそれと同じようにスプレッドシートにまとめています。自分の気持ちや経験を歌ったほうがやっぱり心がこもって、感情の乗った歌になるのかなと思うんですけど、自分のことを書くっていうのが全然できないんですよね。だから自分のことを書ける人がすごく羨ましい。才能だなって思います。
大胡田 私も最初は「自分のことは絶対書かない」って決めてたんですよ。だけどライブでファンの方たちの生の反応を受けて、私も自分自身が持っているもので返したいなって思うようになったんですよね。私は人とうまくコミュニケーションが取れなかったんですけど、それを叶えてくれた道具が私にとっての音楽だったんです。自分自身の持っているもので返したいと思い始めてからも、最初は苦戦していたけれど、やっていくうちにできるようになったので、雫さんもそうなる時期が来るかもしれない。
雫 今のお話すごく素敵ですね。私はバンドを始めて3年が経つんですけど、音楽経験も浅ければ人としてもまだまだ浅くて。たぶん器が浅いゆえに自分自身の言葉が出てこないんだと思います。自分自身のことを歌うことが想像できないです。
大胡田 えっ、雫さん、人生経験豊富じゃないですか。社会人もやってらっしゃったんですよね?
雫 そうですね。去年まで会社員でゲームを作っていました。仕事をすることは好きなんですけど、根本的な部分で人としてまだ浅いと思うんです。感受性があまり豊かじゃないのか、恋愛もののマンガとか映画を観ていても、共感どころかなんだかよくわかんなくなってしまって……恋愛が尊いことだっていうのはわかるんですけど。何かと付けて私は「浅いなあ」と思います。なつきさんにみたいに内からにじみ出る才能と言うか、アーティスト性が欲しいです。
大胡田 全然そんなことないですよ。逆に私は雫さんみたいに仕事の予定を立ててアンケートを取って分析して……っていうのができないんですよ。いつも曲が来て、「んー、いい感じに歌詞、書くわー」みたいな感じですよ。
雫 「いい感じに歌詞、書くわー」って書けるのがすごいんですよ。なつきさんが曲をもらうときはもうメロディまでできているんですか?
大胡田 メロディまでできています。
雫 えー、できあがったメロディに合わせた歌詞を書くのって難しくないですか?
大胡田 最初は私も「これは難儀だ」って思ってました。でもバンドを信頼できるようになってきてから、わりとするっと歌詞が出てくるようになった気がします。バンドが鳴らす音からものや色を感じるようになって、それを歌詞にできるようになってからは、かなり歌詞を書くのが楽になりました。私は今は自分で曲を作っていないので、自分で曲を書いて歌うことにすごく憧れますよ。伝えたいことが純度が高い状態で伝えられそうだなって思います。
雫 いやあもう手間が多いだけです。私は音楽の知識があまりないので、自分のオーダーをメンバーに伝えるのにけっこう苦労するんですよね。「こういうフレーズを作ってほしい」っていうのを伝えるために参考音源を集めてくるんですけど、どうしてもそのイメージが伝わらないときがあって。でも知識がないから理論で説明できなくて、メンバーに「ちょっと何言ってるのかわらないな」とか言われて、そこでコミュニケーションが取れなくなっちゃうときもあります。うまくコミュニケーションを取れるようにがんばります(笑)。
次のページ »
ボーカルでありアートワーク担当の2人
- ポルカドットスティングレイ「一大事」
- 2018年5月9日発売 / UNIVERSAL SIGMA
-
まけられないたたかいパック
[CD+DVD]
2500円 / UMCK-9998 -
通常盤
[CD]
1800円 / UMCK-1623
- CD収録曲
-
- 少女のつづき
- パンドラボックス
- リスミー
- 煌めく
- ICHIDAIJI
- 半泣き黒猫団のテーマ
- まけられないたたかいパックDVD収録内容
-
過去の作品になかった新たな目論みを映像として収録予定
- パスピエ「ネオンと虎」
- 2018年4月4日発売 / unBORDE
-
初回限定盤
[CD+オリジナルマルシェバッグ]
2700円 / WPCL-12860 -
通常盤
[CD]
1944円 / WPCL-12859
- 収録曲
-
- ネオンと虎
- マッカメッカ
- Matinée
- かくれんぼ
- トビウオ
- オレンジ
- 恐るべき真実
- ポルカドットスティングレイ
- 雫(Vo, G)、エジマハルシ(G)、ウエムラユウキ(B)、ミツヤスカズマ(Dr)からなる“超常ハイカラギターロックバンド”。2015年8月に現体制となり、地元・福岡を拠点に本格的に活動をスタートさせた。2016年3月にYouTubeにて発表した「テレキャスター・ストライプ」のミュージックビデオが口コミで広がり、瞬く間にその名を全国区へと広げる。10月には初のワンマンライブを東京・red clothにて行い、そのチケットはソールドアウト。11月に初の全国流通盤「骨抜きE.P.」をタワーレコード限定でリリースし、タワーレコードの全店総合週間アルバムチャートで2位を獲得した。2017年2月に初の東名阪ワンマンツアー「ポルカドットスティングレイ 2017 TOUR 骨抜き」を開催。4月に1stミニアルバム「大正義」をリリースした。5月には「VIVA LA ROCK 2017」や「JAPAN JAM 2017」など大型フェスに出演、6月には全国6都市でワンマンツアー「ポルカドットスティングレイ 2017 TOUR 大正義」を実施した。7月に東京・東京キネマ倶楽部にて行われたツアー追加公演にてUNIVERSAL SIGMAからメジャーデビューすることを発表。夏には全国の大型フェスに多数出演した。11月に1stフルアルバム「全知全能」をリリースし、2018年2月よりキャリア最大規模のワンマンツアー「2018 TOUR 全知全能」を開催。5月に2ndミニアルバム「一大事」を発表し、6月にはワンマンライブ「ポルフェス29 #一大事 ワンマン」を東京・EX THEATER ROPPONGIにて行う。
- パスピエ
- 2009年に成田ハネダ(Key)を中心に結成。メンバーは大胡田なつき(Vo)、成田、三澤勝洸(G)、露崎義邦(B)の4名。都内を中心にライブを行い、2010年3月に自主制作盤「ブンシンノジュツ」をライブ会場限定で発表。2011年に1stミニアルバム「わたし開花したわ」、2012年に2ndミニアルバム「ONOMIMONO」をリリースし、卓越した音楽理論とテクニック、ポップセンスで音楽ファンの話題をさらう。2013年3月に初のシングル「フィーバー」、6月にメジャー1stフルアルバム「演出家出演」、2014年6月に「幕の内ISM」と続々と作品を発表し、数々の大型ロックフェスに出演。2015年は9月にアルバム「娑婆ラバ」をリリースしたあと全国ツアーを行い、12月に初の日本武道館単独公演を成功に収めた。2016年7月発売のシングル「永すぎた春 / ハイパーリアリスト」のタイミングで、これまで隠していた素顔を明らかに。2017年1月に4thフルアルバム「&DNA」を発表し、3月より全国ツアー「パスピエ TOUR 2017 “DANDANANDDNA”」を開催。ツアー終了後にやおたくや(Dr)がライブイベント「森、道、市場2017」をもって脱退した。その後もバンドは活動ペースを緩めることなく10月に「OTONARIさん」、翌年4月に「ネオンと虎」とミニアルバムを相次いでリリース。5月よりキャリア史上最多公演の全国ツアー「TOUR 2018 “カムフラージュ”」を行う。
2018年4月12日更新