THE CHARM PARKが12月5日にメジャー初のアルバム「Timeless Imperfections」をリリースした。このアルバムはボリュームたっぷりな2枚組。DISC 1「Side-A」はダイナミックなサウンドに彩られたジャンルレスな内容で、DISC 2「Side-B」は情緒的で美しくオーガニックなサウンドで構成されている。
これまで洗練された良質なポップソングを世に送り出してきた彼が、メジャー第1弾にして2枚組オリジナルアルバムという、挑戦的で思い切った作品を作り上げたのはなぜなのか。このアルバムに込められた思いを本人に聞いた。
取材・文 / 天野史彬 撮影 / 相澤心也
名盤と呼ばれる作品は1度プレイヤーに入れたら最後まで聴くことができるもの
──ついにメジャー1stフルアルバム「Timeless Imperfections」のリリースとなりますけど、CDでは2枚組という大作となりましたね。正直、メジャーの一発目でこのボリュームというのは、かなり挑戦的だなと思いました。
このアルバムに入っているのは全曲、今年に入ってから作った曲なんです。それより以前に作った過去曲は一切入っていません。配信で出した「ワンダーランド」「カルペ・ディエム」「Mothers」「フォー・ユー」の4曲は夏までにリリースされていて、それ以外の曲も同時進行か、それ以降に作っていたんですけど……そこで生まれた曲たちを1枚にまとめて出してしまうことに、すごく違和感を覚えたんですよね。
──それはなぜでしょう?
去年リリースした「THE CHARM PARK」というアルバムは、バラエティに富んでいるように見せるため1曲1曲、かなりバラバラなテイストで作ったんですけど、その反省点として、1枚通してスルッと聴けるものにならなかった、というのがあって。例えば「ちょっとリラックスしたいときに聴きたい曲はこれ」「気合を入れたいときに聴きたい曲はこれ」みたいな感じで、アルバムと言うよりはプレイリスト的なものになってしまったんですよね。今回のアルバムはそういうものにしたくなかったんですけど、今年できた曲たちを1枚にまとめようとすると、どうしても難しい。それで一時期すごく悩んだんですが、そんなときに、「2枚組にするのはどうだろう?」というアイデアが出てきたんです。
──なるほど。
2枚組であれば、それぞれにトーンを分けることで、1枚1枚のディスクに一貫性を持たせることができるな、と思って。自分のアルバムを“名盤”と言うのはおこがましいですけど、やはり名盤と呼ばれる作品は一度プレイヤーに入れたら最後まで聴くことができるものだと思うし、今年、自分が作るアルバムとしては、この形が正解なんじゃないかと思ったんですよね。
DISC 1のような自分とDISC 2のような自分、両方を合わせて自分自身
──2枚それぞれを独立した作品として、時期を分けてリリースするという選択肢は、チャームさんの中にはなかったのでしょうか?
一応、配信ではDISC 2のほうを先行配信するんですけど、自分の意志としては、ここに収められた曲はすべて“1つの作品”としてまとめたかったんです。どちらか1つだけで「これがTHE CHARM PARKです」と言うのではなく、両方のアルバムを合わせて「これがTHE CHARM PARKです」と言いたかった。
──1つのモード、1つのテイスト、1つの感情……それだけで自分自身を表現してしまうことに対して、違和感がある?
自分のアイデンティティ的にも、それはあると思います。僕は、生まれは韓国で、育ちはアメリカで、今生活しているのは日本で……いろんな自分がいるんですよね。僕には英語でしゃべる友達と、日本語でしゃべる友達がいますけど、どちらの友達が目の前にいるかで、自分のモードやアイデンティティも、ちょっと変わってくるんですよ。そう考えると、音楽にも、いろんな自分が反映されているのは当然のことなんです。今回のアルバムでも、DISC 1のような自分もいれば、DISC 2のような自分もいる。その両方を合わせて自分自身なんです。でも、きっとみんなそうですよね。家族と一緒にいるときの自分、友達と一緒にいるときの自分、1人のときの自分……いろんな自分がいると思います。
──うん、そう思います。お話を聞いていると、やはりチャームさんにとって音楽というのは「自分自身を表現するもの」という意味合いが強いですよね。しかもそこには、かなりの誠実さと正直さが込められている。
話しながら思ったんですけど、このアルバムには、今年作った曲だけが収録されていますけど、去年のアルバムも、去年作った曲だけの集まりだったんですよね。自分は、その時々で思うことを歌詞に書いたり、曲として表現しているんだろうなって改めて思います。そういうやり方じゃないと、素直に曲が作れないんですよね。そのとき、自分が思っていないことを歌詞で書いたりすることに、違和感があるんです。DISC 1の1曲目に、アルバムのイントロダクションになる「三十一」という曲がありますけど、31って今年の自分の年齢なんです。面白いことに、偶然この曲では31本の声を重ねて録っていたんですけど(笑)、やっぱり、自分にとってアルバムは日記的なものなんですよね。
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“ファンタジー”って言葉は“嘘”とも受け取れるじゃないですか
- THE CHARM PARK
「Timeless Imperfections」 - 2018年12月5日発売 / rhythm zone
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[CD2枚組] 3402円
RZCD-86709~10
- DISC 1「Side-A」収録曲
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- 三十一
- アタック
- Imperfection
- マジック
- カルペ・ディエム
- Turn It Around
- ワンダーランド
- Leap of Faith
- DISC 2「Side-B」収録曲
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- タイムレス
- くちづけ
- Mothers
- 君の声が聴こえてくるよ
- For Me
- 休日
- フォー・ユー
- Put your love in it
- Always
- 公演情報
THE CHARM PARK
Timeless Imperfections Tour 2019 -
- 2019年1月14日(月・祝) 宮城県 enn 2nd
- 2019年1月18日(金) 大阪府 BananaHall
- 2019年1月20日(日) 福岡県 ROOMS
- 2019年1月25日(金) 愛知県 THE BOTTOM LINE
- 2019年1月27日(日) 東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- THE CHARM PARK(チャームパーク)
- シンガーソングライター、Charm(チャーム)によるソロユニット。小学校3年生から高校生までアメリカ・ロサンゼルスで過ごし、その後ボストンの音大に進学。卒業後に再びロサンゼルスで24歳まで生活する。その後、日本にて音楽活動を開始し、2015年11月にTHE CHARM PARKとしての初作品となるミニアルバム「A LETTER」を発表。叙情的で美しい楽曲とオーガニックかつダイナミックなサウンド、緻密なメロディで注目を集めた。また自身のソロ活動のほかに、ASIAN KUNG-FU GENERATION、V6、登坂広臣(三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE)、南波志帆らへの楽曲提供や、大橋トリオのツアーサポートでも活躍。2018年に配信シングルを3作リリースし、同年12月5日にメジャー1stアルバム「Timeless Imperfections」を発表した。