ナタリー PowerPush - UNCHAIN

豪華ゲスト迎えて堂々オープン!これが音の遊園地

ブラックミュージックのグルーヴとロックの疾走感をブレンドしたパンチの効いた演奏、シャキッと引き締まったサウンドと、甘くとろけるようなメロディで定評のあるUNCHAINが新作「Eat The Moon」をリリースする。先行して配信リリースされた洋邦カバー曲集「Love & Groove Delivery」に続く新作は、大森はじめ(東京スカパラダイスオーケストラ)、渡辺シュンスケ、木下航志、BASI(韻シスト)など多彩なゲストを迎え、これまでになくバラエティに富んだ快作となった。「夜の遊園地」をテーマにした内容は、これまでUNCHAINを知らなかった層にもアピールできる、ポップでキャッチーで開かれたものに仕上がっている。このアルバムについて谷川正憲(Vo, G)と佐藤将文(G)に訊いた。

取材・文 / 小野島大

全曲日本語詞になったのは大きな変化だった

──新作が完成して、今の心境はいかがですか。

ライブ写真

谷川正憲(Vo, G) マスタリングが終わってみんなで聴いたときに、なんか感動してしまって。制作過程のなんやかんや、山あり谷ありでいろいろあったというのもあったし、作品としていいものができたので。今までで一番自信作になったかなと思います。

佐藤将文(G) 今までで一番良い雰囲気でできたのと、結構レコーディングが長かったんですよ、配信で出したカバーシリーズと一緒に録ってたので。

谷川 曲作りとあわせると、去年の後半ぐらいからずっとやってましたね。

──張り詰めた状態がずっと続いたんですね。

佐藤 そうですね。だから今はほっとしてます。

──じゃあ今までのアルバムとは違う手応えがあったんですか。

佐藤 はい。この前のアルバム(2011年6月リリースの「SUNDOGS」)でエイベックスから離れてレーベルを移籍して、体制が変わって、心境の変化もありましたから。曲でいうと前回から全曲日本語になって、それは僕らとしては結構大きな変化だったんですけど、それをちゃんと突き詰めて。

谷川 今回はいろんなゲストの方に参加していただいて、勉強させていただきましたね。「Eat The Moon」という、テーマパークみたいなものを作ろうというテーマをみんなで話し合いながら完成させることができました。

今まで真面目すぎたから1回とことんふざけてやれって

──確かに前作「SUNDOGS」から、歌詞も含め音楽的に変化がありましたね。今回はそれをさらに推し進めたという印象です。

谷川 1回リセットして解放したかったんですよ。1回振り切るところまでやってみて見えることもあるかなと思って。前々作からそういう意識はあったんですけど、レーベルを移籍したのがきっかけになって、より自由に実験的にやってみようかなと。で、前回は振り切りすぎてた印象もあったんで、今回は着地点を修正して、うまくバランスがとれたんじゃないかと。

──「振り切った」というのは、具体的にどういう方向ですか。

谷川 そうですね……例えば歌詞でも、今までは「遊び」がなかったんですよ。真面目になりすぎてたというか。だから1回とことん、ふざけてやれと。真面目に遊ぶみたいな、そういうはっちゃける部分が「SUNDOGS」では出たかなと。

──そうすることで自分たちの中で変わった部分はあったわけですか。

谷川 ライブのMCとかもそうですけど、1回はっちゃけちゃうと、その分幅ができるんです。

──いろんなものを受け入れる幅ということですか。

ライブ写真

佐藤 例えば歌詞だと、以前は曲を作るときに「なんちゃって英語」で作ってたんです。日本語を乗せるときも、なめらかさ重視というか、当たり障りのない言葉で、ふわっと消えちゃうような……。

──ノリと響き重視で。

佐藤 はい。それに対して最近は要所要所で、ひっかっかりのある言葉を入れることを意識するようになって。

ニューアルバム「Eat The Moon」[CD+DVD] 2012年4月25日発売 3000円(税込)STYLE_MISSILE records YZSM-20004

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CD収録曲
  1. Lovely Barks -Intro-
  2. Rainy Dance Floor
  3. 愛の未来 -I saw The Light-
  4. Cream Pie
  5. Rusty Love
  6. 4U featuring BASI
  7. Eat The Moon
  8. 暁のコドウ
  9. 0.0025
  10. テレスコープ・トリッパー
  11. Until Dawn
  12. I'll Be The Music
  13. Lovely Barks -Outro-
DVD収録内容

4th Album Release Tour Final "SUNDOGS ~太陽に寄り添う者たち~" 2011/10/01 at SHIBUYA CLUB QUATTRO

  1. Aurora
  2. 少女ジレンマ
  3. The Game Of Life
  4. 太陽とイーリス
  5. My Bicycle
  6. スタイル・ミサイル
UNCHAIN(あんちぇいん)

京都府京丹後市出身のロックバンド。1996年に中学の同級生だった谷川正憲(Vo,G)、谷浩彰(B)、吉田昇吾(Dr)によって結成される。後に佐藤将文(G)が加入。ジャズ、ブルース、フュージョン、ソウルなど幅広い音楽を独自の解釈で昇華させたグルーヴ感あふれるサウンドや、フロントマン谷川のクリアでソウルフルなボーカルなど、豊かな音楽性が耳の肥えたリスナーから支持を集める。2005年に発表した1stミニアルバム「the space of the sense」は無名の新人バンドにもかかわらず、好セールスを記録しその名を一気に全国区へと拡大。ライブバンドとしても定評があり、初出演を果たした「COUNTDOWN JAPAN 07/08」では彼らのパフォーマンスを観るために数多くの観客が詰め掛けた。結成当時から英詞にこだわっていたが、よりメッセージを伝えるために2008年リリースの作品から日本語詞を採用。2011年12月からカバー楽曲配信シリーズ「Love & Groove Delivery」を3カ月連続で敢行し、2012年4月に通算5枚目となるフルアルバム「Eat The Moon」をリリースした。