“カエル型宇宙人”誕生秘話

──音楽以外の活動についても聞かせてください。エステー「クルマの消臭力」の新CMを拝見しましたが、今回はCMだけでなく商品のパッケージにも西川さんの顔写真が印刷されているんですね。

そうなんですよ！ 「今回はパッケージに顔を入れたいんです」って言われて「大丈夫かな」と思いながら（笑）。

──「大丈夫かな」というのは？

いや、打ち合わせからその商品がお店に並ぶまで半年くらいあるので、その間に僕が逮捕されたりとかしたらどうするんだろ、とか。

──そこは心配してないです（笑）。あと三谷幸喜さんの新作映画「ギャラクシー街道」にも出演するそうですが。資料によると役どころが……カエル？（参照：西川貴教、三谷幸喜メガホンのSFコメディで“カエル型宇宙人”に）

えーと、スペースシンガーの、気の優しいカエル型宇宙人っていう……。

──三谷監督のコメントを見ると「今作では、ぜひミュージカルナンバーを入れたいと思い、宇宙を背景にフランク・シナトラのように歌い上げる歌唱力のある人という事で、お願いしました」とのことですが。

そもそものきっかけは、一昨年かな？ WOWOWの企画で三谷さんの番組に呼んでいただいて。

──もともと接点はあったんですか？

「新堂本兄弟」でゲストに来てくださったときにお話したことがあったくらいです。でも三谷さんのことは以前から大好きでした。で、そのWOWOWの番組で三谷さんが僕の似顔絵を描いてくださったんですけど、それがまんまカエルだったんです。

──えっ？

「獅子舞かカエルに見える」って言われまして。たぶんその段階で今回の役は決まっていた気がします（笑）。

専門じゃない人間の面白さ

──それにしても相変わらずの忙しさのようですが、オフは取れてるんですか？

ここ2、3カ月くらい、忙しくてテレビもほとんど観られずにいたんですけど、ちょうど昨日かな。珍しく夜にちょっと時間ができたんですよ。

──いいですね。

で、とりあえず録画用のハードディスクを整理しようと思って。録ってある番組の取捨選択をして、いらないものは削除して、っていうのをずっとやってたんです。

──西川さんもそういう庶民的なことをするんですね。

もちろん（笑）。そしたら、ちょうどピエール瀧さんが「スタジオパークからこんにちは」に出てる回があって。昔は瀧さんがNHKの朝ドラとかに出ることになるなんて考えもしなかったじゃないですか。

──そうですね。

しかも「オンとオフの切り替えはどうされてるんですか？」っていう質問に「ずっとオフなんです」って答えてたりして、もう本当に素晴らしいなと思って。そういうドラマのオファーに対して「やらないよ」 って言うのも簡単なはずなのに。

──でもその点は西川さんも同じですよね。

うん、僕も「こういう仕事はやりません」っていうのはたぶんいくらでも言えたんです。でも、やってみたら意外とできるようになるもので（笑）。それに、僕が舞台とか映画とか、それこそバラエティとかに呼んでいただいたりするのも、専門でやってる人間じゃないところの面白さっていうのはあると思うんですよ。やっぱりちょっと変じゃないですか。

──異物感みたいなものはあるかもしれないですね。

たぶんそうなんです。それにもし「なんかイメージと違う」とか言われたとしても、「それは僕を呼んだ人が悪いんですよ」っていう気持ちもあって。

──あはは（笑）。

だって専門でやってるわけじゃない人間を、無理やりそこに入れてるんですから。もちろん呼ばれたら誠心誠意がんばりますよ？ でも実はそういうぶっきらぼうなところは自分の中にあるんですよね。

──やっぱり音楽が本職だという意識が強いんでしょうね。

まあ「なんでもやります」みたいな感じもありますけど（笑）。

──確固たる芯があるからこそ幅広い活動ができているのかな、と思います。

うん、確かに昔だったらここまで柔軟にやれなかったかも。求められていることに関していつも精一杯応えていきたいという気持ちはありますね。