音楽ナタリー PowerPush - THE TURTLES JAPAN

KAMEADA×YAMAMURA×SAKAIが構築する ELECTRONICなHUMANITY

KAMEDAのクレイジーさ倍増

──そんなユニットとしての方向性、アティチュードが結実したのが、今回リリースされる1stアルバム「ELECTRONIC HUMANITY」になるわけですよね。

SAKAI はい。めちゃくちゃバラエティに富んだアルバムになりましたね。

──“ELECTRONIC”と“HUMANITY”というワードを結んだアルバムタイトルが象徴的ですが、本作には本来相反するはずのものが融合している感じがすごくありました。

KAMEDA 僕らがやっている音楽性はEDMのサウンドとバンドサウンド、いわゆるデジタルとアナログの融合なんですけど、そこに存在する“健全な違和感”みたいなものにはすごくこだわりをもってやっていたところがありました。自然を感じさせつつも、完全にネイティブではない何かがそこに交じっているというビジュアルもそういうことだし。一見、ごちゃっと見えるし聞こえるかもしれないけど、そこにはなんらかの“アテンション”が生まれると思うし、きっと惹かれるものがあるんじゃないかなって。

「風花」ビデオクリップのワンシーン。

YAMAMURA 電気と自然のように相反するものをうまくバランスを取りながら共存させることには確かにこだわってましたね。同時に、うまくバランスが取れない違和感もまた人間臭さにつながるところもあるだろうなと思っていたし。だから、生まれてきたメロディのイメージとは逆のことを歌詞で書いてやろうとかね、そういう実験的なこともすごくやれたと思います。

KAMEDA 実験はたくさんしたよね。「It's Alright!」のときって、遠慮ってほどではないけど、どこかにflumpoolっぽさもなければいけないだろうなっていう勝手な僕のプロデュース感覚が働いていたところもあったんだけど、そこも取っ払われちゃったというか(笑)。

YAMAMURA KAMEDAさんのクレイジーさが増しましたよね(笑)。前は、僕らから「flumpoolのイメージをもっと壊してください」ってお願いしてたけど……。

KAMEDA 今回は逆だったもんね。

YAMAMURA そう。なんかとんでもないことになってきたなっていう(笑)。でも、すべてが想像を超えるほどカッコいい曲たちばかりで。

SAKAI 僕の中でもだいぶいろんなものを割り切れたところがあったんですよ。ライブでの再現性を考えずに曲作りしたり、曲のテーマどうこうではなく徹底的にアガる曲を作ろうとしたり。今まで以上に自由にやれた感覚がありますね。

KAMEDA それを僕がまたさらにぶっ壊しにかかるっていうね(笑)。「もう勘弁してよ」って思うこともたまにあったんじゃないの?

SAKAI いやいや、まったくないっすよ! 僕が作った曲をKAMEDAさんが全部ぶっ壊して、EDMの要素を入れてくれるのが楽しかったですからね。何を投げてもカッコよくしてくれるから、ものすごくキャッチーなものであったり、シャッフルのノリを持つ曲であったり、いろんな曲にチャレンジすることができました。

KAMEDA 「10/10」なんかは、バンドっぽい、シャッフルの曲を作ってほしいって僕がリクエストをしたんだよね。

SAKAI そうでしたね。

KAMEDA で、それをバンドっぽくやるのではなく、最終的にはEDMの手法でアレンジしてしまうっていうね。まあ、ギターとベースは生で弾いてますけど。

理屈抜きに聴き手をアゲアゲにしたい

──本作はEDMの要素にフォーカスされがちですけど、生音ならではの温かみもやっぱりすごく大きな魅力であるように思います。

「風花」ビデオクリップのワンシーン。

KAMEDA THE TURTLES JAPANでは理屈抜きに聴き手をアゲアゲにしたいと思っているので、EDMの持っている「ええじゃないか、ええじゃないか」のノリというか、みんなが踊りの輪に入っていけるようなスタイルを選んだことはすごく明快なんですよ。さらに今、僕の中でEDMがキテて、積極的に盛り込んでいるっていうところもあって。ただ、僕はパソコン1台あれば作れてしまうようなEDMをやりたいわけではなくて。そこにYAMAMURAの歌やSAKAIのギター、僕のベース、さらに曲によってはJINGUJIやISOGAIを呼ぶことで、それぞれの個性やヒューマニティがしっかり浮き上がってくるっていう、そういう工程を1曲ごとに遊びながら楽しんでいる感じなんですよね。

──アルバム全体から漂うその遊び感覚もまた聴き手に向けてのメッセージになっているわけですよね。先ほどお話していただいたワンちゃんの例えのように。

KAMEDA そうそう。1台のパソコンだけで完結することって、今の時代に生きている人はみんな体験していると思うんですよ。メシ食ってるときや電車に乗っているときにもみんなスマホで自分だけの世界に入ってますから。でも、そこにじゃれあう仲間がいることで、世界はよりハッピーになるんだよっていう、そういうことを僕らは現場で、音楽で実践してるところはあると思いますね。

1stアルバム「ELECTRONIC HUMANITY」/ 2015年4月8日発売 / 2484円 / A-Sketch / AZCS-1044
1stアルバム「ELECTRONIC HUMANITY」
収録曲
  1. It's Alright!
  2. 10/10
  3. Jerassic
  4. 風花
  5. 十二単
  6. AB LOVE LOVE
  7. JAPANESE SPIRITS pile-up
  8. ELE!!!
THE TURTLES JAPAN Zepp Tour 2015「ELECTRONIC HUMANITY」
  • 2015年4月15日(水)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2015年4月17日(金)大阪府 Zepp Namba
  • 2015年4月21日(火)東京都 Zepp DiverCity TOKYO ※SOLD OUT
THE TURTLES JAPAN(タートルズジャパン)

音楽プロデューサーの亀田誠治(KAMEDA)、flumpoolの山村隆太(YAMAMURA)と阪井一生(SAKAI)を中心に結成されたユニット。2014年10月に大阪・大阪城ホールで行われた「uP!!!presents MBS音祭2014」で初パフォーマンスを披露。奇抜なビジュアルと、ポップかつスケール感のあるサウンドで話題を集める。2014年11月に1stシングル「It's Alright!」をリリース。同時期よりレミオロメンの神宮司治(JINGUJI)とシンガーソングライターの磯貝サイモン(ISOGAI)を含む現在の編成となる。2015年4月に1stアルバム「ELECTRONIC HUMANITY」を発表。同月に3日限りの初のツアーを東名阪のZeppで開催する。