THEATRE BROOKはウソつかんでもええバンドやからね

──先ほど使命感という話がありましたけど、タイジさんには、こういうことを歌えば現実そのものを良くしていけるんじゃないかという意思があるわけですか。

そうですね！ だから若いロックバンドとかに対して、（自分の身体を指しながら）こういうふうな先輩がさぁー（笑）。

──いかにもロックスター的な先輩が。

そうそうそう、ステレオタイプなね（笑）。でも最近あんまおらんからね。「そういう人間がオモロくって意味のあることを言わないとダメになるんちゃうかこの国は!?」って思うわけですよ。

──だからこういうことを表明して音楽をやらなければならない！ という感覚があると。

あるっすねえ。そうそう、こないだオモロい話しとったんやけど……音楽って、90年代後半から2000年代にかけてスタジオにPCが導入されたことで変わってんね。それを使いこなすためにみんなが四苦八苦したのがこの10年間やったと思う。で、最近CDの売り上げが落ちたことについて、例えば「違法ダウンロードでユーザーにとって音楽が手軽に手に入るようになった」「金を払わずして流通するようになったから売れなくなった」みたいな、ありがちな意見があるやん？ でもさ、スタジオで、歌えもしねえ歌手の歌をマシーンでグニグニッ、グニグニッてやって上手なものにしたり、全然弾けてねえギター、全然叩けてねえドラムを、なんか叩けてるようになっちゃった？ とかするわけやん。要するに「ユーザーが違法ダウンロードとかでウソついてやるようになったから売り上げが落ちた」とか言うてるけど、これ、作るほうもウソつきまくってるやんけ！ と。そういうことしてるから売り上げが落ちるんだよ、要は音楽に対する信頼がなくなったんだよ、みたいな話になったわけ。それは言えてる！ と思ったの。

──それは確かにそうですね。一理あります。

ねえ？ で、THEATRE BROOKは、そんなウソつかんでもええバンドやからね。こないだ年末にライブやってんけど、すごい良かったんですよ。そこは多分ユーザーはわかってると思う。「あ、このバンドはウソがないわ」というのは絶対わかってる。ピッチコントロールで歌をどうこう直したりせんでも（笑）、「せーの」でドーンとやっても全然大丈夫！ だからTHEATRE BROOKには役割があると思うのよ。

──役割ですか。そこも使命感ですね。

そう！ 90年代に出てきて、とりあえず2000年代をやり過ごしたバンドとしての役割はすごいあると思う。だからちょっと次の作品は……ユルいのは出せないな～、みたいな（笑）。ほんまはもう、楽～に、曲だけ決めて、あとはわりとええ感じで、スタジオでセッションしながらやればいいんじゃないの？ ユルいのやりたいみたいな気持ちもあるんだけど（笑）……それは違う！

──その誘惑よりも使命感のほうが勝ってるわけですね。

うん、使命感のほうが勝ってるね。だから……全っ然寝てないっすよ！（笑）