ついに魔王ギリとの戦いを見届けることができる
──「魔法陣グルグル」は、1990年代のクラブシーンでも人気の高い作品でした。
フジムラ 原作者の衛藤ヒロユキ先生ご自身もDJをされてますし、マンガにもよくROLAND TR-909というリズムマシンの絵が描かれていましたよね。衛藤先生がテクノがお好きというのは知ってたので、ビンテージ機材を使いたいという思いもありました。
松井 なので「Magical Circle」のドラムの音にはTR-909も使ってます。
──TECHINOBOYSさんから見て、今回のアニメ「魔法陣グルグル」はどういうふうに映っているんでしょう?
フジムラ 1話の音入れに立ち合ったとき、昔の作品と比べるとテンポがすごく早いなと思いました。スラップスティックだなあと。今の時代には合ってますよね。
松井 今回初めて観る人はスッと入ってくるんじゃないかな。
石川 最近の若い人たちの中には、時間がないから借りてきたDVDを2倍速とか4倍速で観る人もいるんですって。その感覚に近いのかなと思いました。
松井 俺は逆に「グルグル」のDVDは1/2の速度で見たいな(笑)。
フジムラ キタキタおやじ(キタの町の元町長で踊り子)がこっそりといるシーンも昔はもうちょっと長かったんですけど、容赦なく切られててかわいそうだなあと思って(笑)。
中川 世代でしょうね。もともと観てた人は全体像は知ってるっていうのもあるし。あと、今回ついに魔王ギリと戦うところまで描かれると思うと、びっくりしますね。本当の意味で集大成が来るんだなって。それをリアルタイムで見届けることができるとなると、いろんな意味で走馬灯が見えますね。
石川 私は最終回まで劇伴を担当できるのがうれしい。
松井 今までに携ったアニメは、まだ原作が続いていますからね。
──ちなみに、TECHINOBOYSの皆さんにとって思い出のアニソンと言えば?
松井 昔からアニメのサントラはけっこう聴いてました。
石川 レコードですけどね(笑)。
松井 「うる星やつら」はテクノの要素もいっぱいあって好きですね。僕は歌モノが好きで、話を覚えてない作品でも歌だけは覚えてるんです。「はーいステップジュン」とか。
中川 ステップジュン! その単語、人が発したのすごいひさびさな気がする(笑)。
石川 僕は「おはよう!スパンク」好きだったな。
松井 俺、あのテーマ曲のAメロが途中でいつの間にか「とんがり帽子のメモル」のテーマに変わんねん(笑)。
石川 わかる(笑)。
松井 曲(塚田三喜夫「ザ・チャンバラ」)は知ってる人も多いと思うけど、「まんが水戸黄門」もリアルタイムで観てました。あと「黄金戦士ゴールドライタン」はオープニングよりもエンディング(TOMO「メカニカル・ダンシング・ファイト」)のほうが好き。
石川 エンディングなら「六神合体ゴッドマーズ」(樋浦一帆「愛の金字塔」)のオクターブ上がるところが好きだな(笑)。
松井 「ゴッドマーズ」と「ルパン三世」第1シリーズのエンディング(チャーリー・コーセイ「ルパン三世主題歌II」)と、「虹の彼方に」は自分にとって“世界三大オクターブ上がる曲”(笑)。あとアニソンの歌詞の不条理さが昔から好きで、一番好きなのがクリスタルキングが歌う「北斗の拳」のオープニングテーマ「愛をとりもどせ!!」。あの歌が衝撃的で、自分はできるだけ腑に落ちる歌詞を書こうと思いながらやってます(笑)。
中川 すごい! 止まらないトーク! ぜひ80'sアニソンDJしてほしいです!
みんながここに導かれた“全クリ感”がある
──「Magical Circle」のアーティスト写真、凝ったものになりましたね。
中川 アンティークっぽいものがいっぱい詰まったククリちゃんの部屋をイメージして、うちにある私物をいっぱい持ってきました。セドナ(ネイティブアメリカンの聖地)で買ってきた謎の紋章が入った石とか、アンモナイトとスカシカシパンの化石とか。あと、原作を読んでると衛藤先生が「長い声のネコ」とか猫をいっぱい描いているので、最近飼い始めた子猫を連れて来ました。撮影向きの大人しい子なんです。それも生きた証になってうれしいなと思って。石川さん、猫アレルギーなのに最後まで見ていてくださって。優しい。
石川 猫、好きなんです(笑)。
──あとは早くライブでこの曲を聴きたいです。
中川 歌いたいですねー。やっぱりみんなサイリウムで空に魔法陣描きたいと思うんです。子供のときに魔法陣描いてた話はアラサーあるあるだし、「グルグル」のスーパーファミコン用ソフトも魔法陣を描いて勇者を応援するゲームだったし……やっぱり魔法陣を描く瞬間のドキドキが一番の興奮ポイントだったから。近々だと上海でアニソンイベントがあるので、そこかな? 先日「いきなり海外で初披露はどうだろう」と思ったんですけど、「グルグル 海外」で検索したら「懐かしい! 私が9歳のころに戻ったようだ」とか「ドラクエと共に好きだった」とか、私が言ってるようなことをみんな言ってたので、大丈夫かな?と。
──TECHNOBOYSの皆さんはライブのご予定は?
フジムラ ワンマンもやりたいんですけど、僕らは機材の量も多いし、ライブ用にアレンジを変えるので時間がかかるんですよね。
松井 そもそもメインボーカリストがいないので、ゲストも呼んで来ないといけないし。
──この4人でのライブはぜひ実現していただきたいです。
中川 私もそれは今最も妄想している夢ですし、ここまで夢以上のことが叶ってるので機会があってほしいです!
フジムラ やりましょう!
松井 ぜひぜひ。僕らのライブに中川さんを呼ぶのはなかなかハードル高いけど、中川さんのライブに僕らが行くのは全然ハードル低いんで(笑)。
中川 ええーっ、うれしい! じゃあ、あの“兵器”持ってきてください!(笑)
──アニメ本編も終盤間近、テレビサイズの「Magical Circle」が耳になじんできました。
中川 やっぱりフルで聴いてほしいなって、すごく思います!
フジムラ 最終回とかフルで流れてほしいですね。勝手な要望ですけど。
松井 巻き気味にギリを倒してもらって。
中川 そこ巻いちゃいますか!?(笑) でも、集大成な曲になったのが本当に不思議です。いろんなことを飛び越えて、みんなが導かれてここに来たなっていう“全クリ感”がありますね。
フジムラ 本当にそんな感じの曲になりましたよね。
松井 そしてスタンダード感があるんですよね。ずっと聴いてた曲みたいな感じになってて。
中川 もし私が「グルグル」ファンとしてこの曲を聴いたとしても、ずっと聴いてると思うんです。そういう曲に出会ってしまったという感じがします。
フジムラ ありがたい。そんなこと言っていただけるなんて。
松井 10年後も誰かが口ずさんでくれるような曲になってくれる未来があったらいいですね。
- TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.中川翔子「Magical Circle」
- 2017年11月15日発売 / Lantis
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[CD]
1512円 / LACM-14679
- 収録曲
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- Magical Circle / TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.中川翔子
[作詞・作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND] - Wind Climbing ~風にあそばれて~ / TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.奥井亜紀
[作詞・作曲:奥井亜紀 / 編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND] - ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット / TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.上坂すみれ
[作詞・作曲:中原めいこ / 編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND] - Magical Circle (Instrumental)
- Wind Climbing ~風にあそばれて~(Instrumental)
- ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット(Instrumental)
- Magical Circle / TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.中川翔子
- TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND(テクノボーイズ パルクラフト グリーンファンド)
- 1994年、TECHNOBOYSとして結成。各自のソロ活動やさまざまなメディアへの楽曲提供経験を経て、2005年にフランスの映像会社Le PivotのPV曲のリミックスを務めた際にTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND改名した。2006年に1stアルバム「music laundering」をリリース。2007年公開のアニメ映画「EX MACHINA -エクスマキナ-」では音楽監修を務めた細野晴臣の指名により、楽曲「LOST SECOND」を提供した。2014年に2ndアルバム「good night citizen」をリリース。同年から「ウィッチクラフトワークス」「トリニティセブン」など多数のテレビアニメ作品の劇伴やテーマ曲を手がける。2015年にはテレビアニメ「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」の劇伴とエンディングテーマ「打ち寄せられた忘却の残響に」の制作を担当。このED曲はTECHNOBOYSにとって初となるメジャーレーベル・Lantisよりシングルリリースされた。2017年にはテレビアニメ「魔法陣グルグル」の音楽を担当した。
- 中川翔子(ナカガワショウコ)
- 1985年生まれ。2002年に芸能界デビューして以降、数々のテレビドラマやバラエティ番組に出演し「しょこたん」の愛称で幅広い層から人気を集める。2006年にシングル「Brilliant Dream」で歌手デビューし、CDリリースやコンサートツアーを精力的に実施。2009年には東京・日本武道館公演を開催した。2017年には「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」に向けた「マスコット審査会」のメンバーに選出されたほか、「文化審議会第15期文化政策部会メディア芸術ワーキング・グループ」に参加している。