THE BACK HORN|“孤独”という名の優しい言葉

ライブって、やればやるだけ返ってくる

──ライブでやることを前提として曲を作ることは多いんですか。

山田 そうですね。ライブから得るものはホント多くて。やればやるだけ返ってくるじゃないですか、ライブって。それが当たらない弾だとしても、お客さんに届いてなかったとしても、自分には必ず何か返ってくる。だから毎回すべてを出し切るつもりでライブをやってるし、それが生きる力に、自分を動かす力になってるなと、近年ずっと思ってて。

──THE BACK HORNのお客さんのエネルギーがすごいというのは、誰しもが感じることだと思うんですが、そのお客さんのエネルギーの強さは、THE BACK HORNから発するエネルギーの強さでもある、という気がします。お互いが強いエネルギーをぶつけ合うことで、THE BACK HORNのライブでは熱い磁場が生まれるみたいな。

山田 だとうれしいですね。自分の肉体を消費してエネルギーに変えていくんで。こっちが空っぽな気持ちでやったら空っぽだけど、思いを持ちながらやったら、必ず何かしら返ってくる。

──山田さんがこの曲を出してきた時点で、もうシングル表題曲は決まりという感じだったんですか。

菅波 最初はまだ歌詞が乗ってなかったんですけど、メロディのよさは際立ってましたね。くっきりした太いメロディだと思って。デモを1回聴いただけでサビのメロディを覚えられましたからね。これは強い曲だなと。

夏にはっちゃけたい気持ちを込めた「導火線」

──2曲目の「導火線」は菅波さんの作詞作曲です。

菅波栄純(G)

菅波 これはもう「夏」です(笑)。夏にはっちゃけたい気持ちを込めましたね。夏で思い浮かぶことを全部詰め込んだ感じです。中学生の頃、初めて女子と花火に行ったときのことを思い出したり。

──甘酸っぱい思い出もそこに込められている。

菅波 込められてますね!

松田 夏そのものを歌うというより、夏に感じる切なさや寂しさがここに入ってる。

菅波 ああ、なるほど。

松田 楽曲自体は熱かったり展開が激しかったり祭り感があるんですけど、ただ甘酸っぱいだけではない、ほろ切ないみたいなものが込められてる気がしますね。

菅波 うん、やっぱり切ないのが好きなんですよ。一番盛り上がってるときに「終わっちゃうんだよなあ、これも」と思っちゃうんですよ。

山田 そこでセンチメンタルになるんじゃなくて、終わっちゃうからこそ楽しもうぜ、という。

菅波 そうそう。

──曲調は激しいですね。でも歌詞はちょっと文語調の優雅な感じで、歌詞と曲調が合ってるような、合ってないような……。

菅波 そうそう(笑)。そのギャップが面白いですよね。

日本語にこだわった曲が集まってる

──3曲目は「夏の残像」。これは山田さんが作曲、松田さんが作詞を担当しています。

松田 ファンクラブイベント「銀河遊牧会」で楽曲制作をテーマにした企画があって。そこで銀河遊牧民(ファンクラブ会員)の人が相談してきてくれたストーリーから、自分なりに膨らませて歌詞を作ったんです。軽く作ったというよりは、もっとそこから引っ張り上げて、グッと来るいいものにしたいなと。

──曲はどんなふうに作っていったんですか?

山田 ピアノで作ったんですけど、公開楽曲制作だったから、みんなの前で俺が曲を歌って。一発で覚えてもらうぐらいのわかりやすい曲でないとダメだから、どれだけキャッチーにするかってことだけを考えてました。コード進行も簡単に、その場で栄純と光舟に教えて、展開もその場で練って。結果、歌詞の和風な感じとAメロがうまくハマって、完全にこれだな、と思いましたね。

──今回、シングルに収録される3曲の歌詞は外来語をほとんど使わず、日本語の表現にこだわっている印象です。

菅波 言われてみればそうですね。日本語にこだわってることは確かです。ただ自分はけっこう崩れた口語的な表現も好きで、これまで歌詞に使われなかったような言葉をうまく乗っけられるとうれしい。単語単位だけじゃなく文脈として、日本のロックに初めて乗ったなってとこまで行けたらいいと思ってるんです。

──例えば「悪人」がそういう歌詞だったと思いますけど、ああいうエキセントリックな感じは今回はないですよね。

菅波 確かにそうですね。

──どれも日本語の表現として美しく、すんなり耳に入ってくる。

菅波 好きですね、日本語の持ってる情感とか、想像させるような余白。俳句的なアプローチは好きだし、短歌も好きだし。確かに今回はそういう詞が集まってますね。今言われて初めて気付いたかも。

──それが今回THE BACK HORNの4人の制作に戻って、改めてアプローチしたことなのかな、と。

菅波 おおー。自然にそうなっていたのかもしれないですね。確かにそうかもしれない。

──来年はバンド結成20周年です。今作は、ここを出発点にいろんな方向に行けるという意味で、THE BACK HORNの新たな可能性を示していると思います。

山田 いいシングルですね!

菅波 間違いない!(笑)

THE BACK HORN
THE BACK HORN「孤独を繋いで」
2017年7月5日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
THE BACK HORN「孤独を繋いで」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
2160円 / VIZL-1165

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THE BACK HORN「孤独を繋いで」通常盤

通常盤 [CD]
1296円 / VICL-37285

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CD収録曲
  1. 孤独を繋いで
  2. 導火線
  3. 夏の残像
初回限定盤DVD収録内容
  1. オープニング -夜明けの息吹-(Live SE「KYO-MEIホールツアー」~月影のシンフォニー~)
  2. トロイメライ
  3. 閉ざされた世界
  4. カラス
  5. 悪人
  6. シンフォニア
  7. With You
  8. コバルトブルー
THE BACK HORN 日比谷野外大音楽堂ワンマンライブ

2017年10月21日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂

THE BACK HORN(バックホーン)
THE BACK HORN
1998年に結成された4人組バンド。2001年にメジャー1stシングル「サニー」をリリース。国内外でライブを精力的に行い、日本以外でも10数カ国で作品を発表している。またオリジナリティあふれる楽曲の世界観が評価され、映画「アカルイミライ」の主題歌「未来」をはじめ、映画「CASSHERN」の挿入歌「レクイエム」、MBS・TBS 系「機動戦士ガンダム 00」の主題歌「罠」、映画「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-」の主題歌「閉ざされた世界」を手がけるなど映像作品とのコラボレーションも多数展開している。2014年には熊切和嘉監督とタッグを組み制作した映画「光の音色 -THE BACK HORN Film-」が公開された。2016年10月にシングル「With You」と、映像作品「KYO-MEIツアー ~運命開歌~」を発表した。2017年2月にかねてより親交のあった宇多田ヒカルとの共同プロデュース曲「あなたが待ってる」をシングルとしてリリース。7月にはニューシングル「孤独を繋いで」を発売した。