ライブをやることで一番充電できてる

ファンにとってはそれぞれの好みで会場を選べる利点があるが、ステージに上がる側からするとどうなのだろうか。
川上 普通ね、スタッフには嫌がられるんですよ(笑)。例えば大阪なんか同じ市内で2日連続でライブハウスとホールですからね、一度全部ばらしてまたセッティングしてもらうという。
谷中 やってる側からすると、気持ちはどこでやっても一緒のつもりなんですけど。ただ、ホールのほうは大きい流れを大事にしてやってたり、メニュー的にもゆったり聴ける曲を入れたりしています。あと、MCはあんまり早口になんないように気をつけてます(笑)。
川上 僕もそんなには変わらないですね。Zeppクラスの大きいライブハウスになるともう、ホールとあまり変わらないし。温度はやっぱりライブハウスの方が熱いですけどね。
谷中 ライブハウスのお客さんがすごい勢いで踊ってるのを見ながら演奏するのも楽しいし、ホールライブに来た家族連れの子どもが踊っていたり、家族の中でお父さんが一番盛り上がっていたり(笑)、年配の人が楽しんでくれてたりするのを見るのも楽しいですしね。
ライブでのファンの反応は彼らに楽しさだけでなく、驚異的な活動ペースの原動力も与えているようだ。
谷中 ライブはエネルギーの交換だってよく言うんですけど、僕らがあまり休まずにずっと活動できるのも、やっぱりお客さんとエネルギーの交換をしてるからだと思うんですよ。ライブをやることで一番充電できてると思いますね。あの歓声聞いたら一発で元気になっちゃったりするんで。放電しながら充電している感じですね。
川上 サメとかマグロとか、泳ぐの止められないでしょ(笑)。そういう感じで当たり前になっちゃってますね。
僕らのことを全然知らない人たちが、あんなに盛り上がってくれる
もはやツアーを止められない身体になってしまった彼らを語る上で欠かせないのが、海外でのライブ活動。今回のアルバム初回限定盤のDISC2には、昨年のヨーロッパツアー中に出演したモントルー・ジャズ・フェスティバル(スイス)のライブ音源が8曲収録されている。
川上 このフェスはすごく格式があるので、他のヨーロッパのフェスとはまた雰囲気が違いましたね。普通のきれいなホールの中で、本当に音楽好きな人がチケットを買って見に来るようなイベントなんですよ。
谷中 最初のうちはみんな「へー」って感じで観てるんですけど、後半になるとすごいことになってます。そのへん聴いてもらうと面白いかもしれないですね、てんぱってる谷中フランス語MCとか大笑いできますよ(笑)。
川上 他のフェスとは違ってちょっと難しい部分もありましたけどね、僕らもやってて気合が入りました。
ヨーロッパツアーでは全日程を大型バスで移動し、7日連続で違う国でライブをすることもあるという。そんなハードスケジュールになっても、彼らが海外ツアーを行う理由を訊いてみた。
川上 僕らのことを全然知らない人がたくさん集まってくれて、あんなに盛り上がってくれると…やっぱり何度でも行きたいですよ。
谷中 場所によって、国によっての違いを知りたいっていうのがあるし、その違いを自分の中にインプットできるようになると、さらに楽しめるようになるんですよ。ライブのときの盛り上がり具合もそうだし、あと昼間に街を散歩しているとその街ならではの光景が観られるし、自分としてはそういうものが詞を書くときのパワーになってるところがありますね。

ヨーロッパツアーや国内ツアーを経て、新たな一歩を踏み出す新作「Perfect Future」をリリース。その後の全国ツアーを終えると、2009年にはいよいよデビュー20周年を迎える。節目の年を目前にした彼らの意気込みを尋ねた。
川上 今度のツアーはライブでやったことのない曲が多くなるので、いったいどんなツアーになるのかとてもわくわくしています。お客さんも楽しめると思いますし、まずはぜひアルバムを聴いて、ツアーに来てほしいですね。
谷中 20周年に向けていろいろ画策しているところです。とにかく20周年は期待していてもらいたいです。「Perfect Future Tour」は、まあパーフェクトっていう大仰なタイトルがついているんで、パーフェクトな演奏を心がけつつ、死に物狂いで頑張ります(笑)。

初回限定盤(CD 2枚組)
2008年3月26日発売 / 3200円
CTCR-14568~9 / カッティング・エッジ
通常盤(CD)
2008年3月26日発売 / 3000円
CTCR-14570 / カッティング・エッジ
DISC1
- Perfect Future(作曲:北原雅彦)
- 女神の願い(作曲:沖祐市、作詞:谷中敦、Vocal:茂木欣一)
- Punch'n' Sway(作曲:加藤隆志、北原雅彦)
- Me & My Skyline(作曲:NARGO)
- 964スピードスター(作曲:冷牟田竜之)
- Warrior Chant(作曲:川上つよし)
- Last Temptation(作曲:GAMO)
- Latin Scorcher(作曲:川上つよし)
- A Song For Athletes(作曲:NARGO)
- All About My Monster(作曲:茂木欣一)
- Pride Of Lions(作曲:沖祐市、作詞:谷中敦、Guest Vocal:伊藤ふみお)
- Transit Passenger(作曲:NARGO)
- Walking Angel(作曲:北原雅彦)
DISC2(初回限定盤のみ)
LIVE at Montreux
-Montreux Jazz Festival 07-
- 太陽にお願い
- Call From Rio
- Walk Between Raindrops
- Natty Parade
- SKA ME CRAZY
- 追憶のライラック-trumpet dub-
- White Light
- Tongues of Fire
プロフィール
東京スカパラダイスオーケストラ
1985年、ASA-CHANG(現ASA-CHANG&巡礼)を中心に結成。当時まだマイナーなジャンルだったスカを誰もが楽しめるポップミュージックに昇華させた功績は大きく、その本格的かつ独特のスタイルは国内外から評価されている。2001年に茂木欣一(Dr)が加入して以降は現在の10人編成で継続中。2007年3月には1998年のカッティング・エッジ移籍後のヒット曲を総括したベスト盤「BEST OF TOKYO SKA 1998-2007」をリリース。ここ数年はヨーロッパ各国へもコンスタントに遠征しており、活躍の場を広げている。