ナタリー PowerPush - THEATRE BROOK
祝・活動再開! 佐藤タイジが語る「使命感」
昨年末の東京でのライブで2年にわたる沈黙を破ったTHEATRE BROOK。それに続いて到着したニューシングル「裏切りの夕焼け」はこのバンドらしい極太のグルーヴが突き進む、まさに会心の1曲に仕上がっている。レーベルも古巣のEPIC Recordsに戻り、今再び爆走の気配を匂わせる彼らは現在、新作アルバムの制作中。そして対面した佐藤タイジ(Vo,G)はサウンド同様、豪快にして痛快な口調で、その胸の内を語ってくれた。
取材・文/青木優
事務所を独立してプレイングマネージャー的な立場に
──今のバンドはどんな感じですか?
2年前とは全然違いますね。別に人間が変わったというわけじゃないけど……何か変わった。やっぱり一番大きい違いは、かつてTHEATRE BROOKが所属していた事務所から独立し、ついこの間から自分で会社をすることになり。えー……金がないです(笑)。そこやね! 最大の変化は。
──そこが一番の違いなんですか?
はい(笑)。あ、あれよ、変わったのは、事務所を自分でやるようになったところよ? 金がないのは以前から変わってないから。ずーっと金はない(笑)。
──(笑)では独立した理由は何なんでしょう。
いや、「もうええやろ!」みたいな、「充分やったやろ? もう自分でやったほうがええで!」みたいな、軽いノリです。揉めたとかじゃなくて、前の事務所の社長に「多分自分でやったほうが絶対ええで」って感じで言われて。今EPICと再びやることになったのも、前の社長がつないでくれたんですよね。感謝しております。
──じゃあご自身で事務所を切り盛りしていて、どんな感じですか。
切り盛りっつうか……いや、でもまあ、そうですね(笑)。そこなんよね! そこが2年前と全然違う状況で。フタを開けると、バンド内はみんな年上なんですよね。そうなると「大丈夫タイジくん?」「この曲ちょっと唐突じゃない?」みたいなサジェスチョンが、微妙なプレッシャーとともにバンド内から来て(笑)。で、「大丈夫っすよ! 大丈夫っすから!」みたいな。俺のポジショニングが一番変わったかな。プレイングマネージャー的な雰囲気? 野村もしくは古田みたいな。
──それはタイジさんがアーティストだけやってた頃からすると、視点が若干違ってるわけですか。
ああ、若干……若干変わりますかねえ。うん。現実的なところも、ビシャッ! と数字が出てくるし。前は見なかったような、「えーっ!? こんなに!?」みたいなことがやっぱありますし。ライブやってみると、すげえパンパンに入った、今日は良かったなあとか思ってても数字を見て「えっ!? ……そうなの!?」みたいなことがありますよ(笑)。だから勉強になりますね。がんばらねばならないなと思っております。
復活でワーッ! って盛り上がる感じにしたかった
──で、ひさびさのシングルとなる「裏切りの夕焼け」ですが、めちゃめちゃファンキーですね。
ファンキーかな!? ほんと? ロックンロールでしょ? ファンキーというよりも。
──いや、ファンキーなロックンロールだと思います。
おお、そうか……俺はストレートなロックンロールのつもりやったんやけど、そこはやっぱリズム隊かな。曲の最初より最後のほうが、けっこうハネとんのよね。いい感じで(笑)。あれはミュージシャンの成せる業やと思います。
──アニメ「デュラララ!!」のオープニングテーマになってますが、これはどういう流れで?
まあTHEATRE BROOKのアルバム用に、最初にいっぱい曲作って、弾き語りのデモテープを作るんですけど、その中でつるっと「これいけるんじゃないの?」みたいな感じで。で、アニメサイドにプレゼンしたら「いいじゃないの」ということで、急遽レコーディングが決まり。それで「これ、やることになったんですけど」とメンバーにお伺いを立て……みんな年上やからね(笑)、そこは事務所の社長的なニュアンスで。したら、「うーん、この曲は唐突じゃないかな?」みたいなことを言われて、「いや、そんなことないですよ!」って。でもね、それ、わかるんですよ。THEATRE BROOKは、この感じの曲はやってないんですよ。テンポがすごくストレートでしょう。♪ドゥンドゥンダンドゥン・ドゥンドゥンダンドゥン! みたいな。
──はい、勢いがあって。
そう、勢い。だいたいさ……例えば音楽でも、DJとかが途中ブレイクして、その次に盛り上げてドーン! っていったときって、みんな「ウワァーッ!」てなるでしょ? ああいうふうな感じにしたかったんですよ。
──ああ、つまり活動休止ということでちょっと溜めたから、その次は一気に、みたいな。
そう! ちょっと溜めて、復活したらワーッ! みたいな。やっぱりワーッといってるほうがいいかなと思ったんですよね。
初回限定盤 収録曲
- 裏切りの夕焼け
- 未来を今
- 裏切りの夕焼け -Karaoke Mix-
- 「裏切りの夕焼け」Music Video収録DVD付2枚組
通常盤 収録曲
- 裏切りの夕焼け
- 未来を今
- 裏切りの夕焼け -Karaoke Mix-
デュラララ!!盤 収録曲
- 裏切りの夕焼け
- 未来を今
- 裏切りの夕焼け -TV Size Opening Ver.-
- 裏切りの夕焼け -TV Size Long Ver.-
- 裏切りの夕焼け -Karaoke Mix-
- 「裏切りの夕焼け」Music Video、MBS・TBS系アニメーション「デュラララ!!」ノンクレジットオープニング映像収録DVD付2枚組
THEATRE BROOK(しあたーぶるっく)
佐藤タイジ(Vo,G)を中心に、1986年に結成されたファンクロックバンド。インディーズでの活動を経て、1995年6月にミニアルバム「CALM DOWN」でメジャーデビュー。ファンクやヒップホップ、ロックといったありとあらゆるブラックミュージックの要素を取り入れたサウンドが好評を博す。1997年にはクリストファー・ドイルの映画「タイフーンシェルター」のサウンドトラックを担当。その後も精力的な活動を展開するが、2007年12月のライブツアーをもって2年間ライブ活動を休止。2009年末に満を持して活動を再開し、2010年2月ニューシングル「裏切りの夕焼け」をリリースする。現在のメンバーは佐藤タイジ(Vo,G)、中條卓(B)、エマーソン北村(Key)、沼澤尚(Dr)。