オーイシマサヨシによるオンラインライブ「Technics presents “Connect” Online Live」の映像が音楽ナタリーの公式YouTubeチャンネルにて期間限定で公開中。この映像ではアコースティック編成によるオーイシのスタジオライブを約40分にわたって楽しむことができる。
音楽ナタリーではライブの開催を記念して、オーイシとTechnicsのコラボ特集を展開。オーイシにはTechnicsの完全ワイヤレスイヤフォン「EAH-AZ60」を試聴してもらい、音楽のみならずアニメ鑑賞やゲームプレイなどさまざまな用途で使用した感想を聞いた。オーイシは「いい音で音楽を聴くことは、満天の星空を見上げることに似ている」と音へのこだわりを語り、いいイヤフォンで配信ライブを楽しむ醍醐味を教えてくれた。
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取材・文 / ナカニシキュウ撮影 / 星野耕作
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Technics「EAH-AZ60」
TechnicsがHi-Fiオーディオ機器の開発で長年培われた音響技術の粋を注いだ完全ワイヤレスイヤフォン。音楽が持つ表現や豊かな空間を再現する高音質を実現させた。ハイレゾ音質の伝送が可能なLDACに対応することで、ワイヤレスでありながらハイレゾ音質が楽しめる。
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オーイシマサヨシのサイン入りチェキが3名に当たる
Technics presents “Connect” Online Live × オーイシマサヨシ
2022年11月8日(火)19:00~
音楽ナタリー公式YouTubeチャンネルにて期間限定で公開中
宇宙空間にい続けることができる
──オーイシさんは普段、どんな環境で音楽を聴いていますか?
3パターンありまして……作業スタジオのモニタースピーカーで聴く環境、スマホで聴くイヤフォン環境、車に乗るときのカーステレオ。そのうち、純粋に音を楽しむ目的だとやはりイヤフォンになるかなと思います。スタジオでは仕事として聴く感じになりますし、車なんて走行音とかもすごいですから。車では音楽を楽しむというよりは気分を乗せるためのBGMとしてイージーリスニング的に聴いている感じなので。
──例えばリスニング機器を選ぶ際は、どんなポイントにこだわります?
やはり解像度の高さやLRの広さ、そういう部分はいち音楽家として気になるポイントですね。あとは……イヤフォンの利用用途って、特にスマホにおいては音楽だけじゃないと思うんですよ。YouTubeを観たり、映画やアニメを観るときにも使いますよね。そのとき、いかにそこに集中できるかがめちゃくちゃ大事になってくる。その没入感はけっこう重視しますね。
──具体的には、どういうものだと没入感が得られやすいですか?
やはり、ノイズキャンセリング機能がかなり重要になってくると思います。外界の音を遮断してくれることによって、より作品の音に集中できますから……とはいえ、僕はずっとノイキャンという技術にけっこう猜疑心を持ち続けてきたんですけど(笑)。
──「ノイキャンは音質を損なう」とずっと言われてきましたからね。
そうですね。位相がズレちゃったりもするし。実際に音を聴いた感覚としても「音が潰れちゃうな」「音場の環境が逆に悪くなるな」というのがあって……。でもそれはノイキャン機器が出始めた頃の印象なのでもう20年くらい前の話で、そのイメージがずっと残っていたんです。それが最近のものは性能がハンパなさすぎて、めちゃくちゃうまく対応してくれるようになっていて。
──原音をあまり損なわないレベルになってきている?
厳密には損なわれているんでしょうけど……特に僕は新幹線移動が多いのもあって、音質が多少落ちるとしても、轟音によって損なわれるもののほうがずっと大きいというか(笑)。外の雑音をうまく軽減しながら中の音も担保するような、そのバランスをうまく取ってくれるイヤフォンは非常に魅力的だと思いますね。
──なるほど。
あと、僕は室内でもノイキャンを使うんですよ。これはぜひ皆さんにもオススメしたいんですが、例えば「機動戦士ガンダム」を観ているときに外からクルマのクラクションとかが聞こえてきたら、急に現実に引き戻されてしまいますよね。せっかく宇宙空間にいる気分だったのに(笑)。その点、ノイキャンによって外界の音から遮断されていれば、そのまま宇宙空間にい続けることができる。そんなふうに、作品に集中するためにはある程度の無音状態が担保されている必要があるんです。映画館とかって、そうじゃないですか。
──だからと言って、なかなか自宅を防音にはできないですしね。
自宅を本気で防音しようと思ったら、少なくとも400万円くらいはかかりますから。それを考えたら、ノイキャンは安上がりですよ(笑)。
俺、こんなにいい音楽やってたんだ
──今回はそんなオーイシさんに、Technicsの完全ワイヤレスイヤフォンEAH-AZ60をお試しいただきました。ちなみにTechnicsというブランドにはどんなイメージがありますか?
やはりレコードプレーヤーのイメージがすごく強いですね。僕自身もTechnicsのターンテーブルを持っていますし。音楽再生機に携わっているメーカーだけあって、イヤフォンやヘッドフォンも原音再現度の非常に高いブランドという印象があります。音の質感もリッチで、すごくぜいたくな音を出してくれるイメージを持っていますね。
──このAZ60にはいろいろなアピールポイントがあるんですが、まず音質面で言うとLDACに対応していて、ハイレゾ相当の高音質をワイヤレスで楽しむことができます。
そうなんだ! 今日まで実機でいろいろ試してきましたけど、そういえばハイレゾ音源は聴いてないですね。すみません。
──いえ、そもそもワイヤレスでハイレゾを聴くという発想自体が出てこないのも無理はないです。Bluetoothって、これまでは音質度外視で利便性のために使うものというイメージが強かったですし。
そうですよね。僕の場合はそのことに大して不満も持っていなかったというか、「Bluetoothってそんなもんかな」という感覚でしたけど。
──ハイレゾ音源をご用意しましたので、ぜひ今ここで聴いてみてください。
ありがとうございます。(しばし試聴して)あー……めっちゃいいですね……ふふっ(笑)、めちゃくちゃいいですね! (イヤフォンを外して)明らかに違う。僕ら音楽クリエイターがトラックダウンのときに聴いている音がそのまま再生されているかのようなイメージすらありますね。制作者が大切にしているものがちゃんと表現されている感じがします。やっぱり「できるだけ高音質で届けたい」という思いがミュージシャンにはあるので、これは僕ら的にはありがたいです。いやあ、ビックリしました。
──今、試聴中に何やら思わず笑みがこぼれていましたが……。
ホントですか(笑)。いや、音場の広さに驚いたとかいろいろあるんですけど、「これ、これ!」っていう。
──なるほど(笑)。
よく「高音質になるとボーカルの息遣いまで聞こえますよ」という言い方がされますけど、そういう解像度の高さ、表現力の高さを感じました。これ、特にジャズとかを聴くとよりわかりやすいんじゃないですかね。
──ジャズはまさに息遣いを聴く音楽ですもんね。
ええ。音質傾向としてもあまりクセがないですし……クセのあるイヤフォンって、だいたい中域にクセがあるんですよ。すごくブーストされているとか、もしくは逆にカットされていたりとか。その意味ではけっこう素直な印象です。
──ジャズ以外では、どんな音楽に合うと思いますか?
なんでも合うと思いますよ。今言ったように素直でクセがないですから、それこそ音楽だけじゃなく、映像作品を観るときやゲームをするときなんかにも向いているんじゃないでしょうか。
──ではオーイシマサヨシ楽曲を聴く用途にも間違いなくオススメできる?
実は、昨日までずっとこれで自分の曲を聴いてたんですよ。「どうかな?」と思って。過去曲をひと通り聴いてきたんですけど……涙が出ましたね。
──涙が出ましたか(笑)。
「俺、こんなにいい音楽やってたんだ」と思って(笑)。生半可な表現力のイヤフォンでは、そうはならないですよ。だって、自分の作ったものなんて自分が一番アラをよく知っていますから。もちろん完成品として世に出したものではあるけど、本人的には「ここはもっとこうしとけばよかったな」という部分があるものなんです。普通はそういうところを冷静に聴いてしまうんですが、それをすべて包み込むように再生して耳に届けてくれるこのAZ60は、ある種……なんて言うのかな、心に直結するような感じがしてめちゃくちゃ気持ちよかったですね。
──先ほども「トラックダウンをそのまま聴いているかのよう」という言葉がありましたが……。
そうそうそう。もちろん製品版はマスタリングもされていますし、TDの音そのままというのはちょっと語弊があるんですけど。ただ、やっぱり音楽って解像度であるとか数字的なものも大事だとは思うんですけど、最終的には耳を通して人の心に届くかどうかだと思うんですね。いかに機材にお金をかけようが、そこに感動がなければ意味がない。そういう意味で、このAZ60はすごく心が通っている。感動のあるイヤフォンだなと思いました。
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犬で実感するノイキャン