ナタリー PowerPush - UNISON SQUARE GARDEN

強度抜群のポップアルバム「CIDER ROAD」

「リニアブルーを聴きながら」は「遠山の金さん」における桜吹雪

──アルバムにも収録されてるシングルの「リニアブルーを聴きながら」。あの曲がバンドにとって大きかったと思ってて、アルバムの布石になってる気もしました。

鈴木 そうですね。「遠山の金さん」においての桜吹雪みたいなものですね。

田淵智也(B)UNISON SQUARE GARDEN(2012年4月21日の東京・Zepp Tokyoワンマンライブより。Photo by 森久<Hisashi Mori>)

田淵 見せ場! 「来た来た来たー!」みたいな(笑)。あの曲は確かに、狙い撃ちの曲ではありますね。桜吹雪の一場面だけじゃなくて、そこに至るまでのドラマってあるじゃないですか。そういうもろもろを盛り込んだのが、このアルバムってことですね。「リニアブルーを聴きながら」で見せてた片鱗が今回でわかってもらえるはずです。

──シングルも大事だけど、アルバムこそ聴いてほしいですよね。

田淵 はい。「リニアブルーを聴きながら」をいいって思ってもらえたなら、ぜひ聴いてほしいです。それでダメだったなら、しょうがないですけど。

──僕は気に入ってもらえると思います。例えば前半の「to the CIDER ROAD」「ため息 shooting the MOON」「リニアブルーを聴きながら」の並びは、特に聴きやすい流れですし。

田淵 ありがとうございます! リスナーの人にもそう感じてもらえたら、本当にうれしいですね。

──あとアルバムの最後を飾る「シャンデリア・ワルツ」についても、お聞きしたいんですけど。

田淵 シングルで出したかったレベルの曲ですね。自分の中で絶対に10年後も演奏してるんだろうなっていうくらいのものができたのはよかった。すごく大事な曲だから、やっぱりアルバムの最後に置きたかったんです。

──シングルカットしてほしいくらいの曲です。

田淵 そろそろ僕らにもスピッツの「空も飛べるはず」現象が起きたらいいですね。あとからタイアップの依頼が来るみたいな。そんなタイプの曲だと思うので、(お話)待ってます(笑)。

ファンには胸を張ってもらいたい

──このタイミングで聞くのもなんですけど、UNISON SQUARE GARDENって、洋楽志向ではないですよね?

鈴木 J-POPの影響が強いですね。田淵は一時期、洋楽を死ぬほど聴いてましたけど。でもあまり響かなかったんだよね?

田淵 そうそう。ま、死ぬほどってのは大げさですが、ひととおりはチェックしたのかな。人並みに話ができるレベルには聴いてみました。で、カッコいいんですけど、自分が取り入れるべきものがそんなになかったんですよね。「日本語をメロディに乗せることを、どれだけ面白くやるか」が好きだったので、大人になってからもそこは変わらなくて。

──歌詞も日本語ですもんね。英詞もできちゃいそうなのに。

田淵 いやいや書けないです。「洋楽憧れ」みたいなのが、今までずっとなかったんですよ。

──あまり一概には言えないですが、「洋楽エライ」的な考えを持ってる人がたまにいますよね。聴いてないよりは聴いてたほうがいいのは、間違いなくそうだと思うんですけど。

田淵 ありますね。昔の話で言うなら僕らの世代はメロコアブームがあったんですよ。そのときは、英語じゃなくて日本語で歌ってる人がどこかバカにされてるような雰囲気があったり。一方で「青春パンク」って言われてたジャンルを聴くのが正しい雰囲気もあったり。そういうトレンド現象みたいなのって、いつの時代でもある気がします。ほかにはアイドルやアニソンとかなのかな。今、挙げたものは自分も基本的に大好きなんですけど、「チェックしてないのはダメ!」っていうムードはやっぱりおかしいなって。

──強制はされたくないですよね。

田淵 ですよね。僕、いろいろなコンプレックスがあるんですよ! 洋楽もそう。チェックしながら、背を向け続けてきて。自分たちもきっとそういった“分野”に括られてるんですけど、「それを聴いてないと、音楽ファンじゃない!」っていう意見は、目にするたびに苦手だなって思ってます。せっかくUNISON SQUARE GARDENを好きになってついてきてくれる人も、なんだか居心地が悪いんじゃないかなって。だから僕らのファンには胸を張っててもらいたい。「いいんだよ。人がなんと言おうが、君の聴いてるものを信じてれば」っていう気概でやってますから。

UNISON SQUARE GARDENの現場を知ってほしい

──アルバムと同時に初めてのライブDVDもリリースされますね。ギミックなしで演奏をバシッと見せてくれる内容だと思いました。

鈴木 別にあのライブがひと区切りだったみたいな気分は全然ないんですよ。バンドとして、80点の演奏ができたから出せるってことですね。毎回映像は撮ってたしずっと出したかったんですけど。僕らそんなに演奏がうまくないので(笑)。

斎藤 そうそう! 今までのライブは、60点とかだったんです。

田淵 80点だからようやく出していいかなってところですね。結果的にいいタイミングになったと思いますよ。自分たちがライブでやるべきことも最近になってよくわかってきたので。UNISON SQUARE GARDENの現場で何が起きてるのか。それを知ってもらえたらいいな。ぜひ、チェックしてみてください!

UNISON SQUARE GARDEN(2012年4月21日の東京・Zepp Tokyoワンマンライブより。Photo by 森久<Hisashi Mori>)
ニューアルバム「CIDER ROAD」 / 2013年2月6日発売 TOY'S FACTORY
「CIDER ROAD」初回限定盤[CD+DVD] 3500円 / TFCC-86423
「CIDER ROAD」初回限定盤[CD] 2800円 / TFCC-86424
CD収録曲
  1. to the CIDER ROAD
  2. ため息 shooting the MOON
  3. リニアブルーを聴きながら
  4. like coffeeのおまじない
  5. お人好しカメレオン
  6. 光のどけき春の日に
  7. クロスハート1号線(advantage in a long time)
  8. セレナーデが止まらない
  9. 流星のスコール
  10. Miss.サンディ
  11. crazy birthday
  12. 君はともだち
  13. シャンデリア・ワルツ
初回限定盤DVD収録内容

STUDIO LIVE

  • シャンデリア・ワルツ
  • クロスハート1号線(advantage in a long time)
  • リニアブルーを聴きながら
  • ガリレオのショーケース
UNISON SQUARE GARDEN
(ゆにぞんすくえあがーでん)

斎藤宏介(Vo, G)、田淵智也(B)、鈴木貴雄(Dr)からなるスリーピースロックバンド。2004年7月に結成され、都内を中心に活動を開始する。2006年8月に1stミニアルバム「新世界ノート」をリリースし、ライブハウスおよび下北沢ハイラインレコーズのみの販売で1000枚を完売。2007年にはメンバー主催のイベントをスタートさせ、ソールドアウトの快挙を成し遂げたほか、同年12月には初の単独ライブを成功させる。2008年7月にシングル「センチメンタルピリオド」でメジャーデビュー。2011年5月に発表したシングル「オリオンをなぞる」がアニメ「TIGER & BUNNY」のオープニングテーマに起用され注目を集める。さらに2012年9月には映画「劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-」の主題歌「リニアブルーを聴きながら」を手がけ、幅広いリスナーを魅了した。2013年2月に4thアルバム「CIDER ROAD」と初のライブDVD「UNISON SQUARE GARDEN ONEMAN TOUR 2012 SPECIAL ~Spring Spring Spring~ at ZEPP TOKYO 2012.04.21」を同時リリース。印象的なメロディと斎藤の独特な歌声、そして圧倒的なライブパフォーマンスが話題を呼んでいる。