音楽ナタリー Power Push - Swimy

過去の自分と“おひとりさま”を救うための歌

「キラキラ」が「Killer Killer」に

──「Killer Killer」はいつ頃できた曲なんでしょうか?

去年の秋ぐらいにメジャーデビューの話が決まって、すごくバタバタした時期があったんです。これから世の中に求められるものや、協力してくれる人に認めてもらえるものを作らなくてはという思いが強くなって、本来やりたかったものがあまり見えなくなって。そんなときにスタッフが「もう1回自分らが鳴らしたい音を考え直して作ってみよう」って言ってくれて、いろいろ考えた結果、やっぱり僕らは男女3人で歌うこの感じは忘れたくないと再確認して。

──歌詞からは焦燥感のようなものを感じます。

みっけ(Vo, Dr)

そのときの自分の心情が現れてますね。僕、学生時代に友達付き合いがうまくいかなかった時期があって、それから自分の意見をうまく言えなくなってしまったんです。人に合わせがちになったというか。それは今も変わらなくて。気付いたら音楽を作っている自分までもが、自分を偽ってしまっていて、なんだか昔の経験と「Killer Killer」を作った頃の心情がモロにリンクした内容になっています。自分を隠す……つまり自分を殺す感覚を歌ってるんですよ。だから「Killer Killer」というタイトルになって。

──さらには「キラキラ」というフレーズにもかかっていると。

実は先に「キラキラ」のフレーズがあったんです。僕は歌の語呂とメロディのハマりのよさを無視できないので、「キラキラ」の部分がどうしても外せなかったんです。僕、きゃりーぱみゅぱみゅさんが好きで、彼女の歌って「つけまつける」だったり「にんじゃりばんばん」みたいにキラーフレーズがあるじゃないですか。ああいうのが本当に大好きなんです。だからSwimyもそういうふうに歌詞を持っていくことがあるんですが、この曲に関しては歌詞が重い内容なのでそういうふうに捉えられたくなくて……。

──なるほど。

もともとこの曲は「マーダー」っていう殺人犯を意味するタイトルだったんですが、連続殺人犯を意味する「シリアルキラー」という言葉があるなと思いついて。「Killer Killer」にすれば、「キラキラ」も生かせる整合性のあったタイトルにできる! 最高や!とひらめいたんです。最初は響きから来た言葉だったんですけど、思いのほか綺麗に着地しました。

朝が来るのが怖かった

──「ナイトミュージック」はほかの曲に比べるとゆったりした曲ですね。

SwimyってBPMが速い曲が多いんですが、僕が聴いていた洋楽のダンスミュージックってBPMがそんなに速くないんです。120から130くらいが多くて。だから「ナイトミュージック」はそれに近いBPMで落ち着いて体を揺らせる曲に寄せました。時系列としては逆になるんですけど、歌詞の面で「Killer Killer」とつながってる部分があるんですよ。

──確かに同じ匂いは感じますね。

曲調としては明るいんですけど、歌ってることはすごく重い。「ナイトミュージック」に関しては自分が一番苦しい時期を描いた曲なので、そういう本当に苦しい人をファンタスティックな世界に連れて行ってあげたいという気持ちだったんですよね。「いつか夜は明ける」とよく歌われるように夜ってネガティブなものとして捉えられがちなんですが、学生時代に友人関係がうまくいかなかった頃の僕は朝を迎えるのがただただ怖かったんです。ずっと夜だったら学校に行かなくていいし、怖いものと対峙する必要もない。だからこの曲に関しては何の恐怖にも晒されない場所に2人で逃げようよという歌詞で。当時の自分がこういう言葉を言ってもらえたら救われたんじゃないかなっていうことを歌っています。

──あとこの曲、SEKAI NO OWARIっぽいなと思いました。オートチューンやボコーダーを使っているところも1つの要因だと思うんですが。

タイキロイド(G, Cho)

うれしい。僕は○○っぽいって言われるのが全然嫌じゃない。むしろうれしいんですよね。しかもそれが人気のある人であればあるほど、「あ、自分も一流の人たちと同じように感じてもらえてるんだ」という自信につながるというか。僕がSwimyの音楽で表現したいファンタジー感っていうものを一番持ってるバンドはセカオワだと思っているので、それは本当にうれしい限りです。ボコーダーを使ってる理由は、コンプレックスを歌っているから。自分の声に自信がない人でも歌える1つの武器ですからね。だからこの曲でボコーダーを使ったのにはすごく意味があります。

──「Killer Killer」と「ナイトミュージック」で、よりこの作品のテーマの深い部分に触れられるような気がしました。

そうですね。昔の僕を肯定してあげられるような曲であり、僕たちの音楽で表現したいことを本当にギュギュッと詰め込んだ2曲です。

昔の自分と今の自分がつながった

──「唯」はラブソングですよね。

Takumi(Vo, G)

そうですね。僕、なんかラブソングって苦手であんまり書いてこなかったんです。たまに自分はラブソングのつもりじゃないけどラブソングに聞こえる曲を出すとお客さんの反応がすごくよかったんですよね。アイドルじゃないですし、これまで経験してきた恋愛のこととか、そういうパーソナルな部分をもっと出すべきというか、本当に感じたことを言葉にしないと伝わらないと思ったので今回こうやってストレートな曲を書きました。僕、恋愛は人間が生きる上で重要なテーマの1つだと思っているので、4曲を聴いてもらってある程度土台ができたところ、しっかりと聴いてもらえる場所に「唯」を置きました。

──そして「dance」が最後に。この曲は唯一インディーズ時代にあった曲なんですよね。

新しい曲もいろいろ作ったんですけど、「dance」がこのアルバムの最後にふさわしいなと思ったんです。この曲はバンドで日の目を見ることができるのか不安を抱えていたときのもので。「ナイトミュージック」みたいにずっと夜に潜ってたいと思うときもあると思うんですが、それでも折れずに何事も続けていたらきっと幸せな瞬間が来るから、いつまでも未来を信じて続けていたいという思いを歌った楽曲なんです。この曲は前の5曲を綺麗にまとめあげてくれる曲だなと思って入れました。今書いた言葉に対して、昔の自分が書いた言葉がつながってくれたことがうれしかったです。

──自分で自分を応援するような曲にも感じます。

そうですね。なんか誰かの背中を押すための曲を作るなんて、おこがましいじゃないですか。じゃあまずは自分を救う言葉を紡いだら、どこか自分に近い境遇の人に響いてくれるのかなと思って。今回のアルバムでは本当に自分の背中を押すような言葉をたくさんつづりました。昔からSwimyの音楽で表現してきた「先にある光を見失わないように進んでいきたい」という思いは今も変わってないですね。

「おひとりさま」リリース記念インストアイベント

2016年7月3日(日)
大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店 店内イベントスペース
START 13:00
内容:ミニライブ+CDジャケットサイン会
2016年7月3日(日)
滋賀県 タワーレコード大津店 店内イベントスペース
START 18:00
内容:ミニライブ+CDジャケットサイン会
2016年7月24日(日)
神奈川県 タワーレコード川崎 店内イベントスペース
START 16:00
内容:ミニライブ+CDジャケットサイン会
2016年7月31日(日)
東京都 タワーレコード新宿 7Fイベントスペース
START 21:00
内容:ミニライブ+CDジャケットサイン会
Swimy(スイミー)
Swimy

2011年に滋賀県で結成されたTakumi(Vo, G)、平成のまお(Vo, B)、みっけ(Vo, Dr)、タイキロイド(G, Cho)からなる4人組バンド。男女混声のトリプルボーカルを武器に、ポップかつキャッチーな楽曲で人気を集めている。テレビアニメ「銀魂°」のエンディングテーマとして書き下ろした楽曲「あっちむいて」を表題曲としたシングルで2016年3月にアリオラジャパンからメジャーデビュー。6月にミニアルバム「おひとりさま」をリリースする。


2016年7月4日更新