「SILENT PLANET」の若き女帝・ちゃんみな

──お二人は、ジャンルを超えてコラボする楽しさとはどんなものだと感じますか？

ちゃんみな　それって最高だと思うんですよ。私はもともと同じジャンルの人とはあまり一緒にいるタイプではないし、ラッパーの方と知り合いになる機会が少ないこともあって、仲がいい人たちもそんなに多くはないんです。なぜかはわからないんですけど。

TeddyLoid　それはたぶん、ちゃんみなちゃんが“スター”だからじゃないかな。僕もそうありたいと思っているんですけど、ジャンルは違っても、お互いに共通するものを感じることってきっとありますよね。

ちゃんみな　そうですね。そもそもコラボはジャンルが違う人とするほうが面白いと思ってます。自分とは違う人とやるからこそ発見があるし、できることの可能性も広がると思うので。もちろん、そこにリスペクトがあるということが大事だと思いますけどね。

──Teddyさんにとっての「SILENT PLANET」シリーズというのは、まさにその可能性を追求してきたプロジェクトだったのかもしれませんね。

TeddyLoid　そうですね。中でもちゃんみなちゃんは、とてもオリジナリティのある人だと感じました。だって、こんなアーティスト、ほかにいないですよ（笑）。音楽シーンを見渡しても似ている人がいないし、ちゃんみなちゃんは「ちゃんみな」ちゃんでしかない。そういう人に出会えたことは、プロデューサーとしてとても幸運なんです。

ちゃんみな　それって一番うれしい言葉かもしれないです。私は普段から、ああでもないこうでもないと言われがちなんですよ。「こいつはこのジャンルでもないし、このジャンルでもない」とずっと疎外されてきた人間なので。そう言ってもらえるのは本当にうれしいです。

TeddyLoid　今の時代、そういう人じゃないと魅力的じゃないとも思いますしね。

──だからこそ「SILENT PLANET」という物語の中に、ちゃんみなさんが必要だったということでしょうか。

TeddyLoid　そうですね。ちゃんみなちゃんは「SILENT PLANET」の若き女帝です（笑）。

──音楽や感情を開放していくレジスタンスの、若き女帝（笑）。

ちゃんみな　（芝居っぽく）女帝です。どうも（笑）。

TeddyLoid　（笑）。そうやっていろんな人を引き連れていくようなイメージで。最初に曲を作るとき、僕は彼女が旗を掲げて数万人の人々を引き連れていくような光景を想像していたんです。女神のような、ジャンヌ・ダルクのような。そういう光景をイメージして、壮大な要素を加えていきました。

ちゃんみな　自分の作品では絶対できないことをやらせてもらえたので、うれしかったです。「You Made Me」は自分の作品でやるとしても、どうオーダーしたらいいかすらわからないような楽曲で。Teddyくんの作品だからこそ、Teddyくんの色がガッとあって、まさに「TeddyLoid×ちゃんみな」という曲になっていると思います。

「You Made Me」は続く「INFINITY」への予告編

──最後にTeddyさんに聞かせてもらいたいのですが、2015年のフルアルバムから始まって現在に至る「SILENT PLANET」は、どんなふうに広がっていると感じていますか？

TeddyLoid　「SILENT PLANET」を通してさまざまな人との出会いがあり、そこから新しい出会いも生まれていって……僕の中では、この「SILENT PLANET」というシリーズは3部作になっていて、今回の2枚は、いよいよその完結編と予告しました。シリーズはこれで完結するので、「アベンジャーズ」のように各ジャンルで僕が思う一番すごい人たちに集まってもらいました。ちゃんみなちゃんはその中でも、いわば“若き女帝”のイメージです。まだ若いけど。彼女とのこの「You Made Me」は「SILENT PLANET: RELOADED」の締めくくりとしてラストに収録している曲ですが、この曲の前に挿入されるインタールード「TL will return」で、アルバムとしては一度終わりを迎えるんです。なので「You Made Me」は映画で言えばエンドロールで流れるテーマ曲ですね。同時に「SILENT PLANET: INFINITY」の予告編のような曲になっていて。すごく重要な位置付けなんです。

──マーベル作品の定番として知られる、エンドロールに挿入される次回予告のようなイメージですね。

TeddyLoid　まさにそういう雰囲気で。「SILENT PLANET」のクライマックスが訪れる、象徴のような楽曲になっているんです。

ちゃんみな　えっ、すごくうれしいです……！

TeddyLoid　だからこそ、ヘヴィメタルとトラップで仕上げた「You Made Me」は今までの僕にはないサウンドになっていますし、そこで期待通りにちゃんみなちゃんが最高のパフォーマンスを見せてくれて、本当にうれしく思っていますね。

ちゃんみな　私もうれしいです。十代の頃からこんなに長く応援してくれて、素晴らしい作品を一緒に作ってくれる方なので、今回参加できて本当によかったし、これからも一緒に曲を作ってみたいと思っています。とは言え、まさか私の参加曲がそんなに大事な位置付けの曲だったとは……。なのに、めちゃくちゃ性格の悪い曲ですみません！（笑）