自分が心から歌いたいと思った邦楽カバー5曲

──あと、今作の大きなトピックとして、初回限定盤には初の邦楽カバーミニアルバムが付くという。これ、聴いていて単純にすっごく楽しかったです。

なんだか、思いがけず、すごく豪華なラインナップになっちゃって（笑）。

──Superflyというと1960年代、70年代の洋楽ロックからの影響を強く受けているというイメージがあるわけですけど、これは、これまであえて出してこなかった邦楽のルーツをここで開陳したという感じなのでしょうか？

でも、KUWATA BANDの曲をテレビで歌ったこともあったし、RCサクセションの曲（「スローバラード」）はライジング（「RISING SUN ROCK FESTIVAL」）で歌ったときのテイクだし。だから、自分としてはこれまで邦楽の曲のカバーをすることを避けてきたわけではないんですけど、こうしてパッケージにしたのは今回が初めてという。ただ、洋楽をカバーするのに比べて、やっぱり邦楽のカバーはハードルが高いと思うんですね。原曲を知っている人が多いし、そこに思い入れのある人も多いから。なので、自分が心から楽しんでやれるタイミング、心から歌いたいと思う曲じゃないとなって。それが今回のタイミングであり、この5曲だったんです。

──ホントに、心から楽しんでやっているのがすっごくよく伝わります。

（竹内）まりやさんがスタジオにいらしたときは、さすがに緊張しましたけど（参照：Superfly、竹内まりやと「Sweetest Music」でデュエット）。「本物だあ！」って（笑）。もう、スタジオに入った瞬間、そのオーラにやられてしまって。でも、まりやさんの仕事に向かう姿勢、歌に向かう姿勢を真近で見せていただいたというのは、ものすごくいい経験になりましたね。まだ、あの衝撃をうまく言葉にできないんですけど。

──個人的には、佐野元春さんの「楽しい時-Fun Time」のカバーにメチャクチャアガりました。本当に歌も演奏も素晴らしい！

アルバムの中でも最後の最後にレコーディングした曲だったから、ちょっと打ち上げ気分で（笑）。この曲はデビューした頃に出会った曲で、「なんてピュアな曲なんだろう！」って感動して、それ以来ずっと大好きだったんですよ。そういえば今日、ちょうど佐野さんに偶然会ったんですよ！ 「聴いたよ。いいね」って言ってもらえて、すごくうれしかったです！

自分の血と肉になってきたものにようやく気付かされた

──ルーツというより、素直に大好きな曲を歌っているから、こんなに気持ちがいいんでしょうね。

デビューしてからずっと自分の中で「ロックってなんなんだろう？」ってモヤモヤした気持ちがあったんです。でも、最近になってわかったのは、ロックを歌っても、ポップスを歌っても、どっちにしても自分の体を通すとロックっぽくなるんだなってことで。それがきっと自分の個性なんだろうし、だとしたら自分から意識してロック的なものを求めていく必要はもうないのかなって。アマチュア時代から10何年やってきて、自分の血と肉になってきたものに、この「WHITE」というアルバムを作ってようやく気付かされたというか。

──今回のアルバムは生みの苦しみを味わった作品でもあると思うんですけど、その甲斐あって、「ここからはもうどこにでも行ける」という自由を手にした作品でもあると思うんですよね。

そうですね。「表現をしたい」という欲求は一生、自分からなくなることはないと思うから、これからはそこになんの制限もかけずに、どんなことにも飛び込んでいきたいと思っています。今作で、どんなピンチもチャンスに変えられることが証明できたと思うから。今は、「次は何がやってくるのかな？」って気持ちですね。自分の人生で初めて、ちゃんと受け身の姿勢が取れているというか。「なんでもおいで！」って感じです（笑）。