トゲナシトゲアリは進み続ける、憧れの日本武道館ライブに気合い十分 (2/2)

すごくおかしな事態になっています

──そんな皆さんが、9月23日に初の日本武道館公演「トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”」に臨みます。決まったときはどんな心境でしたか?

理名 最初に言われたときは信じられなかったよね。

「トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”」の告知画像。

「トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”」の告知画像。

夕莉 うん。Zoomで伝えられたこともあって、最初はまったく現実味がなくて。アニメでもリアルでも、トゲナシトゲアリが目標として掲げてきた舞台ではあるんですが、まさかこんなに早く立てるとは思ってなかったですし、唖然……という感じでした(笑)。今はだいぶ現実味も増してきて、楽しみでドキドキしているところです。

理名 当日のセットリストも固まって、本番へ向けて集中モードに入っています。

夕莉 武道館ということで、初めて私たちのライブを観る方もたくさん来られると思うんです。その方々に、リアルのトゲナシトゲアリの魅力、アニメと融合するバンドだからこその魅力を余さず伝えられるライブにしたい。そのうえで「1つの夢が叶ったあとも、まだまだこれからも応援していきたい」と思ってもらえるようなバンドになりたいので、そのためにもこの武道館公演を成功させたいです。

朱李 たぶんすごく緊張すると思うんですけど……すべてのお客さんに、どの席に座っていても同じ熱量をお届けできるようにがんばりたいなって思います。

理名 普段のワンマンライブとはまた違った見せ方ができるんじゃないかと思うので、武道館ならではの演出やパフォーマンスをたくさん取り入れて、記憶に残るようなライブにしたいです。トゲトゲのライブでトップ3にランクインするくらい……。

理名(Vo)

理名(Vo)

──え、トップ3でいいんですか?

夕莉 確かに(笑)。この際ナンバー1って言っておけば? あえて3にしとく?

理名 「今後武道館を超えるようなライブがもっとできるように」という希望も込めて、とりあえず3で(笑)。もちろん過去最高のライブをするつもりで臨みますし、お客さんの印象に強く残るライブにできたらいいなと思っています。

──ちなみに武道館にはどんなイメージを持っていますか?

夕莉 やっぱり武道館というと全ミュージシャンの憧れの地というか、「そこに立ったら一人前」みたいなイメージがあります。初めて武道館に行ったのは、高校生のときに観たMy Hair is Badのライブだったんですが、めちゃくちゃ広いし、物販にも大勢の人が並んでいて、とにかく「すごい会場だな」と圧倒された記憶があるんです。「その同じ場所に自分たちも立てるんだ」という感慨はすごくあります。

理名 私はまだ武道館に行ったことすらなくて、初めて行くのが自分たちのライブという、すごくおかしな事態になっています(笑)。広島で生まれ育ったこともあって、どこにあるのかも知らなかったぐらいなんですけど、そんな私でも特別な場所だということは当たり前のように知っていて。それ自体がすごいことだなと思うので、本当に身が引き締まる思いです。

朱李 私はヨルシカやPassCodeのライブを武道館で観たことがあって。やっぱり武道館公演となると普段とは違うというか、それまでの集大成のような、すべてを詰め込んだ特別なライブになることが多い印象があります。だからこそ、ずっと追ってきた人にとってはもう大泣きモノですし、すごく感動をもらえるすごい場所、というイメージです。好きなアーティストのライブの中で一番思い出深いのが武道館ライブ、ということも多いので、トゲトゲの武道館公演もそうであったらいいなと思っています。

朱李(B)

朱李(B)

夢の舞台からの新たな始まり

──そんな武道館公演の翌日には、11thシングル「薄采ディスプレイ」がリリースされます。カップリング曲の「蜃気楼ニ問フ」とともに先行配信されている楽曲ですが、改めて聴きどころを教えてください。

理名 私は2曲とも新しい歌い方に挑戦しています。「薄采ディスプレイ」はダークで大人っぽい、陰を感じるような歌い方をしていて、「蜃気楼ニ問フ」はこれまでにない、いろいろなテクニックを詰め込みました。

──特に「薄采ディスプレイ」のボーカルスタイルは、いつもとまったく違いますよね。まるで別人かと思うくらいに。

理名 よく言われます。「誰?」みたいな(笑)。自分が意図的に変えた部分をみんながわかってくれたのはすごくうれしかったです。たぶん過去の自分だったらこの歌い方をする発想はなかっただろうし、楽曲に描かれている世界観を汲み取ってそれに即した表現を選べるようになったのは、自分でも成長かなと思います。

朱李 今回の2曲は、どちらもベースが前に出てくるアレンジになっていて。目立つフレーズが多いので、ライブで演奏するのは緊張しそうですけど楽しみでもあります。

──個人的には2Aのところで出てくる、オートワウか何かがかかったスラップのリフがすごく印象的でした。

朱李 ほかの音が薄くなるところなので、けっこう緊張します(笑)。ライブでの音作りも含めて楽しみにしていただけたらと思います。

夕莉 ギター的には、「薄采ディスプレイ」はタッピングが印象的な曲で。トゲトゲの曲では今までタッピングってあんまりやってきていなくて。だから「また超えないといけない壁が来ましたか……!」という感じだったんですけど(笑)、そこがすごく聴きどころでもあるので注目していただきたいです。もう1曲の「蜃気楼ニ問フ」のほうは、けっこうさわやかな曲で。

──こちらは夕莉さんの得意技が詰め込まれた曲、という印象が強いです。

夕莉 「よし、高速カッティング来た!」とは思いました(笑)。あと、オクターブ奏法で勢いよく押し進めていく感じも楽しい1曲なので、早くライブで弾きたいです。

夕莉(G)

夕莉(G)

──このタイミングでこの2曲がリリースされることの意義については、皆さんどんなふうに捉えていますか?

夕莉 テレビアニメが始まって以降の曲は新たなトゲトゲ像を提示するものが多かったんですが、この2曲もこれまでとはまたガラッと違うトゲトゲという感じで。それを武道館公演の直後にリリースすることに、「夢の舞台までたどり着いたあと、そこからまた新たに始まっていく」という意義を感じています。

理名 私の歌い方や夕莉ちゃんのタッピングなど、ここで新たな表現にチャレンジしていること自体が「目標は達成したけど、ここで終わったわけじゃない」ということを示せているんじゃないかなと思います。

朱李 まだまだいろいろな顔を見せられるバンドなんだという可能性を感じてもらえる、「これからのトゲナシトゲアリも楽しみだな」と思ってもらえるような2曲だと思います。

──先ほどのお話じゃないですが、“いちロックバンドとしての力”を証明するものでもありますね。

夕莉 そうですね! そんなふうに受け取っていただけたらとてもうれしいです。

左から朱李(B)、理名(Vo)、夕莉(G)。

左から朱李(B)、理名(Vo)、夕莉(G)。

公演情報

トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”

2025年9月23日(火・祝)東京都 日本武道館


ナタリー × 日本工学院かまた祭 School Festival LIVE “トゲナシトゲアリ”

2025年11月3日(月・祝)東京都 日本工学院専門学校 日本工学院アリーナ

プロフィール

トゲナシトゲアリ

理名(Vo)、夕莉(G)、美怜(Dr)、凪都(Key)、朱李(B)の“人見知り出身”5ピースによる、“既成概念ぶち壊し系エモり散らかし”ロックバンド。メンバーは2021年6月より主催・agehasprings、協力・ユニバーサルミュージック、東映アニメーションで開催されたオーディション「Girl's Rock Audition」にて選出され、アニメ「ガールズバンドクライ」劇中バンドと連動しメイン声優を務めると同時に、リアルなバンド活動を展開している。楽曲はすべて玉井健二(agehasprings)がプロデュース。2023年7月に1stシングル「名もなき何もかも」をリリースし、その後もコンスタントに楽曲を発表している。最新シングルは2025年9月リリースの「薄采ディスプレイ」。同年9月にはキャリア初となる東京・日本武道館でのワンマンライブ「トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”」を行い、11月には東京・日本工学院専門学校 日本工学院アリーナでの「ナタリー × 日本工学院かまた祭 School Festival LIVE “トゲナシトゲアリ”」で学園祭に初出演する。