KANA-BOON×Technicsコラボオンラインライブ開催記念特集|“音”へのこだわりや新体制初シングル「きらりらり」に込めた思いを語る (2/2)

大事なものを守り抜いたまま、ここまで来ることができた

──ニューシングル「きらりらり」は、現在の4人体制になってから最初の作品ですね。

谷口 そうなんですけど、マーシーがレコーディングに参加したのは「Torch of Liberty」(2020年11月発売のシングル)からなんですよ。「Honey & Darling」にも作曲、アレンジの段階からガッツリ関わっていたし、自分たちとしては“すでにメンバー”という心意気でやっていたんですが、このシングルが正式加入後の第1作になりますね。

──なるほど。「きらりらり」はテレビアニメ「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」のオープニングテーマです。KANA-BOONが「NARUTO」シリーズとタッグを組むのは今作で5回目ですが、同じ作品のテーマソングを5回担当するのはすごいですね。

谷口 ホントに(笑)。

古賀 確かに5回もテーマソングをやらせてもらうって、あんまり聞いたことないですね。

古賀隼斗(G)

古賀隼斗(G)

──「きらりらり」は、KANA-BOON×「NARUTO」シリーズの最初の楽曲「シルエット」(2014年11月発売のシングル表題曲)を意識して制作したそうですね。

谷口 はい。せっかくここまで紡いできた縁を大事にしたいと思って。「シルエット」から始まって、約8年経って「きらりらり」にたどり着いたんですけど、当時とは視点が変わってるんですよ。「シルエット」のときは主人公のナルトの姿に自分たちを重ねて、一歩先を進んでいるナルトを追いかけるようなイメージがあった。「シルエット」には「大事にしたいもの持って大人になるんだ」という歌詞がありますが、当時はまだデビューしたばかりで、バンドとしては少年期みたいな感じだったんです。少しずつファンが増えて、たくさんのつながりもできていたんですけど、僕らとしては三国ヶ丘FUZZ(KANA-BOONがホームグラウンドにしていた大阪のライブハウス)の頃からつながってきた人たち、みんなの気持ちを持ったまま成長していきたい、バンドとしてカッコよくなっていきたいという思いがあった。何も取りこぼすことなく進んでいきたいと思っていたんですよ。

古賀 うん。

谷口 KANA-BOONは来年でデビュー10周年なんですけど、ここまで歩いてきたときに「あのときに『大事にしたい』と思っていたのものは、今もちゃんと持ってる」と感じて。大事なものを守り抜いたままここまで来ることができた、その事実を歌で確かめ合いたかったんですよね。「NARUTO」「BORUTO」のために作った曲は僕らにとってもすべて必要だったし、バンドとファンの関係も称えたくて。あと、アニメの「NARUTO」シリーズは今年で20周年なので、「きらりらり」は今期のオープニングテーマというだけではなく、20周年のテーマソングにしたいという気持ちもありました。

──なるほど。バンドを続けていかないと証明できないことってありますね。

谷口 そうですね。本当にそうなんだなって、改めて感じました。

古賀 マーシーが加入したことで、鮪が作る曲の形が少しずつ変化していて。「きらりらり」は特にそれを感じる曲ですね。さっき鮪が言ってたように、「シルエット」から始まった道のりを表現している曲なんですけど、不安な場所に行ったり、かと思えばいきなり明るいところに出たり。全体の展開やダイナミズムがすごくあるんです。それは鮪とマーシーが合わさることで生まれたもんなんやろうなと。自分のギターも「今まで使えてなかった引き出しを引っ張り出せた」みたいな感覚があって。新たな一歩だったし、制作していて楽しかったですね。

小泉 ちゃんと自分の意思を込められましたね。「この曲を作って、次に進む」という意識があったんですよ。今自分が「音楽をどう鳴らしたいか」をしっかり詰め込めたというか。制作とレコーディングを通して、幸せを感じてましたね。鮪とマーシーが作ったデモ音源と一緒に、しっかり思いを届けてくれたことも大きくて。

小泉貴裕(Dr)

小泉貴裕(Dr)

谷口 サポートで入ってもらった2年前からそうなんですけど、マーシーには楽曲制作の段階から僕の後ろでスタンバってもらっていて。最初の頃はKANA-BOONの活動に慣れてなかったし、制作の過程に立ち会ってもらって、楽曲がどうやって生まれてくるのか見てほしかったんですよね。もともとマーシーは音楽をよく知ってるし、曲作りの知識もあって。「Torch of Liberty」でも「ここでこのコードを入れると、こういうふうにムードが変わるよ」みたいなアドバイスをくれて。「こいつは使える」と味をしめました(笑)。

──「きらりらり」にも、マーシーさんのアイデアが反映されている?

谷口 はい。1番のサビまでのオーソドックスな部分は僕が作ったんですが、2番以降の変化球的なゾーンは、マーシーがいろいろ意見をくれて。コード進行もそうだし、ギターソロのところで転調……してるんだよね?

遠藤 うん(笑)。

谷口 専門的な知識もあるし、すごく力になってくれてますね。

──マーシーさんにとっても当然、「きらりらり」は思い入れのある楽曲ですよね?

遠藤 そうですね。「シルエット」がリリースされた当時は、リスナーの1人として聴いていて。みんなとは高校時代からの友達なので誇らしい気持ちもありました。その頃は接客業をしていたので、職場のテレビに映っているミュージックビデオを横目で見ながら、「いらっしゃいませ」って言ってたんですよ。

古賀 すごい光景やな。

遠藤 当時はもちろん外からしか見ていなかったし、実際に体験したわけではなくて。サポートとして関わるようになって、ライブやいろいろな場面で「シルエット」がどれほど愛されていて、どれだけ重要な曲かを感じることができた。そこからつながっているのが「きらりらり」だし、みんなの期待に応えられるようにがんばろうと思ってましたね。

遠藤昌巳(B)

遠藤昌巳(B)

──素晴らしい。深いコメントですね。

谷口 まあ、本当は浅い人間ですけどね。

古賀 急に下げた(笑)。

小泉 はははは。

谷口 (笑)。音楽の才能も素晴らしいし、しかもマーシーだけのものをちゃんと持っていて。

遠藤 うれしいです(笑)。

「NARUTO」とのつながりがわかるようなシングルにしたかった

──「きらりらり」はすでにライブで演奏していますが、手応えはどうですか?

谷口 ライブでもちゃんと伝わっているというか、越えるべき一線は越えましたね。

古賀 うん。楽曲の展開がすごいから演奏するのはかなり難しいんですけど、何度かライブでやって、この曲が持っている意味、存在している理由をしっかり表現できるようになってきて。ライブで初めて聴いたお客さんにも伝わっていると思います。

──シングルの初回限定盤にはKANA-BOONがこれまで担当した「NARUTO」シリーズの楽曲、ASIAN KUNG-FU GENERATION「遥か彼方」のカバー、さらに「BORUTO」に捧げる新曲「Everlong」を収録したCDが付属します。アジカンのカバー、めちゃくちゃ気合い入ってますね。

谷口 そうですね(笑)。「エモいって、こういうことなのかな」っていう。

古賀 ははは。

谷口鮪(Vo, G)

谷口鮪(Vo, G)

谷口 「遥か彼方」も「NARUTO」シリーズの主題歌(2003年放送の「NARUTO-ナルト-」第2期オープニングテーマ)で。僕らが中学生のときの曲で、原点でもあるんですよね。さっきも話しましたけど、5回目のタッグってなかなかないし、これまでのつながりがわかるようなシングルにしたくて、カバーさせてもらいました。「Everlong」も、実は今回「きらりらり」ともう1曲の候補として「BORUTO」のために作った曲なんです。こっちもすごく好きだし、ちゃんとフル尺にして収録したくて。バンドにも「BORUTO」にも当てはまる内容の曲ですね。

──そして2023年春には大阪、東京で野音ワンマンが開催されることも決定しました。来年はメジャーデビュー10周年のアニバーサリーイヤーですね。

谷口 野音のライブはデビュー10周年のキックオフですね。野音のワンマン自体、初めてなんですよ。大阪城野音は何回かイベントに出演したことがあって、高校の軽音部のライブもやったことがあるんですけど、日比谷の野音は1回もなくて。ここから10周年を始められるのがうれしいし、さらにライブを増やしていきたいですね。


Technics「EAH-AZ60」

Technics「EAH-AZ60」

Technics「EAH-AZ60」

TechnicsがHi-Fiオーディオ機器の開発で長年培われた音響技術の粋を注いだ完全ワイヤレスイヤフォン。音楽が持つ表現や豊かな空間を再現する高音質を実現させた。ハイレゾ音質の伝送が可能なLDACに対応することで、ワイヤレスでありながらハイレゾ音質が楽しめる。

ライブ情報

Technics presents “Connect” Online Live × KANA-BOON

2022年11月16日(水)19:00~19:40
音楽ナタリー公式YouTubeチャンネルにて生配信

特設サイト

音楽ナタリー公式YouTubeチャンネル


KANA-BOON 10th Anniversary KICK OFF LIVE「Sunny side up - Moon side up」

  • 2023年4月30日(日)大阪府 大阪城音楽堂
  • 2023年5月14日(日)東京都 日比谷野外音楽堂

プロフィール

KANA-BOON(カナブーン)

高校の同級生だった谷口鮪(Vo, G)、古賀隼斗(G)、小泉貴裕(Dr)を中心に結成され、地元大阪を中心に活動を開始。2012年に参加した「キューン20イヤーズオーディション」で4000組の中から見事優勝を射止め、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブのオープニングアクトを務める。2013年4月には活動の拠点を東京に移し、同年9月にシングル「盛者必衰の理、お断り」でメジャーデビューを果たした。2022年3月にアルバム「Honey & Darling」を発表。4月には新メンバーとして学生時代からメンバーと親交があった遠藤昌巳(B)が加入した。同月に新体制初のワンマンライブ「KANA-BOON presents『Honey & Darling』-Tokyo Honey, Osaka Darling-」を東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)と大阪・NHK大阪ホールで開催。さらに5月から19都市20公演におよぶ全国ツアー「KANA-BOON LIVE TOUR 2022 Honey & Darling」を行った。9月より対バンツアー「KANA-BOON Jack in tour 2022」を実施。11月にテレビアニメ「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」のオープニングテーマ「きらりらり」をシングルリリースした。2023年4月に大阪・大阪城音楽堂、5月に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)で野外ワンマンライブ「Sunny side up - Moon side up」を行い、メジャーデビュー10周年イヤーに突入する。

2022年12月19日更新