UNISON SQUARE GARDEN|充実のアニバーサリーイヤーに放たれる、新たな挑戦を詰め込んだ「FGO」オープニング曲

バンドってカッコつけなくてもいいんだよ

──田淵くんは、新木場については?

田淵 これはもう舞洲と打って変わって、とにかくライブ中が楽しかった! 例えば佐々木(亮介 / a flood of circle)も、(山中)さわおさん(the pillows)も、尾崎(世界観)さん(クリープハイプ)もギターを持ってこなくて、手ぶらで来て歌えば“バンド”になるんだということを体現してくれて。バンドってカッコつけなくてもいいんだよという、僕がバンドに対して思っていたいろんなことが実現できた2日間でした。

斎藤 あとはTHE BACK HORNの山田(将司)さん。

田淵 そう! 高校生のときに自分たちが文化祭でコピーした曲を、同じステージで本人が歌ってくれるというミラクルも、バンドをやってなかったら見れなかったわけで。怒髪天の30周年の日本武道館ライブで、ベースの清水(泰次)さんが「みんなバンドやったほうがいいよ」と言ったMCを思い出しました。「長くやってるとこんないいことがあるんだよ」ということを体現できて、それを見た未来のバンドマンの、バンドへの憧れの価値が少し変わったらいいなと思ったし、「こんなんでも、バンドやっていいんだ」と気付いてくれたらうれしいなと思いました。夢のような時間だったし、バンドを長くやってきていいご褒美をもらった気がしてます。

田淵智也(B)

「FGO」のオファーに「これはがんばらないといけませんね」

──そんな忙しい充実の夏を過ごす中で、新曲「Phantom Joke」はいつ作ってたのかと。

田淵 忙しくなる前です。1月頃ですね。アニメの制作チームがすごく優秀なので、オープニングの映像を気合いを入れて作るために早く音源が欲しかったんでしょうね。それぐらい丁寧に作るすごい作品ということは、企画書を読んだときに実感したし、曲を作る時間をちゃんとあげないと田淵が怒るだろうと思ったのか、ディレクターも早めに話を持ってきてくれたので(笑)。作曲にも時間をかけました。

──シングルのリード曲ではひさびさにこういう曲調がきたなと思いましたね。キレキレで、とがってて、複雑怪奇で、超精密で、でも最高にポップでカッコいい。ユニゾンでしかない、いい曲だと思います。曲調についてアニメサイドからのリクエストはあったんですか?

田淵 いや、ないですね。でもこれまでの「Fate」の世界観もなんとなく知っていたし、脚本も全部読ませてもらって、作品に対して失礼でないものをという第一命題があったので、そこは信頼して任せてくれたのか、特にリクエストもなかったです。「Fate」の主題歌のこれまでの流れを考えると、我々に話が来るのはまったく異例だと思ったし、僕はもともと「15周年の間は新曲を作らない」とディレクターに明言してたけど、それでもこの話を持ってこられたので「これはがんばらないといけませんね」という感じでした。そこからの第二命題で、ユニゾンのファンが聴いて「アニメには興味がないけどいい曲だからOK」というところまで持っていかないといけないから、その2つを成り立たせるという巨大なテーマを与えられたなという気がしました。

「何かと戦うこと」とリンクできた曲

──斎藤くんのこの曲への取り組み方は?

斎藤 とにかくいい曲を作っていい演奏していい歌を歌うことが、タイアップをいただいたときに僕らにできることだと思うので、そこにしっかりと向き合ったつもりです。あとはイントロのインパクトですね。オープニングテーマなので、始まりの合図みたいなものを作れたらいいなと思って臨みました。

──あとドラムも、イントロからヤバいです。どうやって叩いてるのか全然わからないくらい。

鈴木 いやあ、いいドラムだなあ(笑)。すごいぶっちぎってる曲だし、この作品の話は大きく言うなら何かと戦うものだと思ったので、ドラムもずっと戦ってる感じを出したいと思って、休むポイントを作らなかったんです。ギターソロで唯一休める構成で、9割の地獄の中でこの時間だけちょっとだけ水飲んでいい、みたいな。

斎藤 給水ギター(笑)。

鈴木 で、飲み終わったらまた労働に戻ってください、みたいな。もともとそういう構成だったけど、さらに突き詰めようと思って、その結果「Fate」のテーマである「何かと戦うこと」とリンクできそうだなと思いました。

──戦うドラム。なるほど。

鈴木 戦わされてる、と言ったほうが近いかもしれない。作曲者という見えない何かに、いつも俺と宏介は戦わされてる(笑)。速い! 細かい!

斎藤 苦しい! 高い!

田淵 お世話になってます(笑)。

鈴木 ただ「Fate」の登場人物も、望んでいない戦いに身を投じてるかもしれないし、俺らが戦わされることでそことリンクした気もします。

鈴木貴雄(Dr)

──疾走感に加えて、焦燥感、やむにやまれぬ感とか。

鈴木 ね。そこがすごく表現できてるから、「このバンドは偉い」と思いました。

田淵 作曲面でもいろいろトライができた曲だなと思ってます。構成に関しても、自分が持てるアイデアを全部出したところがあって、3拍子と4拍子が入り乱れたりしてるけど、違和感はないように工夫してるし。1番と2番の聞こえ方も似たような感じだけど何か違うというものにして、そのまま引っ張ってDメロに行って、それから給水のギターソロをやって(笑)、最後のサビを繰り返して終わり。あと、1曲を通してアニメの世界観を踏まえて書くことは、僕のアニメソング作曲史上初めてのことで、そういう意味でも挑戦のしがいがありました。ここ最近の作曲トレンドを惜しげもなく詰め込んだ曲なので、よくできているなとは思います。アニメを知らないユニゾンのファンが聴いても、「めちゃいいじゃん」と思ってもらえるものになっただろうし、想像以上にメンバーの評判もよかったのでラッキーです(笑)。

──歌詞でいうと、「まだずっと愛していたい」とか。田淵くんが普段あんまり使わないような言葉をサビで使ってるのも、アニメの世界観に寄り添ったから?

田淵 そうですね。「Fate」のブランドイメージからすると、意外なぐらい少年マンガ的な脚本だったので、たぶん「Fate」じゃなかったら脚本に合わせて普通に明るい曲を書いてたと思うんですよ。

──今度のお話は、今までの「Fate」っぽくないんだ。

田淵 ぽくないわけじゃないんですよ。話自体はダークで重たいテーマなんですけど、キャラクターのセリフ回し、キュートなやりとり、小ギャグみたいなものとか、少年マンガの王道冒険譚だなと思って。サウンドは明るくするわけにはいかないから、暗くする前提で書いたんですけど、そのままだと王道冒険譚のイメージに合わないから、歌詞はわりと素直にしなきゃと思いました。でも確かに、こういうサビは普通は書かないですね。それは作品に引っ張られて出てきた感じがします。