音楽ナタリー Power Push - JESSE(The BONEZ)×Kj(Dragon Ash)対談

盟友同士が初めて語り合う出会いと喪失、これからの夢

俺とJESSEは理解し合える事例が多すぎる

Kj 時間が限られてるからこそもがくのって、人間の根源じゃん? でもいつまで経っても年上の人がちゃんといるし、何年経っても同い年や年上の人たちが出てくるから、俺らはそれをいまいち実感できてなかったことがデカイと思う。こんな悲痛なことを経験しないと自覚できないっていうのは、精神が幼いってことなんだろうけど。だからせめて、今両手で抱えきれてるものだけは大切にしようという自覚は大きいんじゃない? こうやってさ、理解し合える事例が多すぎるんだろうね、俺とJESSEは。

左からJESSE(The BONEZ)、Kj(Dragon Ash)。

JESSE でも、建志やイッシー(T$UYO$HI)、ZAXみたいに、メンバーに途中下車されるのは俺には想像できない。まぁ、u:zo(ex. RIZE)は死んだようなもんだけど。

Kj うははははは(笑)。

──去年の12月のKenKenの30歳記念イベントの「OLE PALOOZA」でも急遽、元RIZEとしてひさびさに「カミナリ」のベース弾いてたのに(笑)。

Kj 2万回ぐらい演奏したはずの曲なのに死ぬほど手元見てたからね(笑)。

JESSE 俺、Dragon Ashを見てると、Arrested Developmentを見てる感じがするんだよね。端から見たらよくわかんないジイさんがいるわけじゃん(笑)。

Kj スピリチュアルアドバイザーね。

──ババ・オージェですね。

JESSE(The BONEZ)

JESSE けどあのクルーの中でu:zoは大事で。例えば俺はDragon Ashとライブハウスで対バンしたいけど、フルメンバーではライブハウスのステージに入りきらないじゃん? じゃあトリオでパッとやれる日があってもいいじゃんって思うけど、そういうのは無理というか。Dragon AshにはDragon Ashの、RIZEにはRIZEの、The BONEZにはThe BONEZのスタイルがある。ほかは真似できない。代理でもいいとかじゃダメなんだよね。それが、俺はミクスチャーだと思うんだ。馬場さんに関しては……運命的なものだからしょうがないことなんだけど、そこで賢輔(KenKen)がサポートとして手を挙げるっていうのがもう、マンガか!?っていう(笑)。

Kj ふははははは(笑)。

JESSE 「BECK」を超えるマンガがいつかできるんじゃねえか、このシーンで!って、俺はすごく思うんだけど。

Kj でもほんと、マンガみたいだからね。TSUYOぽん(T$UYO$HI)だったか、誰が言い出したかわからないけど、「KjとKとJESSEで(ビート)たけしさん、(明石家)さんまさん、タモリさんみたいな、ミクスチャー三銃士だな」って言ってて。で、1人欠けちゃって孫悟空とベジータみたいになって、みたいなさ(笑)。

──みんなそう感じてると思いますよ(笑)。

JESSE でも「OLE PALOOZA」のときに気付けたけど、こんなに俺らの音楽が好きな人たちって集まるんだなっていうか。シーンを作りたい作りたいって言ってたら、できてたね。それをもっとカルチャーにするためにジジイになるまでがんばるけど。俺、Dragon Ashの「The Show Must Go On」ってツアータイトルを聞いたとき、やめるか続けるか、ホントその通りだなと思った。あのときもし賢輔が手を挙げなくても、建志はどんな形にせよ“Go On”させたと思う。そこなんだよね。命ある限り、俺らにはこれしかない。だって急に俺らサラリーマンになれないし、みんなだって挨拶回りに来られたくないでしょ?(笑)

アルバムが思ったよりよくてすげー引いてる(笑)

Kj(Dragon Ash)

Kj 音楽や言葉がライフスタイルに直結していればいるほど、胸を打つっていうのはあるよね。ほかの人が「The Show Must Go On」って言ってるのと、ディレクターやメンバーを亡くした男が言うのとでは響きが変わってくる。俺らがカッコいいなって思うバンドマンって、やっぱそこが貫けてたり痛みを知ってるから「負けるな」って言うんだよ。テレビとかで流れてる、何に感謝してんだかわかんない歌とか、そういうことじゃないんだよね。The BONEZの「To a person that may save someone」も、JESSEがこういうことを歌ってるから意味があるっていうのが大きい。失くしたものがあるから強く守ろうっていうのは自然なことだし、こいつがこういう音を鳴らす、こいつがこういうことを言うからカッコいい。同じことをほかの人が言っても、その人が言う重さには遠く及ばない。何を言うかより、誰が言うかが大事。この新しいアルバム聴いて珍しく速効で電話したからね。「思ったよりよくてすげー引いてる」って(笑)。

JESSE あ、こいつにしてはすげー褒めてるなって思った(笑)。「そんだけだから」って言うから「ああ、オッケー」っつって(笑)。

Kj 歌詞が英語だからストレスなくやれてるとも思うんだよね。JESSEは英語のほうがボキャブラリーも多いし、韻とかもハマりやすい。俺らの世代で洋楽聴いてる人はそこにきっちりやられるし。

JESSE 最初はアルバムのタイトルを「Revolution」にしようか迷ってたの。でもひと言で今の俺の気持ちが説明できなくて。うちのマネージャーが作った紙資料に「バラエティ豊かな希望に満ちた作品」とかって書いてあったけど、実は真逆なんだよね。希望って、恐怖とか不安とか悲しみとか悔しさとかがないと生まれないものじゃん? 人間には明るい部分じゃなく陰の部分があるから、「To a person that may save someone」(誰かを救うであろう君に)っていう希望が生まれる。それに気付いた人に、「俺もそういう人になれるかな?」もしくは「あの人がそうかな?」って思ってもらえるアルバムになればなって。アルバムって人生を変えるし、俺は変わったからね、多くのアルバムで。作れてるかどうかわからないけど、俺もそういう、人を変化させたり感動させるアルバムを作んなきゃいけないと思ってる。ただ響きがよくてキャッチーで、タイアップ取って話題のアルバムになればいいなんて、これっぽっちも思ってないからね。カッコいいアルバムはいっぱい作ってきたけど、感動できるアルバムは滅多に作れない。俺、The BONEZの最大のライバルはRIZEだと思ってる。だってRIZEのファンからすれば「The BONEZ!? だったらRIZEをやってくれよ!」ってなると思う。でも今回はThe BONEZ、RIZE関係なく、自分でも感動できるアルバムを作れたかなと思ってるんだよね。

Kj The BONEZ自体が失意のどん底から生まれてるバンドだし、そのストーリーを知らない人はファンにはほとんどいないだろうからね。色濃い影があるから光がまぶしいし、強い光の裏側により濃い影が落ちる。あまりに漆黒なとこから始めてるわけだから、よりまぶしく感じられるし、人も感動させられる。

The BONEZ ニューアルバム「To a person that may save someone」 / 2016年3月23日発売 / TENSAIBAKA RECORDS / Village Again
デラックス盤 [CD+DVD] / 3024円 / TBRD-2800
通常盤 [CD] / 2484円 / TBRD-0323
CD収録曲
  1. To a person that may save someone
  2. Revolution feat. Hiro Fujita
  3. Paper crane
  4. Louder
  5. 1905
  6. Stranger
  7. Remember
  8. Cosmic strings
  9. Incredible
  10. Wasted dream
  11. Friends
  12. Leaf (※通常盤未収録)
  13. Waking up
DVD収録内容
  • Blood in Blood Out Tour(100分収録)

The BONEZ TOUR 2016「To a person that may save someone」

2016年5月6日(金)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
2016年5月7日(土)岡山県 IMAGE
2016年5月12日(木)広島県 CAVE-BE
2016年5月13日(金)福岡県 DRUM Be-1
2016年5月15日(日)香川県 DIME
2016年5月20日(金)新潟県 CLUB RIVERST
2016年6月3日(金)宮城県 darwin
2016年6月5日(日)北海道 BESSIE HALL
2016年6月10日(金)愛知県 ElectricLadyLand
2016年7月15日(金)東京都 TSUTAYA O-EAST
The BONEZ(ボーンズ)
The BONEZ

RIZEのフロントマンであるJESSE(G, Vo)のソロプロジェクト、BONEZから発展した4人組バンド。JESSEが参加したオーディション企画「Stand Up! Project」をきっかけに出会ったZUZU(G)とともに1stアルバム「Stand Up!」を制作し、2012年11月にリリースした。2013年1月には東京・下北沢SHELTERでワンマンライブを開催。このワンマンライブにPay money To my PainのT$UYO$HI(B)とZAX(Dr)がサポートメンバーとして参加した。この公演がきっかけとなり、The BONEZとして4人体制での活動をスタートさせた。2014年1月には2ndアルバム「Astronaut」を発表し国内21カ所+台湾にて全国ツアーを開催。このツアーは新ギタリストのNAKAとともに回る。同年7月にNAKA加入後初の音源「Place of Fire」を発表し、年末に東名阪でワンマンツアー「Astro Tour "ONE MAN SHOW"」を行った。2016年3月にはニューアルバム「To a person that may save someone」をリリースし、5月より全国ツアーを開催する。

Dragon Ash(ドラゴンアッシュ)
Dragon Ash

Kj(Vo, G)、桜井誠(Dr)、IKÜZÖNE(B)の3人で結成されたミクスチャーロックバンド。1997年2月にメジャーデビューを果たす。1999年に発表したシングル「Let yourself go, Let myself go」がヒットを記録し、一躍有名に。2002年にはシングル「Fantasista」がサッカーワールドカップのFIFA公式テーマソングの1つに選出された。その後もオルタナティブロックやヒップホップ、ラテンなどさまざまなジャンルを取り入れたミクスチャーサウンドで独自の活動を続けるが、2012年4月にIKÜZÖNEが急逝。以降はKj、桜井、BOTS(DJ)、HIROKI(G)、DRI-V(Dancer)、ATSUSHI(Dancer)の6人にサポートベーシストを加えた編成で活動している。2014年1月に3年ぶりのオリジナルアルバム「THE FACES」をリリース。同年5月にはキャリア初となる東京・日本武道館ワンマンライブを成功させた。2015年3月にはKjが降谷建志名義でソロ活動をスタート。6月に初のソロアルバム「Everything Becomes The Music」をリリースした。4月からはDragon Ashとして約2年ぶりの全国ツアーを実施する。