“ファンタジー”って言葉は“嘘”とも受け取れるじゃないですか
──なぜ、チャームさんはそうやって、自分自身を音楽で表現し続けているのだと思いますか?
それしか語れないからだと思います。自分はこういう人間で、こう思って、こう動いた……それしか伝えることができないんですよね。もちろん、この先どうなるかはわからないですけどね。でも、自分のことは自分が一番わかっているはずだし、そのうえで共感してもらえれば成功だと思うし。あまり自分の作る音楽を“商品”とは言いたくないですけど、ただ、「いい商品を作るには、自分に一番必要なものを考えて売るのが一番いい」という話を、以前聞いたことがあって。曲に関しては、以前からずっと自分が聴きたい音楽を作り続けてきたし、自分のことを表現した音楽が、今の自分にとっては一番作りがいがあるんですよね。
──「Timeless Imperfections」を聴いて僕が思ったのは、「自分を表現する」という点はずっとチャームさんの中で一貫しているとしても、今作ではより一層、パーソナルな部分が剥き出しになっているんじゃないか、ということで。
なるほど……人としては変わっていないつもりなんですけど、考えてみると、去年のアルバムや、その前にリリースしたアルバムの頃に比べたら、ライブの数は確実に増えているんですよね。ライブが増えるにつれて、お客さんたちに対して、少しずつリラックスできるようになっている気はするんです。「自分は音楽で、こんなお客さんたちとつながっているんだなあ」ということを、去年ぐらいから少しずつ確かめることができている感覚はあります。今までは、「誰のために歌うんだろう?」とか「誰が聴いてくれているんだろう?」っていう不安があったので、自分を少し閉ざしていた気もするんですけど……今はもうちょっと、自分を開くことができているかもしれないです。
──例えば、配信シングルとしてもリリースされたDISC 1の7曲目「ワンダーランド」は、すごく内省的な歌詞だなと思ったんですよね。
そうですね。まあ、ポジティブにもネガティブにも受け取れるとは思うんですが。「ワンダーランド」には「real-life fantasy」という言葉が出てくるんですけど、“ファンタジー”って言葉は“嘘”とも受け取れるじゃないですか。この曲を書いた頃は、どうしても胡散臭いものや偽物っぽいものが目に付いてしまっていた時期で。それをどう乗り越えていこうか?ということを、「ワンダーランド」では歌っているんです。
──そういった歌を歌うことできるというのは、聴いている人たちに対して信頼感を抱けているからだとも思うんです。自分をさらけ出して表現しても、ちゃんと受け止めてもらえるんだっていう。
うん、そうだと思います。今回のアルバムは、メジャー1stアルバムとはいえ、一応、THE CHARM PARKとしては4作目の作品なので。初対面から、少しずつ仲良くなっていくような感じなんですよね。少しずつ、お客さんとの関係の中で、くつろぐことができているように思います。
同じ灰色の中で、どちらが白に近くて、どちらが黒に近いか
──チャームさんは、ご自身の作る音楽で、どんなふうにお客さんとつながっているのだと思いますか?
うーん……言葉にはしづらいです。ただ、地方にライブに行って、物販でお客さんと話したりすると、みんなそれぞれ違った曲が好きなんですけど、皆さんおっしゃっていることはどこか似ているような気がするんです。みんなバラバラなんだけど、どこか近しいものを、自分の音楽から感じてもらえていると言うか……。
──どんな思いが共通しているのでしょう?
そこは正直、自分では言葉にしたくないです……恥ずかしいので(笑)。
──わかりました(笑)。では、「Timeless Imperfections」はDISC 1とDISC 2で、それぞれどういった自分自身が表現されているといえますか?
何かが明確に分かれているっていうわけでもないんですよね。白か黒かで言えば、DISC 1もDISC 2も、どちらも灰色なんです。同じ灰色の中で、どちらが白に近くて、どちらが黒に近いか、そのぐらいの違いと言うか。
──僕が聴いていて思ったのは、DISC 1は、チャームさんの個人としてのさまざまな思いがより色濃く刻まれていて、DISC 2は、身近にいるさまざまな人たちとの関わり合いの中にいるチャームさんの姿が刻まれているのかな、と。
おおー……そう思ってもらえたのはうれしいですね。一応、歌詞も英語と日本語に分けているので、そこまではバレないと思っていたんですけど……そういうことです(笑)。演奏も今言ってもらったような感じで、DISC 2は身近ないろんな人たちに参加してもらっていて、歌っている内容も“誰かのため”のものが多いです。DISC 1も決して1人だけで演奏しているわけではないんですけど、でも、そうやって分けることはできると思います。
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未完成な部分が残っているものほど、色あせない魅力がある
- THE CHARM PARK
「Timeless Imperfections」 - 2018年12月5日発売 / rhythm zone
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[CD2枚組] 3402円
RZCD-86709~10
- DISC 1「Side-A」収録曲
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- 三十一
- アタック
- Imperfection
- マジック
- カルペ・ディエム
- Turn It Around
- ワンダーランド
- Leap of Faith
- DISC 2「Side-B」収録曲
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- タイムレス
- くちづけ
- Mothers
- 君の声が聴こえてくるよ
- For Me
- 休日
- フォー・ユー
- Put your love in it
- Always
- 公演情報
THE CHARM PARK
Timeless Imperfections Tour 2019 -
- 2019年1月14日(月・祝) 宮城県 enn 2nd
- 2019年1月18日(金) 大阪府 BananaHall
- 2019年1月20日(日) 福岡県 ROOMS
- 2019年1月25日(金) 愛知県 THE BOTTOM LINE
- 2019年1月27日(日) 東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- THE CHARM PARK(チャームパーク)
- シンガーソングライター、Charm(チャーム)によるソロユニット。小学校3年生から高校生までアメリカ・ロサンゼルスで過ごし、その後ボストンの音大に進学。卒業後に再びロサンゼルスで24歳まで生活する。その後、日本にて音楽活動を開始し、2015年11月にTHE CHARM PARKとしての初作品となるミニアルバム「A LETTER」を発表。叙情的で美しい楽曲とオーガニックかつダイナミックなサウンド、緻密なメロディで注目を集めた。また自身のソロ活動のほかに、ASIAN KUNG-FU GENERATION、V6、登坂広臣(三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE)、南波志帆らへの楽曲提供や、大橋トリオのツアーサポートでも活躍。2018年に配信シングルを3作リリースし、同年12月5日にメジャー1stアルバム「Timeless Imperfections」を発表した。