昔は一番大事なところでは心を開けなかった
──言語化はできなくても、肌感覚で何かしら伝わっているでしょうね。あと、「WOKE」はすごく等身大な作品だと思います。今の自分たちができること、やりたいことが素直に音になってる。
T$UYO$HI そうですね。今までバンドをやってきて、今回のレコーディングは一番肩の力を抜いて臨めたし、レコーディングが終わってからも、「もう何もできません」みたいな感じにはまったくならなくて。もちろんがんばって作った作品だけど、レコーディングからライブにつながっていくっていう一連の流れのように感じられたんですよね。そういうモードになれたのは初めてかなあ。
JESSE あと、音云々の前に、このバンドのおかげで俺、性格が変わったんですよ。
──そうなんですか?
JESSE 物事に対する考え方や挑み方が変わった。しかも自分だけじゃなく、ほかのメンバーも同じで。こないだ、「俺、このバンドのおかげで性格すら変わった気がする」って言ったら、「いや、俺もだなー」ってみんな言ってて。まあ、いまだにダメなところはみんなそれぞれあるんだけど、「こいつらと長くやっていけば、いろんな面で成長できるんだな」って思った。ミクロのスピードでかもしれないけど。
──なるほど。
JESSE 去年はRIZEの結成20周年があったんで、「WOKE」の曲作りが途中で止まってしまって、まだ3、4曲のアイデアがあるかないかくらいのタイミングでRIZEのツアーに行かなきゃいけなかったんですよ。だからメンバーみんな不安があったと思うし、俺もみんなと同じ“ページ”にいられなくなるのが不安だった。もし、俺だけ違うページにいたらそれは悔しいし、寂しいし、いじけちゃってたかもしれない。だけど、メンバーが「今回はJESSEのことを待って、みんなで一緒に曲作りしたほうがいいんじゃん?」って言ってくれたんですよ。そういう意味でもリラックスして作れたっていうのがあって。その分、みんなと会うときの密度がすごく濃かったし、4日間で歌詞とメロまで含めてデモが5曲もできました。
──それはすごい。
JESSE 今まではいろんなスタッフにもアドバイスを聞きつつ曲作りをしてたんだけど、今回はそういう大人をシャットアウトして4人だけで作って。歌詞も、スキャットでメロができたらすぐに歌詞を乗せて、俺の歌詞は英語なのでその意味を1行1行メンバーに説明して。
──丁寧ですね。
JESSE 昔はこういうのが嫌いだったの、俺。「インスピレーションでしょ」とか言って、レコーディングするまで誰にも歌詞を見せなかったり、メロもある程度固まったら誰にもいじらせなかったり。「俺のプランではこうだから」って。たぶん、人と共有するのが苦手だったのかもしれない。当たり障りのないところは共有するけど、一番大事なところでは心を開けなかった。今はそういうのが全然怖くなくなったし、逆に意見を言ってもらいたいって思えるようになった。それって成長だと思う。
The BONEZ流のレコーディングスタイル
T$UYO$HI 普通、歌詞書く人って1人きりで閉じこもって作業してると思うんだよな。
JESSE 昔はそうだった。
T$UYO$HI だよね。でも今はJESSEが歌詞書いてる横で、俺、ポテチ食ってる(笑)。
JESSE ゲームやってたりとかね。でも、俺が「ここの部分さ……」て言うと、みんなが動きを止めて集まってくれる。
T$UYO$HI JESSEが実際に歌入れしてる間も、俺らは「あ、今のいいんじゃない?」とかジャッジして、20時くらいになるとJESSEの奥さんがごはんを作ってくれて、それをみんなで食べる。で、その食べてるところをインスタで配信したり(笑)。多分、いると思うんだよね、「仕事場に子供連れて来るのはプロじゃない」って言う人。
JESSE そんなヤツ、延髄蹴りっすね。
──(笑)。
T$UYO$HI JESSEが歌ってるとき、レコーディングのブースにリリカ(JESSEの娘)も一緒に入ってることあるもんね。
JESSE バンビ(JESSEの愛犬)もいるし、しかもたまに吠えてるからね(笑)。リリカなんて膝に乗ったまま寝ちゃったりして。
T$UYO$HI そういう肩の力が抜けてる感じが出てると思う。作品は一生残るものだし、アートだから、突き詰める人もいると思うけど、俺らはそういうタイプとはちょっと違うのかな。今話したようなのが俺ららしくていいと思う。
──そういう雰囲気って音に出ますよね。
JESSE 出ますね、確実に。
──先ほどの「性格が変わった」という話とつながるかわからないですけど、「SUNTOWN」の歌詞からFワードを削ったというエピソードがあるそうで。これ、若い頃だったらたぶん……。
JESSE あえてそのままにしたね。
T$UYO$HI そうだよね。
JESSE 「SUNTOWN」のサビは最初、「get down, get down, get the fxxk up」だったの。
──ああ、そうだったんですね。
JESSE 別に「fxxk you」みたいなネガティブな意味ではないんだけど、スタッフが「いやー、これ、ラジオでかけられないよ」って。昔だったら「そこは戦えよ」って言ってたと思う。でも、スタッフは「だから直して」とは言わなかった。「推しづらいね」って言うだけ。NAKA(G)も「JESSEが伝えたいのは悪いことじゃないのに、それを変えたらまるで悪いことを言ったみたいになるじゃん」って言ってくれて。
──うんうん。
JESSE でも、レコーディングが全部終わって、コーラス録りが少しだけ残ってるときに、「これ、本当に直さなくていいかな?」ってみんなに改めて聞いたんですよ。もしこれが「fxxk the system」(そのシステムを壊してしまえ)っていう言葉だったら、俺は変えてないかもしれない。だけど、「get the fxxk up」でも「get your ass up」でも俺の中では意味は一緒なんですよ。だから、「俺は変えてもいいぜ」って言ったら、「だったら、一応録っとこうよ」ってことで“クリーンバージョン”を録ったら、「こっちのほうがいいかも」ってことになって(笑)。そうやって俺らが歩み寄ったおかげでスタッフが地上波の番組をブッキングしてくれた。
イッシーとNAKAとZAXが俺を担いでくれてる
──去年、RIZEでがっつり活動したことはThe BONEZにも影響を与えてますか?
JESSE もちろんもちろん。
T$UYO$HI The BONEZのライブがしばらくなかったことが影響して、今回のツアーでソールドアウトする会場が増えたと思うし、JESSEが常に動いていることによって、「もっと観たい」っていう人をThe BONEZに引っ張ってこれたと思うし、結果としてすごくよかったと思いますね。
──でも、JESSEさんを待ってる身としてはモヤモヤするところもあったんじゃないですか?
T$UYO$HI いや、意外となかった。なんだかんだでライブもちょいちょいやってたし、そんなにThe BONEZがやれてないって感じでもなかったな。RIZEがツアーをやってる間、俺は俺で別の仕事やってたし。ただ、ひさびさに会ったときは自分にブランクを感じましたね。JESSEは常にライブをやってただけに、ミュージシャンとしての体力がすごかった。
──JESSEさんとしては、RIZEに負けたくないという気持ちはありますか?
JESSE それが不思議となくて。それぞれのバンドをやってる理由が違うから比べようがないんですよね。よく話すのは、神輿は一緒だとしても担ぎ手が違うだけでそれぞれの地元のリズムになるんですよ。RIZEの場合はメンバーみんなが神輿に乗ってて、それをいろんなやつらが担いでくれる。だけどThe BONEZはイッシーとNAKAとZAX(Dr)が俺を担いでくれてるんですよね。実際、「俺らはお前を担いでんだから。大事なのはお前がどうカッコよく見えるかだから」みたいなことを言ってくれるし。俺、そんなこと今まで言われたことなくて。そうやって絶大な信頼を寄せてくれてる分、プレッシャーはあるけど、結果を出せたときに「ほら、お前はやれただろ?」ってみんなにドヤ顔させたいんですよね。
- The BONEZ「WOKE」
- 2018年5月9日発売 / tensaibaka records
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[CD]
2484円 / TBRD-0509
- 収録曲
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- Until you wake up
- Bird ~people with wings~
- Rude Boy
- One more
- SUNTOWN
- LIFE
- Kings work
- Code name
- Nice to meet you
- Anthem
- See you again
ライブ情報
- The BONEZ Tour「Woke」(※終了分は割愛)
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- 2018年6月3日(日)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2018年6月7日(木)京都府 KYOTO MUSE
- 2018年6月8日(金)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2018年6月10日(日)岐阜県 yanagase ants
- 2018年6月16日(土)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2018年6月17日(日)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2018年6月28日(木)広島県 広島セカンド・クラッチ
- 2018年6月30日(土)熊本県 熊本B.9 V1
- 2018年7月1日(日)鹿児島県 CAPARVO HALL
- 2018年7月8日(日)千葉県 KASHIWA PALOOZA
- 2018年7月15日(日)愛媛県 松山サロンキティ
- 2018年7月16日(月・祝)高知県 X-pt.
- 2018年7月20日(金)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
- 2018年7月22日(日)石川県 金沢EIGHT HALL
- 2018年9月2日(日)宮城県 Rensa
- 2018年9月15日(土)福岡県 DRUM LOGOS
- 2018年9月22日(土)愛知県 DIAMOND HALL
- 2018年9月24日(月・振休)大阪府 BIGCAT
- The BONEZ TOUR 「WOKE」 - ENCORE -
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- 2018年9月30日(日)東京都 Zepp Tokyo
- The BONEZ(ボーンズ)
- RIZEのフロントマンであるJESSE(G, Vo)のソロプロジェクト、BONEZから発展した4人組バンド。JESSEが参加したオーディション企画「Stand Up! Project」をきっかけに出会ったZUZU(G)と共に1stアルバム「Stand Up!」を制作し、2012年11月にリリースした。2013年1月には東京・下北沢SHELTERでワンマンライブを開催。このワンマンライブにPay money To my PainのT$UYO$HI(B)とZAX(Dr)がサポートメンバーとして参加した。この公演がきっかけとなり、The BONEZとして4人体制での活動をスタートさせた。2014年1月には2ndアルバム「Astronaut」を発表し国内と台湾にてライブツアーを開催。このツアーは新ギタリストのNAKAと共に回る。同年7月にNAKA加入後初の音源「Place of Fire」を発表し、年末に東名阪でワンマンツアー「Astro Tour "ONE MAN SHOW"」を行った。2016年3月にはニューアルバム「To a person that may save someone」をリリースし、5月より全国ツアーを開催した。2018年5月に約2年ぶりとなるアルバム「WOKE」を発表。同月よりツアーを開催しており、9月にツアーファイナルで初の東京・Zepp Tokyo公演を行う。