バンドの変わり目

──イマイさんからフジイさんにギターが代わったときは、バンドの大きな変わり目だったと思うんですが。

うん、変わり目だったね。

──改めて、あれはどういった交代劇だったんですか？

イマイくんが「辞めたい」って言ったから。

──そもそも最初はイマイさんとやりたくて始めたバンドだから、考えますよね。

うん、考えた。解散するかしないかも考えた。で、「一旦休んでもいいよ」っていう話をして。そんときイマイくんとMidnight Bankrobbersっていうのをやってたから、「ちょっとクールダウンしてそれをやってみようよ」って言ったんだけど、「ダメだ」って言われて。それでイマイくんは辞めたの。そうして始めたのがSNAKE ON THE BEACH。

──チバくんのソロプロジェクト。

うん。でもさ、やっぱりオレはThe Birthdayをやりたくて。じゃあギタリストを探そうと。

──つまりその時点で、The Birthdayというバンドはチバくんにとってイマイさんと一緒にやるバンドというものから意味が少し変わっていたわけだ。

そうだね。うん、そうだと思う。ハルキもいるし、キューもいるし。あいつらにとってみれば、The Birthdayが「芯」じゃん。中心。俺にとってもそうだったんだよね。

──フジイさんはどういう経緯でバンドに入ったの？

フジケンがねえ……。実はROSSOを始めるときに、イマイくんを誘う前に「フジケン何やってるんだろうね」って話をしてたの。

──ROSSOにフジイさんが入る可能性があった？

あった！ でもその前にイマイくんが来ちゃったから（笑）。面白いよね人生って。どこで誰と出会うかだよね。

──じゃあフジイさんの力量や人間性はあらかじめわかっていたと。

うん。フジケンが来る最初のリハーサルに行ったらさ、3人（クハラ、ヒライ、フジイ）で普通にセッションしてたの。それ聴いて「おっ！」と思った。

──3人で鳴らしてるのを聴いただけで。

すぐわかる。「こいつとやりたい」と思った。

あいつのギターに引っ張られてる

──彼が入ってバンドはどう変わりました？

真っ先に思ったのは……新しいメンバーで最初に「I'M JUST A DOG」ってアルバムを作ったとき、毎日一緒にスタジオに入ってたんだけど、もうどんどん（曲が）出てくるんだよね。これはもう面白いなと。

──その前の「STAR BLOWS」はすごく曲が長くて、ちょっと重苦しい感じがしてたから「ちょっと煮詰まってたのかな」という印象はありました。

そうかあ……。

──それが「I'M JUST A DOG」でがらりと変わった感じがありましたよ。すごく開放的になって、突き抜けた感じがあって。

ああ、変わったね、確かに。「STAR BLOWS」を最後にイマイくん辞めてるから。なるほど……。

──その変化がフジイさん効果ですね。

うん、効果ですね。マジで。あいつのギターに引っ張られてる。

──彼のいいところってどこですか？

うーん……。あいつのいいとこ……どこなんだろうね（笑）。ギターが大好き、ってことかな？ 魂じゃない？ ギターに対する。すごく気持ちいい。シャキッとしてるというか。あとフジケンとオレは同世代だから、聴いてきたものも似てるし、そういう部分もあったと思う。「あの音」っていうだけでどんな音かすぐわかるから。

──となると、できる曲も変わってくる。

変わる。フジケンがスタジオで適当に弾き始めるじゃない？ それだけで曲が変わるのがわかるんだよね。

ベスト盤の先へ

──本作のDISC 2の14曲は、そうしてより開かれてきたThe Birthdayの軌跡が収められているわけですね。そうして、このベストが出た1カ月後にはオリジナルアルバム「BLOOD AND LOVE CIRCUS」も出ますね。

そう！ ホントに聴いてほしいんだよなあ、新しいの。超楽しいんだよなあ……。

──このベスト盤でThe Birthdayを知った人にとっては、初めて聴くThe Birthdayの新譜です。

渾身のアルバムです、ホントに。よくやったと思うよ。

──そしてベスト盤の発売の前日の9月15日には武道館公演があります。

ステージセットがすごいけど、それに負けないような演奏をやるつもり。任しといて！ 新曲もいっぱいやります。