音楽ナタリー PowerPush - 上坂すみれ
ヘヴィメタルと80'sアイドル すみぺが魅せる2つの顔
上坂すみれ、初めて“アニメソング”を歌う
──今回のシングル「閻魔大王に訊いてごらん」は表題曲以下、3曲ともメタル系、ハードロック系ナンバーです。そういう意味ではいつもの上坂さんのシングルと一緒。音楽の趣味がモロに反映された曲が並んではいるんだけど、実は新機軸でもありますよね。デビュー曲は80年代ニューウェイブのオマージュで、前作「来たれ!暁の同志」は90年代ユーロビートだったのに、表題曲は……。
すっごく新しい(笑)。
──ベースがブリブリいいまくる踊れるビートに乗せて、コンプレッサーをかけまくったボーカルで歌いまくって、途中でヒップホップっぽいフローまで入るメタルですもんね。
でもメロディラインはアニメを観ている人には馴染みのある旋律になっているから、ちゃんと「鬼灯の冷徹」のOADのエンディング的でもあって。アニソン的普遍性ももっているんですよね。実際、ラジオでオンエアする前に、11月のイベント(参照:秋の松戸でコラボ連発のポップカルチャー祭)で初披露したんですけど、皆さんすぐにノってくれて。「これが最新型のアニソン、Elements Gardenサウンドなのか!」ってビックリしました。
──その「アニソンである」ことも実は新機軸ですよね。これまで上坂さんが歌ってきたアニメのテーマソングは、テーマソングでありながら詞にも趣味の世界が大きく反映されていた。でも今回はタイトルからして、純粋に「鬼灯の冷徹」について歌う1曲になっています。
なので「上坂すみれ」のシングルなのに誰かの曲をカバーしている感じすらしていました(笑)。
──いかがでした? その“誰かのカバー”は。
キャラソンを録っている感じに近かったですね。これまでの曲は私が自由に歌っていたんですけど、この曲は“「閻魔大王に訊いてごらん」の中の人”として歌っていた気がします。
──それってすごく複雑な作業ですよね。例えば「鬼灯の冷徹」のキャラクター、ピーチ・マキ名義の楽曲「キャラメル桃ジャム120%」なら担当声優=“中の人”として歌えるけど、上坂さんは「閻魔大王に訊いてごらん」の中の人ではない。というか「閻魔大王に~」は曲であってキャラクターではない。
確かに曲を擬人化したわけではないんですけど、曲調に逆らわずに歌うという意味ではやっぱりキャラソン的だったのかなっていう気はしています。「鬼灯の冷徹」のOADのために書かれたこの曲を素直に歌えば、ちゃんとエンディングテーマになるのかなって。
とにかくカッコいい曲をカッコよく歌う
──だからか、今までの上坂さんの楽曲とは明らかにボーカルスタイルが違いますよね。
そうですね。これまでは「パララックス・ビュー」みたいな激しい楽曲であっても、わりとボヘっとした歌い方をしていたというか……。
──ボヘっとしてはいなかったと思うんですけど(笑)、クラストコア全開のオケに上坂さんのかわいらしいボーカルが乗る、マッチングの妙を楽しむ1曲でしたよね。
でも「閻魔大王に訊いてごらん」は、ディレクターさんから「低音でカッコよく歌ってみたら?」というお話をいただいていたので。ちょっと考えてしまうところはあったんですけど、とにかく「この曲はカッコいいんだ」「事実カッコいいんだし」っていうことを信じて疑わない。とにかくカッコよく歌いきることを心がけました。
──そしてホントにカッコいい曲をカッコよく歌いきりました。
ありがとうございます(笑)。
──前作「来たれ!暁の同志」のときには英詞をカッコよく歌うのに悩んだって言っていたのに(参照:上坂すみれ「来たれ!暁の同志」「実録・2.11 第一回革ブロ総決起集会」特集)、「可愛がって ほら Death of Death」「感じちゃって もっと More Than Death」とカッコよくフローしている。
ふふふふふ(笑)。だからやっぱりアニソンを歌う人になりきっていたんだと思います。この曲もそうなんですけど、アニソンには英語詞も少なくないんだから、「来たれ!暁の同志」の「Hey! Hey! Come on!」っていう歌詞に悩んだ私のことは一旦忘れようと思って。その「Death of Death」のラップのパートを録る前にはヒップホップの映像を観てみたりもしましたし。
──参考になりました?
残念ながら考えが甘かったみたいです(笑)。皆さんやっぱりプロですから、私が一朝一夕にマネられるわけもなく……。結局、ほかのボーカルパートと一緒。とにかくカッコいい曲に乗せてカッコよく歌うことだけを考えてました。
次のページ » 大和市が教えてくれた“課題”の取り組み方
- ニューシングル「閻魔大王に訊いてごらん」 / 2014年12月10日発売 / スターチャイルド
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1836円 / KICM-91556
- アニメ盤 [CD] 1620円 / KICM-91557
- 通常盤 [CD] 1296円 / KICM-1558
初回限定盤CD収録曲
- 閻魔大王に訊いてごらん
[作詞:RUCCA / 作曲・編曲:岩橋星実(Elements Garden)] - 冥界通信~慕情編~
[作詞・作曲・編曲:和嶋慎治(人間椅子)] - 閻魔大王に訊いてごらん off vocal ver.
- 冥界通信~慕情編~ off vocal ver.
初回限定盤DVD収録内容
- 「閻魔大王に訊いてごらん」PV
アニメ盤CD収録曲
- 閻魔大王に訊いてごらん
- 冥界通信~慕情編~
- 閻魔大王に訊いてごらん off vocal ver.
- 閻魔大王に訊いてごらん TV size mix
通常盤CD収録曲
- 閻魔大王に訊いてごらん
- 冥界通信~慕情編~
- 罪と罰 -Sweet Inferno-
[作詞:RUCCA / 作曲・編曲:岩橋星実(Elements Garden)] - 閻魔大王に訊いてごらん off vocal ver.
- 冥界通信~慕情編~ off vocal ver.
- 罪と罰 -Sweet Inferno- off vocal ver.
- V.A.「上坂すみれ presents 80年代アイドル歌謡決定盤」2014年12月10日発売 / 2700円 / スターチャイルド / KICS-3136
- 「上坂すみれ presents 80年代アイドル歌謡決定盤」
収録曲 / アーティスト
- 恋気DEナマイ気 / セイントフォー
- 青山Killer物語 / ラ・ムー
- なぜ?の嵐 / 吉沢秋絵 with おニャン子クラブ
- リトル☆デイト / ribbon
- 東京ローズ'88 / レモンエンジェル
- 夢・不思議いかが / キララとウララ
- へんネ! / 伊藤つかさ
- パラレルガール / 岩井小百合
- ストーミーウェザー / 倉田まり子
- 姫様ズーム・イン / 森川美穂
- Starlight Movement / 菊池桃子
- ピグマリオン / 彩恵津子
- もっと接近しましょ / 石川秀美
- 50/50 / 中山美穂
- 愛はブーメラン / 松谷祐子
- 夢心中 ~MY DESIRE~ / 三原順子
- I WANT YOU / 山瀬まみ
- 怒涛の恋愛 / 高見知佳
- 水の星へ愛をこめて / 森口博子
- MUGO・ん / 工藤静香(上坂すみれカバー)
上坂すみれ(ウエサカスミレ)
ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊した1991年生まれの声優、アーティスト。小学生時代よりジュニアモデルとして活動し、2012年テレビアニメ「パパのいうことを聞きなさい!」の小鳥遊空役で本格的に声優デビューを果たす。以来、「中二病でも恋がしたい!」や「ガールズ&パンツァー」など注目作に出演する一方で、ラジオ、イベント、アニメ誌、カルチャー誌などを通じて、無類のロリータファッションマニア、ソ連・ロシアマニア、ミリタリーマニア、音楽マニアであることがファンの知るところに。そして2013年4月、その趣味の世界をダイレクトに反映したシングル「七つの海よりキミの海」でアーティストデビュー。以来、桃井はるこ作詞作曲の「げんし、女子は、たいようだった。」や、大槻ケンヂ作詞、NARASAKI作曲の「パララックス・ビュー」など話題作を立て続けにリリースする。2014年1月、1stアルバム「革命的ブロードウェイ主義者同盟」を発表。同年7月、及川眠子、サエキけんぞう、窪田晴男、谷山浩子らを作家陣に招いた4thシングル「来たれ!暁の同志」をリリースし、また12月には5thシングル「閻魔大王に訊いてごらん」を発表。さらに自らがセレクトした80年代アイドルナンバーをコンパイルした「上坂すみれ presents 80年代アイドル歌謡決定盤」もリリースした。