歌うこと、それは自分のバンドだからできる強権発動
──ポップパンクふうの「鳴り止まない」も真部さんの新しい引き出しを開けた曲だなと感じました。
西浦 これは最高ですよ。
真部 こういう曲が書けるうちはがんばろうって思いますよね。レコーディングも一発録りだったんです。スタジオでずっと僕が「Bad Religionみたいにしてください!」って言い続けて、みんな苦笑いするっていう(笑)。お師匠さんに作っていただいたドラムサウンドも、「一度こんな音で録ってみたかった」って感じになったので、聴き返すたびに笑みがこぼれます。うれしいなあ!
齋藤 急にテンション高っ。
真部 僕はアメリカンポップスが好きなのでアメリカンなサウンドをやりたいと思っていたんですけど、日本の録音スタジオの環境って9割方UK寄りで、卓を通しただけでUKの空気がしちゃうのがずっと悩みだったんです。でも今作は自分の納得する音ができました。
西浦 日本で録った音楽でカラッとした音って、あんまりないですよね。
真部 「それやるんだったら、もう渡米するしかないよね」って言われたりしますからね。そこにさらに自分が今まで試行錯誤してきたクリーンギターのサウンドがきれいにハマったのは、すごく新鮮な感じでよかったです。
西浦 「充分未来」とかも、定石通りだと湿っぽいサウンドでいくと思うんですが、今回はドライなサウンドになっていますし、この「鳴り止まない」に関しても恥ずかしいほど清々しいアメリカンロックサウンドなのが新機軸で面白かったですね。
真部 でもサウンドの話をさんざんしておいてなんですけど、やっぱり商業音楽ってボーカルがすべてなんだなっていうことを痛感しました。今回、いい歌メロを作るためにものすごく苦しんだんですよ。かなり生みの苦しみがあった。
齋藤 1曲目の「会って話そう」は特に苦しんでましたよね。曲の構成とかメロディが決まったのが歌のレコーディングの当日で、私は殺されかけました。
西浦 「会って話そう」はワンマンでもやってない曲だからね。
──「会って話そう」には、珍しく真部さんのボーカルパートがあります。
真部 これはですね、集団行動は自分が組んだバンドなのでわりと好き放題できるはずだったんですけど、前作では業務に追われてそれどころではなかったので、「自分のバンドだからこそできる強権発動って何かな?」って考えたら、歌うことだったと。
──真部さんは前から歌ってみたかったんですか?
真部 僕、歌うギタリストがすごく好きなんですよ。山本精一さんとかジョン・フルシアンテとか。でも自分で歌ってみて、齋藤の苦労がちょっとわかりました。
齋藤 ははは(笑)。
西浦 リハで歌いながら弾くのがマジで大変そうだった。
真部 16分のリズムの曲なんで、「会って話そう 電話で」っていう部分、「ン電話で」ってゴーストを入れないと歌えないんですよ。どうしても吉幾三さんっぽい歌い方になってしまって(笑)、メインボーカルってこんなに大変なんだなって思いました。こんなに歌うのは「おはようオーパーツ」(相対性理論の2008年の楽曲)以来でしたし。
西浦 真部くん意外といい声してるんですよね。すごくいやらしい声をしてる。いや、いい意味で、ですよ?(笑)
フロントマンとしての私の今後の課題
──今回のアルバム制作を経て、集団行動としての今後のビジョン、あるいは新しい目標は具体的に見えましたか?
西浦 1stもそうだったんですけど、集団行動では今までの自分が経験していない、いろんな新機軸の音楽をどんどんできてる実感があるんですよ。ワンマンでやった曲で今回入れてない曲もまた全然タイプが違うものがたくさんあるし、「あ、これはまだまだ上に行けるな」っていう確信が持てました。なので次回も面白いものが作れる自信があります。
真部 バンド活動をするって「人を好きになっていくこと」なんですよね。人を好きになることで自分自身にどんどん奥行きができて、自分のバリエーションが増えていくっていう。だから「好きになっているな」という自覚を持てるくらい、もっともっとメンバーと仲良くなっていきたいなと。仲違いと仲直りを繰り返しながらみんなで成長していきたいですね。
齋藤 怖い怖い(笑)。私は今回のアルバムで、自分の強みみたいなものを自分自身で把握できた感覚があるので、それを次のアルバムでさらにプラスしなければいけないと思っています。真部さんが書いたいい曲といい歌詞がもともとある上で、自分の声がそれをもっといい曲にできるかどうか。それがフロントマンとしての私の今後の課題だと思います。ここからです。ここからどんどん上り詰めます。
真部 そんな優等生的なコメントで締めようなんて思ってるんですか?
齋藤 どういう意味ですか(笑)。
西浦 言っちゃっていいんじゃない? 「私はビョークになります」って。もしくは「私はビョーク」。
真部 楳図かずおの「わたしは真悟」みたいですね(笑)。
- 集団行動「充分未来」
- 2018年2月7日発売 / CONNECTONE
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[CD]
2160円 / VICL-64912
- 収録曲
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- 会って話そう
- 充分未来
- 春
- フロンティア
- 絶対零度
- 鳴り止まない
- モンド
- オシャカ
ツアー情報
- 集団行動の単独公演「充分未来ツアー」
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- 2018年3月16日(金)大阪府 Music Club JANUS
- 2018年3月22日(木)東京都 WWW X
- 集団行動 第二次メンバー募集のお知らせ
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2017年4月から9月末まで担当パート不問で行ったメンバー募集に続き、集団行動は現在“女性ボーカリスト”のみ追加で募集中。
締め切り:2018年2月15日(木)24:00
- 集団行動(シュウダンコウドウ)
- 相対性理論の元メンバーである真部脩一(G)、西浦謙助(Dr)と、女性アイドルオーディション「ミスiD2016」ファイナリストの齋藤里菜(Vo)によって2017年に結成。同年4月に東京・TSUTAYA O-EASTで行われたイベントにてお披露目ライブを行い、6月にビクターエンタテインメント内のレーベル・CONNECTONEよりメジャーデビューアルバム「集団行動」をリリースした。2月7日に2ndアルバム「充分未来」を発売。