独立したバンドになったような感じがした

──山中さんはアルバム発売決定の際に公開した動画メッセージで「毎回いいけど、今回は特にいい！」と言ってますが、その根拠は？

山中さわお（Vo, G）　んーなんだろ？ 「好き」って感じかな。オーディオ的に録り音も気に入ってるし、デモテープのときはもちろん、完成してからもすごい回数聴いてるかな。

──今回はオールタイムフェイバリットといえるものができたと。

山中　うん。そうだね。あんまり聴き手のみんなが知る必要がないというか、知り得ない完成までのプロセスがすごく良かったんだと思う。前作は（ドラムが）高橋くんになってから初めてのアルバムだったし、多分もう少し探り探りだったと思う。俺たちって言わば借り物なわけじゃない？ 寄せ集めのバンドなんだけど、今回はTHE PREDATORSっていう独立したバンドになったような感じがしたのかな。そこに至るプロセスが気持ち良かったのかもしれない。

──高橋さんは2度目のレコーディングはいかがでしたか？

高橋宏貴（Dr）　スタジオの空気感とか進め方とか速度とか、いろんなものが2回目だったから、想像しなくていいというか。だから肩の力が抜けてやりやすかったです。

おいしいとこ取りバンドだから

──NIRVANAのカバーから始まったTHE PREDATORSですが、4作目にして意識の変化はありますか？

山中　多分意識みたいなものはそんなに変わってないと思う。CDに収録されるのはいつもたった7曲だからさ、そのときどきの気分でダークな印象になったり、ポップな印象になったりするんだけどね。俺、姿勢としては真剣じゃなくていいと思ってる。「真剣でなくてもいい。それは自分のバンドでやろうよ」みたいな気持ちは変わってないかな。ただ、サボることが目的ではないから。結局、録るときは自分の一番いいものを出すし、自分でそのCDを好きにならなきゃ意味がないし。

──なるほど。

山中　ただ、最初の頃は「誰がどの役割をしたらいいんだろう？」みたいな、音楽作りじゃない部分は探り探りで、割とごちゃごちゃしてたんだけど、だんだん役割分担ができてきて。それが多分今、“バンドっぽい”ってことだよね。

JIRO（B）　そうですね。「THE PREDATORSがこうあるべき」っていうのは誰にもわからなかったので、どれが正解かを探るのに時間がかかったってとこだと思います。やっぱり2年に1回しか動かないバンドなので。それがようやく順調にレコーディングして、プロモーションして、ライブしてっていうのができるようになったのは、THE PREDATORSとして「こうありたいね」っていう基盤ができたからなのかなって。

──お互い忙しいスケジュールをやりくりしてでも集まりたくなる、このバンドの魅力ってなんですか？

山中　だって、THE PREDATORSはおいしいとこ取りバンドだから。バンドの楽しい部分っていうか、上澄みだけをすくうバンドだから。苦悩もないし、超えるべきハードルもないし、楽しいに決まってるよね？ 楽器とかロックとか好きで集まってる人間だったら（笑）。

俺の人生にそんなことが起こるなんて思ってなかった

──「Monster in my head」の中身について聞かせてください。1曲目の「God Game」の歌詞は、東日本大震災以降に対する辛らつな声明に聞こえますけど、そういうことでしょうか？

山中　もちろんその気分が影響してたことはあるけど、そのことを歌おうと思った曲じゃないよ。自分が個人的にすごく疲れてて暗いときだったから、その時期に書いた歌詞はthe pillowsも含めてそうなっちゃってんのかな？

──なるほど。それから、今回はヘビーな曲よりポップな曲に迫力を感じました。しかも後半にいくに従って、どんどん軽くなってくるし。

山中　確かに。「Crazy Babar」ってタイトルはあり得ないし（笑）。

JIRO・高橋　ハハハ（笑）。

山中　俺の人生にそんなことが起こるなんて思ってなかった。“クレイジーババア”ってタイトルの曲を作るなんて（笑）。

──そのまんまの意味だったんですね（笑）。

山中　前回THE PREDATORSとして動いてるときに、飛行機の中で現実にいたクレイジーなババアと、そのうしろでグーグー寝てる高橋くんの歌を、ツアー中に作ってライブで即興で披露して（笑）。今回この曲のビデオクリップを作ったんですけど、そのときの出来事を忠実にアニメ化したっていう、くっだらないビデオなんです（笑）。