音楽ナタリー Power Push - THE PREDATORS

「進化を望むのは本体のバンドでやればいい」10年間変わらないジャストな距離感

the pillowsの山中さわお(G, Vo)、GLAYのJIRO(B)、Scars Boroughの高橋宏貴(Dr)によるTHE PREDATORSが約3年ぶりとなる新作「ROCK'N'ROLL PANDEMIC」をリリース。「Ramonesのようなパンクロック」をコンセプトに制作されたという本作は、アグレッシブかつストレートなロックンロールが体感できる作品に仕上がっている。

今回ナタリーではメンバー3人にインタビュー。新作「ROCK'N'ROLL PANDEMIC」の制作プロセスを中心に、メンバーの関係性、活動スタートから10年目を迎えた感想、さらにTwitterで募集したファンからの質問にも答えてもらった(参照: THE PREDATORSがTwitterで寄せられた質問にズバリ回答!)。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 上山陽介

5曲も歌詞を書いてもらえてビックリしてます

──3年ぶりのアルバム「ROCK'N'ROLL PANDEMIC」がリリースされます。今回の制作はどんなふうにスタートしたんですか?

JIRO THE PREDATORSは大体2年おきくらいにやってるんですけど、僕のGLAYとさわおさんのthe pillowsが去年アニバーサリーイヤーだったので、「じゃあ、その次の年かな」という話はなんとなくしていて。今年の1月にさわおさんから「もし曲があるんだったら、ぼちぼち歌詞を書いていきたいので、送ってくれない?」って連絡が来て、早々に曲をまとめてデモを送ったのが始まりですね。

──今回は7曲のうち5曲がJIROさんの作曲ですが、普段からTHE PREDATORS用に曲を書いているんですか?

JIRO 最近はGLAYもTHE PREDATORSもあまり分けないで作ってるんですよ。「THE PREDATORSっぽいものをGLAYでやったらどうなるんだろう?」って思って提案してみることもあるし、今回も今まであまりやったことがない感じの曲をさわおさんに送ったりもして。いずれにしても僕は歌詞を書かないので、歌詞を書いてくれる人にとって感触のいいものを送ろうとは思ってるんですよ。今回の場合はたぶん6~7曲くらいしかデモを送ってないんですけど、結果的に5曲も歌詞を書いてもらえて。僕もビックリしてます。

──先に曲があって、歌詞が書けたものから制作するというスタイルは、the pillowsと同じですね。

山中さわお(Vo, G)

山中さわお うん。ただ、JIROくんは「歌詞を書かない」って言ったけど、デモにはデタラメの歌詞が乗ってるんだよね。それが俺にとっては……1から2にするのはそうでもないけど、0から1にするのはすごく難しいので。

──JIROさんのデモに乗ってる仮の歌詞がヒントになる場合も?

山中 そうだね。例えば2曲目の「Smoky Surf Shop Boogie」は仮タイトルに「Surf Shop」って書いてあって。1行目の「海外通りのサーフショップ」もそのままだよね?

JIRO うん、そうですね。

山中 「サーフショップに集まるバカな男たちのストーリーみたいなもの」が乗っかっていたんだよね。それを自分の口で歌うときに、もっとフィットするように単語を変えてみることもあるし、その妄想の世界の主人公たちを動かすことによって「そこに取り巻くものはどんなものだろう?」って考えることもあって。JIROくんの曲に関しては、ほぼそういうことがあったかな。「Typhoon Jenny」も最初からこのタイトルだったよね?

JIRO 最初は「Typhoon Jerry」でしたね。

山中 え、ホントに?

JIRO はい。前作(「Monster in my head」)に「Hurry up Jerry!」という曲があって「同じJerryだけど、仮タイトルだからいいや」って。言葉のノリもハマってたので。

山中 じゃあ、俺が読み間違えてたんだ(笑)。……まあ、そういう感じです。

Ramonesで画像検索して「これはヤバいな」と

──THE PREDATORSはNirvanaの曲をモチーフにしてきたわけですが、今回はRamonesというテーマがあったそうですね。

山中 もともとテーマになりそうなロックンロールアイドルがあったほうがわかりやすいバンドだからね。ずっとNirvana推しで来たんだけど、4枚作ってさすがにもう限界だと。で、以前から織り交ぜつつあったRamonesでいこうかなって思って。

──バンドのビジュアルもRamonesのテイストですからね。高橋さんはRamonesは通ってますか?

高橋宏貴 何曲か知ってるくらいで、ほとんど通ってないかもしれないですね。最初にRamonesというテーマを聞いたとき、まず画像を検索したんですよ。そしたら前髪がそろってる写真が出てきて、これはヤバいなと。

──長めのマッシュルームカットですからね。

高橋 そうそう。2日間くらい、それに支配されちゃってました。

JIRO ハハハ(笑)。

山中 たださ、前髪がそろってるマッシュルーム的な髪型をDisると、それは同時にTHE COLLECTORSの加藤(ひさし)さんをDisることになるからね。現役でやってらっしゃるんだから。

高橋 いやいや、そういうことではないです! 「この髪型を自分たちにどう近づけるのか?」って考えてドキドキしてただけなんで。

──(笑)。音のイメージについてはどうですか?

高橋 ストレートでガッツがある感じかなって。それは自分も得意とするところだと思うし。

山中 高橋くん、まったくRamonesとは関係ない曲を書いてきたけどね。

高橋 何も引っかかってないですね(笑)。

山中 俺のリクエストは無視されたってことか(笑)。

5thアルバム「ROCK'N'ROLL PANDEMIC」 / 2015年8月26日発売 / 発売元:DELICIOUS LABEL / 販売元:ポニーキャニオン
5thアルバム「ROCK'N'ROLL PANDEMIC」
初回限定盤 [CD+DVD] / 2808円 / PCCA-90039(BUMP-046)
通常盤 [CD] / 2160円 / PCCA-90040(BUMP-047)
CD 収録曲
  1. Nightless City
  2. Smoky Surf Shop Boogie
  3. LAID BACK BOY’S BLUE
  4. WALK ON THIS WAY!
  5. START!
  6. Bite And Fight!
  7. Typhoon Jenny
初回限定盤DVD 収録内容
  1. Nightless City(Music Video)
  2. Smoky Surf Shop Boogie(Music Video)
  3. Typhoon Jenny(Music Video)
「ROCK'N'ROLL PANDEMIC」ツアー
2015年9月23日(水・祝)東京都 TSUTAYA O-EAST
2015年9月25日(金)宮城県 Rensa
2015年9月27日(日)北海道 札幌PENNY LANE24
2015年9月30日(水)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
2015年10月2日(金)福岡県 DRUM LOGOS
2015年10月4日(日)大阪府 なんばHatch
2015年10月6日(火)愛知県 DIAMOND HALL
2015年10月9日(金)東京都 Zepp Tokyo
THE PREDATORS(プレデターズ)

THE PREDATORS

the pillowsの山中さわお(Vo, G)、GLAYのJIRO(B)、Scars Borough及びELLEGARDENの高橋宏貴(Dr)によるスリーピースバンド。メンバー全員が母体となるバンドがあるため、活動ペースは2年に1回程度。結成時のメンバーは山中、JIRO、ナカヤマシンペイ(ストレイテナー)の3人で、2005年7月に初音源となるミニアルバム「Hunting!!!!」を発表し、同時に「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2005 in EZO」をはじめ各地の夏フェスやライブイベントに出演する。その後2008年10月に2ndミニアルバム「牙をみせろ」を発売。2010年3月にはナカヤマの脱退と同時に高橋の加入が発表され、同年8月に3rdミニアルバム「THIS WORLD」をリリースする。2012年8月に4thミニアルバム「Monster in my head」を発表。2015年8月に3年ぶりの新作「ROCK'N'ROLL PANDEMIC」をリリースし、9月から全国ツアーをスタートさせる。