ナタリー PowerPush - T.M.Revolution

“異世界感”をさらに追求 セルフカバーでリミッター解放

リボルバーではなく火縄銃

──今「幻想を大事にしたい」という話がありましたけど、そうやってファンに夢を見せるために、西川さんは常軌を逸した仕事量を日々こなしてるわけですよね。その露出の多さや濃さはちょっと心配になるくらいなんですが。

2012年12月24日に横浜文化体育館で行われた「T.M.R. LIVE REVOLUTION '12 -Strikes Back X-」の模様

いや、ほんとにね。最近は初対面の方からも「お身体大丈夫ですか?」みたいなことを言われたりして「えっ?」と思ったりするんですけど(笑)。だけどT.M.Revolutionっていうのは、それくらい常軌を逸した行動のもとで初めて成り立つものだったりもするから(笑)。

──でもそもそもの話をすれば、今回も別に「15周年記念です」って言って普通のベストアルバムを出してもいいわけですよね。

そうですね。ふふふ(笑)。

──なんならリミックスアルバムでもいいと思うんです。リミキサーに音源渡して「やっといて」みたいな。

その通りですね。

──だけど西川さんは全部の音を作り直して、ボーカルも全部録り直している。

はい、ボーカルもオケもすべて。

──ファンとしてはうれしい限りですけど、何が西川さんにそこまでさせるんでしょうか?

なんなんですかね(笑)。もしこれが“西川貴教”だったらそこまでやってないかもしれない。でもT.M.Revolutionではそれをやらなきゃいけない。すごく手のかかる人なんです(笑)。この年末年始もそうですよ。プロレスとライブを一緒にやるって企画で、なぜか自分もリングに上がることになって、道場に通わなきゃいけないし、同時進行で正月公演のダンスも練習しなきゃいけないし(笑)。

──“のりーぱみゅぱみゅ”よかったですよ(笑)。

おかげで年末は頭の中パニックでしたよ。道場通ってライブのリハやって、ダンスのレッスンして……。でもそれぐらいやってるのがちょうどいいんです。それがT.M.Revolutionらしいというか(笑)。

2012年12月24日に横浜文化体育館で行われた「T.M.R. LIVE REVOLUTION '12 -Strikes Back X-」の模様

──瞬間のファンタジーを見せるために、実は必死の努力を重ねているという。

だから火縄銃みたいなもんですよね(笑)。決してリボルバーではないですもん。ドーン!って撃ったら次またもう1回弾を込めて。その労力も含めて大事だと思ってるし、特にこの3年くらいは一発一発きちんと狙いを絞ってしっかり撃つってことに注力してやってきた感じがある。それによってリリースペースはずいぶん落ちてますけど、地に足がついてる実感はありますね。華々しくはなくてもきちんと目に見える形で結果を出せてきたと思うんです。

リミッターを外して全部ぶちこんだ

──T.M.Revolutionのサウンドって、これは誤解を招く言い方かもしれませんが、ある意味“ガラパゴス”だったと思うんです。

いや、わかります。アンテナ伸ばせるケータイみたいな(笑)。

──なんというか、孤高の存在として、誰もやってないことをひたすら追求して独自の進化を遂げてきたという印象があって。そうやってT.M.Revolutionではあえてガラパゴスな姿勢を貫いていた西川さんの中に、実はこんなに多彩な音楽的引き出しが広がっていたということがすごく興味深いんですね。

確かに、T.M.Revolutionっていうプロジェクトでは自分のそういう部分を出さずに、あえて内に向かっていたところはありますね。さっき言ったみたいにT.M.Revolutionは音楽性の縛りがないだけに、逆に自分の中である程度方向性を絞り込んでいかないとよくわからないことになってしまう。非常に微妙なバランスでできあがってるものだからこそ、オリジナルアルバムでは触らないようにしていた部分もあったんです。今回の「UNDER:COVER 2」の制作ではそういうリミッターを外して、今の自分が持てるスキルをとりあえず全部ぶちこんでみるっていう形で作ってみました。

2012年12月24日に横浜文化体育館で行われた「T.M.R. LIVE REVOLUTION '12 -Strikes Back X-」の模様

──実際やってみてどうでしたか?

レコーディング自体をすごく楽しめましたね。

──でもそういう“なんでもあり”のスタイルだと、何をやってもいいぶん、かえって迷ったりしませんか?

いや、サウンド面ではいろんなアプローチをしてるんですけど、やっぱり自分がロックボーカリストだっていうことが軸になってるので。だからライブで再現できるかどうかはすごく大事だし、サウンドと自分の声との相性も常に探りながら作ってますね。

ニューアルバム「UNDER:COVER 2」/ 2013年2月27日発売 / エピックレコードジャパン
完全生産限定盤 [CD2枚組+オリジナルアンダーウェア]
完全生産限定盤
完全生産限定盤 Type A / 8000円 / ESCL-4019~4021
完全生産限定盤 Type B / 8000円 / ESCL-4022~4024
完全生産限定盤 Type C / 8000円 / ESCL-4025~4027
初回限定盤 [CD+DVD]
初回限定盤
初回限定盤 / 3990円 / ESCL-4028~4029
通常盤 [CD]
通常盤 / 3059円 / ESCL-4030
初回仕様ジャケット
通常仕様ジャケット
CD収録曲
  1. LEVEL 4
  2. 蒼い霹靂
  3. IMITATION CRIME
  4. INVOKE
  5. last resort
  6. 独裁-monopolize-
  7. とっておきのおはなし~新説恋愛進化論
  8. O.L
  9. Burnin' X'mas
  10. SHAKIN' LOVE
  11. Out Of Orbit ~Triple ZERO~
  12. WILD RUSH
  13. Albireo-アルビレオ-
  14. vestige-ヴェスティージ-
  15. Tomorrow Meets Resistance
完全生産限定盤ボーナスCD収録曲
  1. Meteor-ミーティア-
初回限定盤DVD収録内容
  • イナズマロックフェス2012より、T.M.Revolution LIVEの模様を収録
T.M.Revolution (てぃーえむれぼりゅーしょん)

1970年滋賀県生まれの西川貴教によるソロプロジェクト。1996年5月にシングル「独裁-monopolize-」でメジャーデビュー。キャッチーな楽曲と圧倒的なライブパフォーマンスで人気を集め「HIGH PRESSURE」「HOT LIMIT」「WHITE BREATH」などのヒット曲を連発する。2008年には「滋賀県ふるさと観光大使」に任命され、2009年からは滋賀県初となる大型野外ロックフェス「イナズマロック フェス」を主催。2011年夏にはポルトガルの少年・ミゲルとエステー「消臭力」のCMで共演し話題を集めた。2013年2月にはセルフカバーアルバム第2弾「UNDER:COVER 2」をリリース。