アンチコメントはがんばる原動力になる
──高校時代はどんな音楽を聴いてたんですか?
K-POPです。中3くらいのときにTWICEがすごく流行ってたけど、地元にはK-POPっぽいスタイルの子はいなかったんですよ。でも高校生になって名古屋で過ごしていると、ファッションだけじゃなくて、メイクやヘアスタイルもK-POPを意識してる子がいて。TWICE、BLACKPINK、BTSは青春ど真ん中ですね。
──Touaさんが高校生だった頃に世間はコロナ禍に突入しましたが、コロナ禍はTouaさんの価値観にどんな影響を与えましたか?
高校時代の後半は物理的にかなり影響を受けてました。午前と午後で登校する人を分けたり、卒業式に参加できる家族も1人だけと制限があったり。普通の学校生活ではなくなりました。でも私にとっては自分のやりたいことをじっくり考える時間でした。YouTubeを始めたのも高校2年生のときでしたね。
──個人的にはコロナ禍以降、世の中がセンシティブになった印象があるのですが、そんな世界に向けて自分の意見を発信することに恐怖を感じたことはありますか?
私は物事を楽観的に考えるタイプなので、周りの目を気にするとか、あまりそういうことを感じたことはないですね。YouTubeのコメント欄にもアンチコメントは少ないし。私の動画は、私のことを好きな人が観てくれてる感じがしてます。だけど、動画がYouTubeの急上昇ランキングに入っていろんな人の目に触れて、さらに切り抜きがTikTokに転載されたりすると、たまにネガティブなコメントが書かれたりします。でも私はそういうコメントを見たときは傷付くよりも「もっとがんばろう」と自分の原動力にするタイプの人間です。
──すごいですね。
学生の頃は周囲の目が気になったこともあったんですけどね。今は全然ない。実はけっこうそういう相談を受けるんですよ。周りの目が気になるとか、人間関係とか、あと恋愛も。でも本当に私は何も気にしないし、やりたいことはやるタイプなんです。自分大好き。
──それはもともとの性格?
母の影響が大きいです。中学の頃、原宿系のファッションが流行ってたから、私は地元で紫にピンクを合わせたファッションをしたりしてたんです。でも田舎だし、さすがに周りの目が気になってたんですね。そしたら母が「あんたのことなんて意外と誰も見てないよ」と言ってくれて。あと私は母の勧めで初めてスカートを履きました。私の服装を見て、「その感じだったらスカートのほうが合うよ」って勧めてくれたんです。
──自分の中学時代を振り返ると、自分の好きな格好はしづらかったというか、人と違うことは揶揄の対象になるというか……。
私は全然気にならなかったし、そもそもそういうことを言う人が周りにいなかった。学年の生徒みんなと友達でした。例えばクラスで1人になってる子がいたらすぐに話しかけましたし。私自身、めちゃくちゃ目立ちたがり屋で、なんでも1番がいい。生徒会長とかやってましたから(笑)。
──じゃあ今のお仕事はすごく合ってるのかもしれませんね。
めっちゃ合ってます。私はとにかく前に出たい人なんです。
歌の力で全肯定のメッセージを届けたい
──Touaさんが目指す理想のアーティスト像は?
誰かになりたいと思ったことはないです。それよりも自分が思ってることをちゃんと伝えられるアーティストになりたい。誰かの救いになれる人になりたい。「Touaがやってるなら私も大丈夫だ」って思ってもらいたい。セクシャリティに関する態度を表明するのも、自分の着たい服を着るのも、メイクをするのも、自分以外の誰かが先にやってると、みんなわりかしできちゃうものなんですよ。
──自分はネガティブの塊なので「それはTouaさんだからできるんじゃないか?」と思ってしまうんですが。
「I am I」の歌詞を読んでいただけましたか!?(笑) たぶん今おっしゃられたようなことを感じる人もいると思います。だからこそYouTubeでは定期的にシリアスな内容を話すようにしてますし、「I am I」の歌詞にはものすごくこだわりました。さっきお話しした「キャッチーさを意識した」という話につながりますが、聴きやすいけど、しっかり歌詞を読み込むことで勇気をもらえたり、背中を押されたりするような曲にしたかったんです。
──実際、「I am I」の歌詞があまりにも生々しかったので、今回のインタビューではTouaさんのキャラクターについて深掘りする質問をしてみました。
ありがとうございます。私も自分が歌うことに意味があるとすごく思っていて。それこそ、今までこういう全肯定のメッセージが届かなかった人に対しても、楽曲を通してなら届けられるんじゃないかって。
──ちなみにこの曲はライブで披露される予定はありますか?
あります! でも今からすごく緊張してます……。私、基本的にそんなに緊張しないタイプなんです。これまでいろんな新しいことに挑戦してきて、どれもまあまあ平常心で取り組めました。だけど歌はまだすごく緊張します。以前「TGC(東京ガールズコレクション)」で「若者」を歌わせてもらったときなんて、自分でもびっくりするくらい緊張しちゃいました。でも子供の頃、テレビの前で歌手の人たちの真似をしてた私が、実際にステージに立って歌っているんだ、と思うとすごく感動しました。
──最後に、読者の方へメッセージをいただけますか。
「I am I」はちょっと悩んでるときや、自分に自信が持てないときに聴いてほしい歌です。私自身もいつも戦ってる。歌詞の内容みたいなことを本当にいつも考えていて、やりたいことを実現するためには努力もしてる。そういう意味ではすごくリアルな歌だと思ってます。だから、もし人生の壁にぶつかって足がすくんでしまったときに、次の一歩を踏み出すために背中を押せるような言葉を歌詞につづりました。あ、でもデート前にテンション上げたいときにもオススメ。「私、最高」ってなれますよ。
プロフィール
Toua(トウア)
2002年11月26日生まれ。岐阜県出身。2021年にYouTubeチャンネル「とうあ」を開設し、YouTuberとしての活動を開始する。性別にとらわれないビジュアルやマインドで、10代を中心に人気を集め、翌年2022年7月にはチャンネル登録者数が100万人を突破。2024年8月現在、SNSの総フォロワー数は300万人を超える。2022年11月、10代の心情や葛藤を歌った楽曲「若者(Young)」でアーティストデビューし、2024年7月に新曲「I am I」を配信リリースした。
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