ブリグリとフェブラリーとヘヴンリー

──フルアルバムを1年で2枚出したことも初挑戦でしたよね。

その影響もあったんでしょうね。普通はアルバムを作ったあとは少し休むでしょ。せめて延長線上にある作品ならすぐにできたと思うんだけど。気持ちとしては、何よりもまず英語詞のダンスアルバムがやりたくなっていたから、流れで勢いが付けられなかったんですよ。

──15周年記念にthe brilliant greenとしてもリリースしたいとおっしゃっていましたよね。その予定ももうあるんですか？

そうですね、出そうとは思います。

──気持ちの切り替えはできそうですか？

うーん、まだハロウィン気分なんですよね（笑）。でもブリグリとしても作り込んだ作品にしたいので、なんとか切り替えてやります！

──どういった作品にしたいですか？

精神論になっちゃうけど、余裕を持って作っていきたい。時間があればいろいろ遊べるけど、期限に追われると「やらなきゃ！」ってモードになっちゃうでしょ。でも、早いうちにダンスアルバムは作りたいし、フェブラリーとヘヴンリーのユニットもやりたいんですよね……。

──やることがたくさんですね！

でも全部やったらまた大変なことになっちゃうからね。だから個人的な要望としても、フェブラリーとヘヴンリーは早く統合したいなと思うんです。ブリグリとソロっていう二本柱ならなんとかなるかなって。

──でも、統合しちゃやだって思う人もいるんじゃないですか？

そうなんですよね。Tommyがやりたいことならなんでも見たいよっていう方から、それぞれじゃないとダメって言ってくれる方もいるんです。私としても、統合したときにパッケージに凝れなくなるのはいやなんですよ。前に2人名義で出したとき（「FEBRUARY & HEAVENLY」）は裏表でデザインを分けたんだけど、それがちょっと消化不良だったのもあり。だからもしやるとしても、ヘヴンリー盤とフェヴラリー盤で2種類作りたいですね。アートワークにも妥協しない方法がないと作れないかな。でもまあ、とりあえずダンスアルバムはいずれ作ります。それを成仏させてあげないともうしんどいんですよ。

──ずっと頭に引っかかってる状態なんですね。

自分の名前だけで活動していればなんでもできるんですけどね。そういうアーティストさんがうらやましいです。

──普通はそうなんですけどね（笑）。

確かにね！ 本当になんでこうなっちゃったかなーってたまに思うんだけど。

──でも川瀬さんしかやっていないことでもありますし。

そうですね、まあ自分が決めたことなのでしょうがないです。がんばります。

作品という形にしてあげないといけない

──川瀬さんの作り方って、日々の中からヒントを集めて歌にするような、いわゆるシンガーソングライター的なものとはかなり異なる気がするんです。映画や本を作るのと同じ種類の創作だと思うんですよ。

うん、だからすごくしんどい作業ですね。でも創作のベースはファンタジーであってもリアリティがないといけないし、ブレられないし、過去とつながってつじつまが合ってないといけない。基本的には1曲ずつ完結するスタイルじゃなくて自分が入り込んでないと書けないから、なかなか抜けられなくなっちゃうし。

──そこまでして作品を生み続けられる根源ってなんですか？

やっぱり……次がやりたいって思うんですよ。今回はスランプになりながら無理やりがんばったけど、やっぱり完成に近付くとエンジンがかかって広がりが見えてくるんです。でもそのイメージは私だけに見えていても意味がないので、作品という形にしてあげないといけない。そこですかね、続きがいつも見えている。

──これだけ苦しんでも、まだ先が見えるものなんですね。

真面目にキャラクターと向き合いすぎてる気もするけど、これはすごくパーソナルなプロジェクトだから妥協できないんですよ。まあ今回はスパンが短かったけど、もうちょっと余裕があればもっと楽しんでできると思います。

──では最後に、ヘヴンリーとしての作品を待っていたファンの方々へメッセージをお願いします。

みんなはいつも私以上に考えて聴いてくれるから、感想を聞くのもすごく面白いんです。日常的なストーリーじゃないからリアリティは感じられないかもしれないけど、しっかり聴いてくれたら、リアルな自分に紐付くことが見つかるのかなとも思っています。あと最近、Twitterを見ていて「今の現状から抜け出したい」って考えてる人がたくさんいるんだなと気付いたんです。出口が見つかれば逃げるのも手だけど、ヘヴンリーのようにこの場所を塗り替えるという方法もあるんですよね。もしかしたらこのアルバムは、そういう気付きになってもらえる作品でもあるのかなと思ってます。