音楽ナタリー Power Push - JESSE(The BONEZ)×Kj(Dragon Ash)対談

盟友同士が初めて語り合う出会いと喪失、これからの夢

RIZEのJESSEとDragon AshのKj。同時代を生き、ライブで切磋琢磨してきた2人のバンドマンの関係性は、少年マンガや幕末の志士のようにドラマチックだ。

2人の盟友であるPay money To my PainのK(Vo)が2012年に急逝。以降、JESSEは自身のソロプロジェクト「JESSE and The BONEZ」をバンド「The BONEZ」に改め、P.T.P.のメンバーでもあるT$UYO$HI(B)とZAX(Dr)、そしてNAKA(G / ex. RIZE)の4人とともに本格的に活動を開始した。くしくも同時期、Kjもまた長年彼らを支えたスタッフやベーシスト・IKÜZÖNEの急逝という大きな喪失を経験。そして2015年、P.T.P.のPABLO(G)をサポートメンバーに迎え、ソロプロジェクトを始動させている。

音楽ナタリーではThe BONEZのニューアルバム「To a person that may save someone」のリリースを記念し、2人の対談を企画した。運命的とも言えるほど共通項の多いJESSEとKj。ヒリヒリした若き時代の関係性を経て今、ミクスチャーシーンを共に牽引し続けるかけがえのない同志としてリスペクトし合う2人にとって、今回が初の対談となる。

取材・文 / 早川加奈子 撮影 / 西槇太一

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Dragon Ashとちゃんと戦えてないことが悔しかった

──2人の出会いはDragon Ashが下北沢でライブをやってた頃だそうですね。

左からJESSE(The BONEZ)、Kj(Dragon Ash)。

JESSE そう。俺が下北沢のBASEMENT BARのイベントでDJやることになって、そのイベントにDragon Ashが出ていて……。

Kj 俺が16歳とかの頃かな。

JESSE じゃあ俺、15だね。3ピースのバンドで、音聴いたらすげーオルタナなことやってて。「日本にもこういうバンドいるんだ!」って思ったのが最初。完全に心はキッズだったね。この人たちに俺のバンド(RIZE)を見せたいと思ったし。でもどこかで悔しかったんだろうね。俺、カート・コバーンはあんまり好きじゃなくて、Nirvanaが好きなのね。だからバンドがカッコいいと対抗意識が芽生えてムカつくし、そういう気持ちが原動力になる。きっと、RIZEを始めてからの10年間でDragon Ashに対するジェラシーとか、いろんな思いがあったのは俺のほうなんだと思う。グチグチ言ってたこともあったし。今思うと、俺がちゃんと戦えなかったから悔しかったんだろうね。

──しかも第一印象もよくなかったとか。

Kj JESSEが挨拶でキレたっていうね(笑)。

JESSE 「TMC」(1999年に初開催されたDragon Ash主催イベント)の楽屋でね(笑)。俺とあっくん(金子ノブアキ)がMissile(Missile Girl Scoot)に呼ばれて楽屋に行ったら、Dragon Ashのベースの馬場さん(IKÜZÖNE)が、「お前らがRIZEか。建志(Kj)に会ったことある?」って紹介してくれようとして。そんときに「初めまして」って俺が握手の手を出したら、聞こえなかったのかな? そのまま建志がバーッとどっか行っちゃって。「無視された!?」みたいな。で、翌年の「TMC」の前にUZUMAKIのメンバーから「お前が思うより建志はマジいいやつだし、あいつがいなかったら俺ら出れてねえから観に来てくれよ」って言われて。

Kj そうだったんだ。

JESSE で、観に行ったら楽屋で建志に「What's up?」って言われて。「初めましてだよね?」って俺が言ったら建志が「去年来てくれてたじゃん」って。「や、去年はお前が!」って言おうとしたら、JYU(UZUMAKI)が俺をはがい締めにして(笑)。

──気付いてたならちゃんと挨拶してくれ!って話ですもんね。

JESSE(The BONEZ)

JESSE そっから俺は建志と話せなくなったんだよね。そのときの自分を小さく感じた悔しさで。そこから対抗意識丸出しでやってきて。でもそれから5年ぐらい経って、あっくんも建志と超仲良くなるし、みんな仲良くなるのに俺だけ全然仲良くなれなくて。みんなに言われたよ。武史(山嵐)にも言われた。「JESSEだけだぜ、建志とちゃんとリンクしてないのは」って。

Kj ふふふふっ(笑)。

JESSE そう言われれば言われるほど、「どうでもいいよ」みたいな。そしたらP.T.P.のKが、「J(JESSE)が嫌いなら俺も嫌いでいいよ」って(笑)。

Kj 出た! KとJとKj(笑)。

JESSE でもそんなKに、「Jが嫌いなら俺も嫌いでいいんだけど、でも俺、建志と話してみたいんだよね」って言われたことがあるんだよね。それを聞いて、「あ、俺がちっちぇえんだな」って気付かされたとこはある。

建志に電話したんだよね、「一緒に曲、やんねえ?」って

──建志くんは当時、JESSEのことをどんなふうに見ていたんですか?

Kj(Dragon Ash)

Kj 俺、ソニーからRIZEのサンプル盤(「Why I'm Me」)をもらったんだよね。音聴いたらもうさ、間違いないじゃん? しかもベース(当時はTOKIE)が年上、ドラムとギター&ボーカルが幼なじみってさ、俺らとどんカブりじゃん(笑)。で、メロディがメインでラップ的な要素ありでサビが歌で。まして当時、俺が17でJが16とかで、しかも負けず嫌いの性格同士だし同じ村(グループ)にいたわけでもないし。意識しないほうがおかしいよね。俺らがミクスチャーバンドって言われて出てきた頃って、山嵐ぐらいしかまだ周りにいなくてさ。ライブハウス側もブッキングすらしてくれないし、ちょっと前からミクスチャーの聖地と言われてるclubasiaでさえ、最初はミクスチャーなんてやってくれなくて。

JESSE (恵比寿)Milkもそうだったよね。ミクスチャーだけはお断り、みたいに言われてた。

Kj だから当時は下北のSHELTERとかで、メタルとかメロコアの人と一緒にやらせてもらってて。武ちゃん(武史)も俺の1個上でしかないんだけど、山嵐とかその上の世代のMAD(THE MAD CAPSULE MARKETS)とかに対しては、最初から「大好きです!」みたいな感じでひれ伏してたというか。でも俺とJESSEの関係はそことは違って、もっと近すぎるんだと思う。そこの意識の仕方はもう、ほかのバンドと比較対象にならないぐらいだった。たぶんKもそうだろうけど、今考えればRed Hot Chili PeppersとJane's Addictionみたいなもので。同じ時代に同じような環境で、同じようなものやカルチャーに憧れて、1駅2駅違うところでやってたお山の大将同士が山の上のほうに行ったらばったり会って、「ちょっと似てる」って思うのは当たり前なんだよね。同じようなものを好きでやってるわけだから。きっと、会うのが早過ぎたんだよね。今や、俺もJESSEも長くやってるからいろんな痛みもわかるし、人のオリジンとかをリスペクトできる態勢ができてるから、素直に人に接することができるし、人一倍バンド仲間も多いけど、当時は子供同士だからね。今思うとほろ苦いけど、それがあるから全面的に信頼できる男だっていうのはある。

JESSE 俺、この前初めて(福島県)南相馬にライブで行ったんだけど、長いトンネルを抜けたら一気に屋根がグシャグシャになってる家だらけの風景になってて。高速とかも新しくなってるのに、ここに住んでる人たちはもう戻って来ない人を思ってるからまだここにいて、家もリフォームしたくないのかなとか思ってさ。そんときに初めて、Kはもう戻って来ないんだなって感覚を食らって。で、俺、建志に電話したんだよね。「一緒に曲、やんねえ?」って。時間とかスケジュールとか忙しさとかそういうの抜きにして、俺もいつ死ぬかわからないし、言いたいこと言っとこうかなと思って。俺と建志が曲をやるかどうかよりまず、それを言えたことが俺にとっては大事で。

Kj 実際のJESSEはもっとシャイに言ってるけどね。「んーっとお……」みたいな感じで、そんなカッコよくは言ってないけどね(笑)。

JESSE ずっと建志に対してファイティングポーズ取ってたけど、Kが死んで……もうそういうことじゃないからね。Dragon AshとかRIZEって名前があってもなくても、一緒に何かやりたいって伝えたほうがいいなって、その瞬間思ったんだよ。

The BONEZ ニューアルバム「To a person that may save someone」 / 2016年3月23日発売 / TENSAIBAKA RECORDS / Village Again
デラックス盤 [CD+DVD] / 3024円 / TBRD-2800
通常盤 [CD] / 2484円 / TBRD-0323
CD収録曲
  1. To a person that may save someone
  2. Revolution feat. Hiro Fujita
  3. Paper crane
  4. Louder
  5. 1905
  6. Stranger
  7. Remember
  8. Cosmic strings
  9. Incredible
  10. Wasted dream
  11. Friends
  12. Leaf (※通常盤未収録)
  13. Waking up
DVD収録内容
  • Blood in Blood Out Tour(100分収録)

The BONEZ TOUR 2016「To a person that may save someone」

2016年5月6日(金)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
2016年5月7日(土)岡山県 IMAGE
2016年5月12日(木)広島県 CAVE-BE
2016年5月13日(金)福岡県 DRUM Be-1
2016年5月15日(日)香川県 DIME
2016年5月20日(金)新潟県 CLUB RIVERST
2016年6月3日(金)宮城県 darwin
2016年6月5日(日)北海道 BESSIE HALL
2016年6月10日(金)愛知県 ElectricLadyLand
2016年7月15日(金)東京都 TSUTAYA O-EAST
The BONEZ(ボーンズ)
The BONEZ

RIZEのフロントマンであるJESSE(G, Vo)のソロプロジェクト、BONEZから発展した4人組バンド。JESSEが参加したオーディション企画「Stand Up! Project」をきっかけに出会ったZUZU(G)とともに1stアルバム「Stand Up!」を制作し、2012年11月にリリースした。2013年1月には東京・下北沢SHELTERでワンマンライブを開催。このワンマンライブにPay money To my PainのT$UYO$HI(B)とZAX(Dr)がサポートメンバーとして参加した。この公演がきっかけとなり、The BONEZとして4人体制での活動をスタートさせた。2014年1月には2ndアルバム「Astronaut」を発表し国内21カ所+台湾にて全国ツアーを開催。このツアーは新ギタリストのNAKAとともに回る。同年7月にNAKA加入後初の音源「Place of Fire」を発表し、年末に東名阪でワンマンツアー「Astro Tour "ONE MAN SHOW"」を行った。2016年3月にはニューアルバム「To a person that may save someone」をリリースし、5月より全国ツアーを開催する。

Dragon Ash(ドラゴンアッシュ)
Dragon Ash

Kj(Vo, G)、桜井誠(Dr)、IKÜZÖNE(B)の3人で結成されたミクスチャーロックバンド。1997年2月にメジャーデビューを果たす。1999年に発表したシングル「Let yourself go, Let myself go」がヒットを記録し、一躍有名に。2002年にはシングル「Fantasista」がサッカーワールドカップのFIFA公式テーマソングの1つに選出された。その後もオルタナティブロックやヒップホップ、ラテンなどさまざまなジャンルを取り入れたミクスチャーサウンドで独自の活動を続けるが、2012年4月にIKÜZÖNEが急逝。以降はKj、桜井、BOTS(DJ)、HIROKI(G)、DRI-V(Dancer)、ATSUSHI(Dancer)の6人にサポートベーシストを加えた編成で活動している。2014年1月に3年ぶりのオリジナルアルバム「THE FACES」をリリース。同年5月にはキャリア初となる東京・日本武道館ワンマンライブを成功させた。2015年3月にはKjが降谷建志名義でソロ活動をスタート。6月に初のソロアルバム「Everything Becomes The Music」をリリースした。4月からはDragon Ashとして約2年ぶりの全国ツアーを実施する。