SUPER BEAVER|今、あなたに向けて歌いたいこと

大切な人に向けて「アイラヴユー」を歌いたかった

──タイトル曲「アイラヴユー」についても聞かせてください。「アイラヴユーが歌いたい 愛してる 愛してる」というサビのフレーズもそうですが、まさに今の時代に必要な楽曲だと感じました。

柳沢 まず、時代のうねりみたいなものには極力、影響されたくないと思っているんですよ。どちらかというと対抗していたいし、波に飲み込まれたくないという気持ちのほうが強くて。もちろん、そうはいかない瞬間もありますけどね。時代と距離を置こうとしても、いろんな情報が飛び込んできて、「どうしたらいいんだろう?」と思うことも多いので。そういう状況を踏まえて、「バンドマンとして、SUPER BEAVERとして、何が歌いたいんだろう?」と考えて考えて、行き着いたのが「アイラヴユー」だったんです。細々したことはいいから、「俺、お前のこと好きだよ」って歌いたいし、その気持ちを届けたい人がいっぱいいる。直接的な知り合いだけじゃなくて、ライブハウスで顔を合わせる人たちもそうですけど、大切な人に向けて「アイラヴユー」を歌いたかった。すごく素直な歌ですよね。

──渋谷さんは「アイラヴユー」をレコーディングしたとき、いろんな人たちの顔を思い浮かべていましたか?

渋谷 実際に知ってる人たちもそうだし、これから出会う人たちのことも考えていました。曲に込められている言葉の力がマジで強かったし、あとはもう、とにかくめちゃくちゃ一生懸命歌いました。

柳沢亮太(G)

柳沢 そういうことだよね(笑)。

渋谷 ちゃんと一生懸命に歌う、それに尽きますね。どの曲もそうなんですけど、「アイラヴユー」は特にそれが強かったかな。ロックバンドとしてどうなんだ?という話ですけど。

──どういうことですか?

渋谷 メジャーデビュー1回目のとき、「がんばったとか一生懸命とか、そういうことを言うな」ってレーベルの人に言われたことがあるんですよ。ライブのMCで「この日のために一生懸命やってきました」って話したら、「そんなのダサいだろ」って。そのときは「はい」と言うしかなかったけど、自分の中に根付いた違和感は10年間ずっと消えなかったんです。今は「一生懸命やったと言えないほうがダサい」とはっきり言えるし、それのどこが悪いんだと思っていて。斜に構えてもしょうがないし、ロックバンドとして人前に立つ以上、真摯な姿勢を見せることは絶対に大事なので。

──自分に嘘をつかないとか、一生懸命やるとか、当たり前だけどめちゃくちゃ大切ですよね。特に今の時代は。

柳沢 ホントにそうですよね。この期に及んで一生懸命じゃなかったら、いつ、どうするの?って(笑)。

渋谷 うん。これまでに必死で積み重ねてきた時間や経験もあるし。それを見せるのは全然カッコ悪いことじゃないので。

上杉 「アイラヴユー」を4人で背負って、4人の言葉として伝えることに意味があると思うんですよね。変な話、デモの段階で「このままでいい」と思うくらいいい曲なんですよ。そのうえで「自分はどうするか?」と考えたときに、変にこねくり回したり、着飾ったりするのではなくて、それこそ一生懸命に録るだけだなと。その中にはこれまで歩んできた道のりや経験も込められているし、だからこそ説得力を持つと思うんですよね。自分のエゴで「こういうフレーズを入れてやろう」みたいなこともなかったです。

藤原“32才”広明(Dr)

藤原 ドラムに関しては、意外とエゴが出てるかも(笑)。俺ら4人で「アイラヴユーを歌いたい」と歌うことでしっかり説得力を持たせて、カッコいいものにするためには、サウンドもフレーズも絶妙なところにいかないとダメだと思ってたんですよね。バーンと勢いで行ってもカッコよくなると思うけど、そこに落とし込むのは違うなと。もっと大きくて、地球をこうやって抱き締めるような……。

渋谷 エコマークだよ、それ(笑)。

藤原 (笑)。なのでスネアの音色も柔らかくて、余韻があるんですよ。そういう部分はみんなで話し合ったし、ミックスも絶妙なバランスになって。この曲に限らず、ギリギリまでフラットに意見を出し合えたのもよかったですね。

柳沢 うん。漠然と音を決めるのではなくて、どういうイメージなのか、どういう雰囲気の曲なのか、かなり話し合いましたね。建設的な会話が多かったと思います。

結局、ライブのことばっかり考えてる

──このアルバムではサウンドメイクやアレンジに関しても、新鮮なアイデアが注ぎ込まれていて。特に「mob」のグルーヴは気持ちよかったです。

柳沢 それも自然発生的なんですよね。2019年はリリースがなくて、ずっとツアーを回っていたんですけど、本番前のリハのときに楽器隊でジャムることがあって、それをボイスメモに録っていて。俺が勝手に録ってただけなんだけど、聴き返してみると「こういうビートも面白いな」みたいなこともあったんですよね。アルバムに向けた参考音源というわけではなくて、これまでの歩みのなかにタネがあるというか、自然と蓄積されたものがあって、それが曲の中にも出ているんだと思います。「mob」のアレンジもそうで、ワンフレーズでループさせる発想が面白いと思ったし、それがアイデアのもとになってますね。

──なるほど。例えば渋谷さんから「こういうリズムの曲をやってみない?」みたいな提案をすることもあるんですか?

SUPER BEAVER

渋谷 うん、しますよ。それは作品作りのためというより、ライブのことを考えてるんですよね。さっきも言いましたけど、ライブは対話だと思っていて。ワンマンライブの1時間半、ずっと真面目な話ばっかりしてるのも疲れるじゃないですか(笑)。ときには少しくだけた話もあったほうがいいし、どっちにも振れないと面白味がないと思うので。ストレートパンチだけだとガードされるというか、フックやジャブも打てるようになりたいし、ただ音を楽しむ曲もあったほうがいい。それはライブだけじゃなくて、どこでも必要だと思ってるんですよ。例えば誰かと飲んでるときも、真剣な話が続くと「ちょっとくだけた話をしたほうがいいな」とか。お互いの距離が縮まれば、もっと本音で話せたりしますからね。

柳沢 そうだよね。

──SUPER BEAVERは明らかにストロングスタイルのバンドだと思いますが、ただ真面目なだけではないぞと。

柳沢 はははは(笑)。

渋谷 確かに真面目なバンドだし、もちろんそれでいいと思うんですけどね。ただ、「あいつにはユーモアがなくて、つまらないんだよ」って思われるのも困るので(笑)。それも想像力、優しさですよね。相手のことを考えて発信することで、その人が笑ってくれたり、楽しんでくれればこっちもうれしいし。「また会いたい」と思ってほしいですからね……結局、ライブのことばっかり考えてるんですよ、俺は。

単純にぶち抜ける、SUPER BEAVER的な曲

──アルバムの最後に収められた「さよなら絶望」も、ロックバンドのカッコよさと楽しさ、強いメッセージが共存した曲だなと。

柳沢 「さよなら絶望」は最後に作った曲ですね。単純にぶち抜ける、耳障りが楽しい曲がもう1曲欲しいなと。すごくバンド的だし、SUPER BEAVER的な曲だと思います。

──本当に絶望にあふれた世界だし、「『さよなら絶望』と言いたい!」と思っている人も多いと思います。現実をそのまま描けばディストピアになりますが、その向こう側の光を見せてくれるのがSUPER BEAVERらしいなと。

渋谷 うれしいです。非現実的で華やかなエンタメもたくさんあって、そっちに心を持っていかれる人も多いと思うけど……。

SUPER BEAVER

──現実に即した表現とエンタメ性を共存させられるのが、ロックバンドの強みですよね。

渋谷 うん、そう思います。自分たちもそこを目指したいし、大事にしていきたいです。

──2月にはアルバムを携えての全国ツアーがスタートします。いい感じでやれることを願っています。

渋谷 僕らも願ってます。「いい感じでやりたい」が一番ですね、ホントに。

ツアー情報

SUPER BEAVER 「アイラヴユー」Release Tour 2021 ~愛とラクダ、15周年ふりかけ~
  • 2021年2月3日(水)東京都 Zepp Tokyo
  • 2021年2月10日(水)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2021年2月11日(木・祝)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2021年2月19日(金)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2021年2月20日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2021年2月28日(日)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2021年3月1日(月)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2021年3月5日(金)北海道 Zepp Sapporo
  • 2021年3月6日(土)北海道 Zepp Sapporo
  • 2021年3月11日(木)神奈川県 KT Zepp Yokohama
  • 2021年3月12日(金)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
SUPER BEAVER 15th Anniversary 都会のラクダSP ~ラクダの里帰り~
  • 2021年3月26日(金)大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE
  • 2021年3月27日(土)愛知県 CLUB UPSET
  • 2021年3月30日(火)東京都 SHIBUYA CYCLONE
SUPER BEAVER 都会のラクダSP 行脚 ~ラクダフロムライブハウス~
  • 2021年4月7日(水)千葉県 千葉LOOK
  • 2021年4月8日(木)東京都 shibuya eggman
SUPER BEAVER「アイラヴユー」Release Tour 2021 〜圧巻のラクダ、愛のマシンガン〜
  • 2021年4月28日(水)東京都 TACHIKAWA STAGE GARDEN
  • 2021年4月29日(木・祝)東京都 TACHIKAWA STAGE GARDEN
  • 2021年5月1日(土)神奈川県 神奈川県民ホール
  • 2021年5月7日(金)岡山県 岡山市民会館
  • 2021年5月9日(日)香川県 レクザムホール(香川県県民ホール)
  • 2021年5月15日(土)長野県 ホクト文化ホール(長野県県民文化会館)
  • 2021年5月16日(日)石川県 本多の森ホール
  • 2021年6月3日(木)奈良県 なら100年会館
  • 2021年6月4日(金)京都府 ロームシアター京都 メインホール
  • 2021年6月22日(火)宮城県 仙台サンプラザホール
  • 2021年6月24日(木)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)