昨年10月に発売されたアントニオ・カルロス・ジョビンのトリビュート・アルバム「ジョビニアーナ~愛と微笑みと花~」に参加し、デビュー前にもかかわらず多くの強豪たちと肩を並べた、沖縄出身の女性シンガー多和田えみ。23歳とは思えない存在感と貫禄のある歌声が魅力の彼女は、このアルバム参加をきっかけに大きな注目を集めることとなる。そしてコンピレーション・アルバムや他アーティストのアルバム参加を経て、4月23日にミニアルバム「∞infinity∞」でついにメジャーデビュー。今回「ナタリー」は多和田えみ本人へのインタビューを行い、シンガーとしての彼女の魅力に迫ってみた。
取材・文/西廣智一 インタビュー撮影/中西求
偶然の積み重ねが彼女の人生を変える
幼い頃から音楽が大好きだったという多和田えみ。彼女のデビューまでの道のりは、まさに「偶然の積み重ねが生み出した奇跡」という表現がぴったりだ。
彼女は高校時代から音楽留学を目指して英語の勉強を続け、卒業後に父親の知り合いが住むカナダに留学。広場で演奏していた多国籍ジャズバンドに「飛び入りさせてください」と声をかけたことが、彼女の本格的な音楽人生の第一歩となった。
その後沖縄に戻り、2006年から地元での音楽活動をスタート。当初はリゾートホテルなどのステージでカバー曲を中心に歌っていたが、2007年4月にMSN/EMI ARTIST主催のオーディション決勝大会でNYLON賞を受賞。これがきっかけとなり、本格的な歌手デビューが決定する。強い思いと実力が幸運を引き寄せた理想型。まさに現代のシンデレラガールと言えるだろう。
「とにかく、ぜんぜん信じられなくて。非現実的すぎて呆然としましたね。時間が経ってからジワジワとリアリティが出てきた感じです。賞自体、まったく取れるとは思ってなかったんですよ。初めて東京にひとりで行って、そこでただ歌っただけで、正直それどころじゃなかったですし。今思えば自分の歌をオーディションの会場にいる人たちに伝えるためにちょっとガムシャラになってた気がします。だから、オーディションであることをぶっちゃけ忘れてましたね(笑)」
そしてオーディションから1年の準備期間を経て、2008年4月23日、ついに多和田えみのメジャーデビューミニアルバム「∞infinity∞」がリリースされた。「無限/無限大」を意味するタイトルにも、彼女ならではの思いが込められている。
「宇宙にはいろんな星があって、その中に地球があって、そこには植物とかいろいろな生き物がいて、さらに音楽も生まれますよね? だから音楽は宇宙が作ったものだと思うんです。肉体がなくなっても魂はずっと残ると思うし、どの時代のものでも音楽は滅びずにずっと残り続けるし。それってすごいことですよね。そんな音楽が持つ無限のパワーを自分でも表現できたら、という願いを込めてこのタイトルをつけました」
多くの人と「ソウル・トゥ・ソウル」でつながりたい
昨年から今年にかけて、沖縄限定シングルの発売や数々のコンピレーション・アルバムへの参加などで、「2008年期待の新人」とメディアから評される機会も急増している。
「でも、まだまだ実感がないんですよね。実績があるわけでもないし、やっぱりこれからなので、そう言っていただけるだけで光栄です(笑)。その期待に応えられるよう、これからがんばっていきたいです」
そして、多和田えみの「今」を切り取った、名刺代わりといえる作品を引っさげ、彼女は今後「無限大」の可能性を秘めた世界へと飛び込んでいくことになる。
「これからは全国各地でライブをやりたいです。ライブで日本中の方々と出会うチャンスも増えてくると思うので、そのときにできるだけ多くの人と『ソウル・トゥ・ソウル』でつながって、パワーを与えられるような、そんな歌が歌えるようになりたい。私は曲の中にひとつの『魂』という大事なものを込めて歌っているつもりなので、聴いてくれた皆さんがそういう思いを受けとめてくれたら嬉しいですね」
2008年4月23日発売 / 1680円(税込)
QVCB001 / 発売元 techesko
販売元 Sony Music Distribution
CD収録曲
- Naturally
- Music Box
- ゆらゆら
- CAN'T REACH
- ネガイノソラ
プロフィール
多和田えみ(たわた・えみ)
1984年6月26日、沖縄県宜野湾市に生まれる。学生時代はマーチングバンドに参加。
高校卒業後、カナダへの語学留学中にストリートジャズバンドで歌い、音楽を志す。
帰国後は本格的にボーカル、作詞作曲を始め、2006年2月より沖縄県内のホテルやライブハウスを中心にライブ活動をスタート。
2007年4月、MSN/EMI ARTIST主催のオーディション決勝大会で、NYLON賞を受賞。
5月16日に初のCDシングル「ネガイノソラ」を沖縄県内限定でリリース。発売1ヶ月で2000枚を売り上げ、タワーレコード那覇店などでインディズチャート1位を獲得する。
続く6月、東京にて初のワンマンライブを敢行。メジャーレーベル各社による獲得争奪戦の末、アミューズが新設したプロダクション&レーベル<AZEAL>の第1弾専属アーティストとして契約を果たす。
2007年10月にアントニオ・カルロス・ジョビン生誕80年記念トリビュートアルバム「ジョビニアーナ~愛と微笑みと花~」に参加。2008年1月発売のコンピCD「琉球LOVERS ROCK」では風味堂の「ゆらゆら」をレゲエアレンジでカバーし、2月発売のコンピ「DIVA」にオリジナル曲「CAN'T REACH」で参加する。3月にはDJ KAWASAKIとのコラボナンバー「INTO YOU feat. EMI TAWATA」も発表。
4月23日に、待望のメジャーデビューミニアルバム「∞infinity∞」をリリースした。