SUPER★DRAGON|無二のミクスチャーユニットを形作る 9人9色のアイデンティティ

03.「Jacket」

Produced by 洸希

──洸希さんはどのような思いからこの「Jacket」をプロデュースしましたか?

洸希 いろいろ悩んだんですけど、今回は自分のことを曲にしようかなと。自分は性格的にガツガツ行けない引っ込み思案だから、その性格を恋愛ソングに投影して曲を作ることにしました。曲に登場するジャケットは自分にとって1歩踏み出すためのお守りのような一着なんです。好きな気持ちを伝えられず、どうしたらいいのかもわからないけど、お気に入りのジャケットを手にしてがんばろう、と。

──なるほど。

田中洸希

洸希 歌は今回、僕もメロを担当したんですけど、音数が少ないのでメンバーの声がダイレクトに伝わるんですよね。いつも以上に感情を込めて伝えないと、と思って、レコーディングもすごく気合いが入りました。自分の低い声を生かした曲で、感情がうまく皆さんに伝わっていたらいいなと思います。

和哉 「Jacket」、メロは洸希らしさ……奥手で前に行けない感じが洸希っぽいなと思うんですけど、ラップパートは少しだけ前に出ていて対比があるんですよね。だから洸希がメロを歌って僕とジャンくんがラップするというバランスは正解なんじゃないかなと。感情の差がよく表現できたかなと思ってます。

洸希 そうだね。伝わりやすくなったと思う。

──MV撮影ではトルソーにかけられたジャケットに囲まれてのパフォーマンスを披露されていました。

洸希 1人でMVを撮ること自体が初めてだし、さらにジャケットを使ったパフォーマンスも初めてだったから緊張しました。最初「自由にやっていいよ」と言われたんですけど、全然うまくいかなくて(笑)。始めのうちは、なかなか感情を表に出せなかったですね(笑)。

──「Don't Let Me Down」にも、洸希さんがジャケットを翻してシーンが切り替わる場面がありますね。

田中洸希

洸希 そうなんです。あそこも正直、何回も撮り直しました(笑)。あとは表情作りも難しかったですね。ストーリーよりも自分自身を見せるような作品だったので、ハードル高かったです。

和哉 洸希、MVの中ではけっこうイケイケじゃないですか、振る舞いが。

洸希 イケイケ(笑)。

和哉 だから、自分の理想を投影しているのかなって思った。

洸希 ああー。

和哉 だって彼がホントに恋したら、あんなことできるわけないと思うんで。

洸希 あはは、正直ね(笑)。

和哉 理想の中の話なのかなって、洸希を知っているからこその考察をしてしまいましたね(笑)。

洸希 とにかく自分のパフォーマンスがキモになるMVだったから、できる限りの表現はしたと思います。自分自身をすごく出した曲だから、この思いがみんなに伝わればうれしいですね。恋愛に奥手な主人公の曲だけど、いろいろな受け取り方ができると思うし。自由に感じてもらえたらいいなと思います。

04.「La Vida Loca」

Produced by 和哉

──では、和哉さんプロデュースの「La Vida Loca」の話を。

松村和哉
松村和哉

 そうですね……。

和哉 いやいや(笑)。まず僕はヒップホップが好きなので、ヒップホップならではのアンダーグラウンド感を出したいという話を最初の段階でさせてもらいました。歌詞の内容は「己との戦い」がテーマになっているんですけど、このテーマにしたのは、今自分がいる世界は個性も実力もないと生き残れない世界だと思っているからで。自分自身を挑発するくらいに奮い立たせて、栄光にすがってあぐらをかいてる人たちに宣戦布告してやるぞと。そのくらい強い気持ちを持ってレコーディングさせていただきました。

 ギラついてるな。でも、僕も和哉と同意見で。こういう活動をしているとアイドルだ、ダンスボーカルだなんだといろいろ言われるんですね。それは見る人が決めればいい話だけど、だとしても自分たちなりのプライドを持ってやっていきたいし、ゆくゆくはよりクリエイティブに、しっかり足元を固めた表現者になりたいと思ってる。そういう自分たちのスタンス、自分自身との戦いがイコール他者との戦いにもなってくるっていう意味で、スパドラとしての在り方みたいなものも伝えられるんじゃないかなと思うので。そういったメッセージ性を思い切りぶつけられるのは、いいことだなと思います。

──ラップも和哉さんならではの低音が炸裂していました。

和哉 いつもゴリゴリにえぐりにいくんですけど、今回も勢いを意識して歌いました。「己との戦い」というテーマで自分の声質を生かすということは、そういうことかなって。ラップで勢い付いてからハイトーンなボーカルにつながるこの曲の流れがすごく好きなので、そのつながりも意識する中で自分らしい効果が出せないかなと考えていましたね。

──では、MVについてはいかがですか?

和哉 暗い場所で撮りたいなというイメージがありました。で、ヒップホップは「自分が一番だぜ」と主張する側面もあるから、自分の周りに人が倒れているようなイメージを監督に提案して。その提案はマネキンを回りに置くことで具現化されてます。自分は負けず嫌いだから、スタッフさんには「『上に行こう』という欲が見えるほうがいい」と言われました。神や運命に逆らってどんなことにでも挑戦する、というような姿を表現しています。

──無心にメモを取るシーンも印象的でした。

和哉 あれ、リリックを書いてるんです。納得できないものはどんどん捨てて、自分が満足するまでとことんやるというか。

 もう、年齢詐称だよね(笑)。和哉はそれを一番感じる。彼のスタンスやたたずまいにそういう芯の強さみたいなものがにじみ出ているし、作品にちゃんと気持ちが乗っているのが、画面からも伝わってくるんですよね。

──ちなみに、和哉さんは「WARNING」(前作アルバム「2nd Emotion」リード曲)のMVでもメモを取っていましたよね?

和哉 はい。そこはつながっていますね。

 伏線がすごいなあ(笑)。

05.「My Playlist」

Produced by

──毅さんは、プロデュース曲「My Playlist」の作詞にも携わっています。

 第一に「作詞がしたい」とリクエストしたんですよ。これまでスパドラでやってこなかったような歌詞表現をしてみたくて。

──そうだったんですね。

古川毅
古川毅

 今までよりも大人になったスパドラの姿や日本語を大事にした表現を見せられるか、やってみたかったんです。内容はラブソングにしたいなと率直に思いました。恋愛においての迷いとか、疑心暗鬼になってモヤモヤとしてしまう部分を描きたくて。いただいたサウンドは湿っぽい感じの音で、夏の夜を感じたので……その情景からフィクションのストーリーを考えて。

玲於 素直に共感できるようなリアルさのある歌詞だよね。変に言葉を飾ってないから、すっと耳に入ってきた。

 ありがとう。歌詞には1つキーワードを入れたくて、それがプレイリストだったんです。自分たちの関係をつないでいるものとか、気持ちを確かめ合うアイテムとして、自分たちの身近にあってしかも現代っぽい、プレイリストというものを使ってみたらわかりやすいんじゃないかなって。キーワードを決めたことで、情景も浮かびやすくなりました。ノれるリズムにはめながら作詞をするのって難しいことなんだなと改めて感じたりもしたけど、自分の可能性を信じながらやれたので、自分の中のいい部分、肯定できる部分なんかも見つかった気がします。それと僕、プロデュースみたいなことにも興味があるんです。ゆくゆくはグループ全体についても、メンバー個々についても手がけてみたいなと思っていて。今回の制作は、その第一歩にもなったかなと思います。

玲於 MVもいい感じに毅の好きなものが詰まってるなと思ったよ。ファッションはもちろんなんですけど、実は彼、ダンスも相当好きで。知らない方もいるかもしれないけど、けっこうなダンスオタクなんです。そういった面で見ると、いろんなノリで踊る場面が入ってたりとか。やりたいことが詰まってた。

 そうだね。ファッションについては自分のアイデンティティの1つなんじゃないかなと思っているので、こだわりました。衣装については「セットアップで、中に柄シャツを着たい」とスタイリストさんにリクエストして。柄シャツ、「このブランドのこのシャツにしてほしい」というところまでオーダーさせてもらったんですよ。映像を観たらMV映えするなと思えたし、自分の描く夏の夜のイメージにも合っていたから「俺、ナイスセンス!」と思ったり(笑)。好きなものから、自分をアピールする表現を形にできたこともうれしいです。

──ちなみに、毅さんと一緒に遊んでいる仲間の中に、颯さんのMVに出てくる颯さんの友達がいましたよね?

 あ、気付きました?(笑)

玲於 どんな関係性なんですかね(笑)。

 それぞれのMVがホントにいろいろリンクしてて。ジャンのMVにも、僕のMVのパーティ会場が出てきます。すごく面白いから、ほかにもつながりを探してみてください。