THE CHARM PARK|新作に素直に込めた“現在の自分”

THE CHARM PARKが7月3日にミニアルバム「Standing Tall」をリリースした。

昨年12月に発表されたメジャー1stアルバム「Timeless Imperfections」以来の新作リリースとなる今作。収録された6曲すべてにタイアップが付いているという華やかな側面を持つが、THE CHARM PARK本人は「素直に現在の自分が表現できた」とこのミニアルバムについて語っている。

彼が6つの収録曲に投影した“素直な現在の自分”とは。リリースを記念して、本人に話を聞いた。

取材・文 / 天野史彬 撮影 / 永峰拓也

体や口から出てきたものがそのまま作品になっている

──去年の12月にリリースされたメジャー1stアルバム「Timeless Imperfections」はCD2枚組の濃密で重厚な作品でしたが、あれから半年というスパンで、こうしてチャームさんから作品が届けられたのがとてもうれしいですね。

ありがとうございます。でも実はまだ、あまり自分ではこの作品を客観的に聴けていないんですよね。今回のレコーディングは、サポートや楽曲提供で忙しい中やっていたというのもあって、がんばらないと締め切りに間に合わない感じだったんです。息抜きは「ゲーム・オブ・スローンズ」だけ、みたいな日々で(笑)。なので、今はとりあえず間に合ってホッとしていて。

──(笑)。チャームさんは普段、ご自身の作品をよく聴き返しますか?

もちろんライブのために聴くことはありますし、制作している時期も聴き返しながら曲を作り上げていきます。ただ、0から1を生み出すときにはときめきがあるけど、1から10を完成させる段階に入ると「曲を形にしなきゃいけない」をいう義務感が出てきてしまうもので。いつも完成して数カ月くらい経ったら、ようやく聴き返すことができるという感じですね。

──チャームさんの中に0から1が生まれるのは、どんなときが多いですか?

これまでは3日間くらい何もしないで、あえて自分から“廃人モード”になることが多かったです(笑)。そうすると徐々にゾワゾワしてくるというか、危機感が出てくるんですよね。で、3日目の深夜2~3時くらいに楽器やパソコンに向かうと、「こういう曲を作りたいな」と浮かんでくることが多いんです。それは、「降りてくる」という表現が合っているかもしれない。自分から生まれるというよりは、自然に、きっかけを与えられるのを待っている、というか。最近はあまりそういう時間を作ることができていないので、余計に大事な時間だなと思いますね。

THE CHARM PARK

──今作「Standing Tall」に関するご自身のコメントで、「前のアルバムに比べて素直に現在の自分が表現出来たかと思います」と書いていらっしゃいましたよね。その「素直さ」というのは、どのようにして生まれたものなのだと思いますか?

「Timeless Imperfections」は2枚組だったので、曲の量が多くてけっこうバタバタしながら作ったんですけど、それでも作った曲を聴き直して修正するという作業を何度も繰り返しながら作ったアルバムだったんですよね。でも、今回のミニアルバムの6曲に関しては、そうやって繰り返し修正していく作業が少なめだったんです。なので、自分の中から出てきたものが、あまり客観的な状態で見ずにそのまま曲として出ているなっていう感じがします。本当に体や口から出てきたものが、そのまま作品になっている感じがする、というか。そういう意味で「素直」な感じがします。歌詞も、その当時に思っていたことがそのままメロディに乗っている感じがするんですよね。

パーソナルな場所から生まれるもの

──今回、収録された6曲すべてにタイアップが付いているので、最初は華やかなシングル集的な作品なのかなと思ったんですよ。でも聴いていると、すごくチャームさんのことを親密に感じることができる作品だったので驚いたんです。例えば1曲目「Don't Let Me Fall」の冒頭は、チャームさんがギターを弾き始める瞬間が生々しく録音されている。こういうところからも、距離を近くに感じることができますよね。

確かに、今回の作品は外のスタジオを借りずに、ほぼ自分の家の作業部屋で作ったんです。3曲目の「Still in Love」だけは、ドラムとサックスをほかの人に頼んでそれぞれのスタジオで録ってもらったんですけど、基本的にプロのスタジオを使って作られた作品ではないんですよね。そうすることで、アットホームな感じを出したかったというか……もっと自分に「近い」作品にしたかったというのはあります。僕はもともとそういうやり方で音楽を作るのが好きなんです。そのほうが聴いている人と音楽の間に、壁が1つなくなる気がする。特に歌には顕著に出ると思うんですけど、プレッシャーの中で録るよりは、自分の好きなペースで、心地よいやり方で録るほうがいいと思うんです。

THE CHARM PARK

──チャームさんにとって、音楽を作るということは、パーソナルスペースの中で行われることなんですね。

今のTHE CHARM PARKに関しては、それしかないですね。もしバンドだったら違ったかもしれないですけど、このTHE CHARM PARKというソロプロジェクトは、僕のパーソナルな場所から生まれるものが、自分自身に対しても一番説得力があるような気がします。

──あくまでも、自分に対しての説得力が大事ですか?

うん、それが大事ですね。その音楽が世の中にどういうふうに反応されるかよりも、自分自身が「よかったな」と思えるかどうか、そこが一番大事な気がします。もし世の中からいい反応をもらえても、自分が納得いかない曲だったら、それはそれですごく後悔するような気がするんです。変に気合いを入れるのではなく、あくまでも無理せずに、自分らしさを出すのが大事だと思うんですよね。今回の6曲も、CMやアニメのタイアップがあるとはいえ、結果として自分が生み出したかった音が形になっていると思いますね。

──では「作り手のパーソナルな質感がにじむ音楽作品」という点で、ほかの音楽家の作品で好きなものはありますか?

いいなと思うのは、ボン・イヴェールの「For Emma, Forever Ago」とか。あのアルバムは、彼がログハウスで全部作ったんですよね。あのアルバムはすごくパーソナルなアルバムだと思うけど、それが多くの人に届いて、響いている。そういうふうなアルバムを作りたいっていう気持ちはありますね。音をあの作品に近付けたいわけではないけど、空気感や精神性は、ああいう作品がすごく好きだし、憧れるんですよね。ボン・イヴェールの場合、次のアルバム(「Bon Iver」)はスタジオで作り上げていたりもしますけど、その幅の広さもすごく好きですし。

THE CHARM PARK「Standing Tall」
2019年7月3日発売 / A.S.A.B
THE CHARM PARK「Standing Tall」

[CD] 1728円
RZCB-87003

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収録曲
  1. Don't Let Me Fall
  2. Ordinary
  3. Still in Love
  4. Stars Colliding
  5. 花が咲く道
  6. Standing Tall

ライブ情報

THE CHARM PARK Billboard Live OSAKA
  • 2019年7月3日(水)大阪府 Billboard Live OSAKA[1st]OPEN 17:30 / START 18:30[2nd]OPEN 20:30 / START 21:30
THE CHARM PARK Billboard Live TOKYO
  • 2019年7月5日(金)東京都 Billboard Live TOKYO[1st]OPEN 17:30 / START 18:30[2nd]OPEN 20:30 / START 21:30
THE CHARM PARK Acoustic Live in NAGOYA
  • 2019年7月8日(月)愛知県 BLcafe
THE CHARM PARK Acoustic Live in FUKUOKA
  • 2019年7月29日(月)福岡県 ROOMS
THE CHARM PARK Acoustic Live in SENDAI
  • 2019年8月5日(月)宮城県 ナカオカフェ
THE CHARM PARK Acoustic Live in UTSUNOMIYA
  • 2019年8月6日(火)栃木県 悠日
THE CHARM PARK(チャームパーク)
THE CHARM PARK
シンガーソングライター、Charm(チャーム)によるソロユニット。小学校3年生から高校生までアメリカ・ロサンゼルスで過ごし、その後ボストンの音大に進学。卒業後に再びロサンゼルスで24歳まで生活する。その後、日本にて音楽活動を開始し、2015年11月にTHE CHARM PARKとしての初作品となるミニアルバム「A LETTER」を発表。叙情的で美しい楽曲とオーガニックかつダイナミックなサウンド、緻密なメロディで注目を集めた。また自身のソロ活動のほかに、ASIAN KUNG-FU GENERATION、V6、登坂広臣(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)、南波志帆らへの楽曲提供や、大橋トリオのツアーサポートでも活躍。2018年に配信シングルを3作リリースし、同年12月5日にメジャー1stアルバム「Timeless Imperfections」を発表した。2019年7月にミニアルバム「Standing Tall」をリリース。