音楽ナタリー Power Push - SuG

武瑠が「現代」と「病」を歌う理由

ストレスをぶつけるような歌詞に

──歌詞にはSNSに対する武瑠さんの考え方も反映されてますよね。

武瑠(Vo)

そうですね。SNSを見ていると、他人の批判をしたり、自分の闇を吐き出したり、やたらとアイコンを変えたりしてる人がいますけど、共通しているのは自己アピールなんですよね。誰かを批判するのも「私はこういうやり方で批判をしています」というアピールであって、本当にその人を叩きたいわけではないというか。全部が「自分はこういうキャラクターです」というのを見せる手段だし、要は「さみしい、気付いてほしい」ということなんだなって。けっこうストレートに書いてますね。

──「それは虚しい行為だよ」というメッセ—ジも含まれている?

メッセージというよりも、自分が見たことをそのまま書いたって感じかな。ただ、そのことで息苦しくなってるのは確かだと思うんですよね。SNSは便利だけど、やってみると意外と楽しくないし、苦しいなって。だからと言って「じゃあ、どうするの?」って聞かれたら、どうしていいかわからない。それは俺も同じなんですよね。SNSで誰かを叩いてるのを見ると「気持ち悪いな」って思うけど、みんな絶対にやめない。俺も「もうケータイ見たくない。めんどくさい」という気持ちになることがあるから、この曲の歌詞にもマイナスなイメージの言葉が入ってるんですよね。最後は「全部振り切って、そのエネルギーを熱くなれることに使ってみれば?」という感じになってるんですけど、基本的にはストレスをぶつけるような内容ですね。

──SuG自体が批判の対象になるんじゃないですか?

ありますね。しかも、どんどん酷くなってる気がする。こっちが気付いていても、平気で写真を撮られることがありますから。印象としては男の子のほうが酷いかな。女の子は直接話しかけてきたりするけど、男の子はそれができない人が多くて、「ウケる」って言いながら写真を撮ったり。何が「ウケる」のかわかんないけど(笑)。

──歌詞の内容には確かにネガティブなことも含まれているんだけど、全体的にはすごくキャッチーな曲に仕上がっていて。サウンドメイクやボーカルも変化していますよね?

武瑠(Vo)

「teenAge dream」からバンドが新章に突入したという手応えがあるんですよね。アレンジもさらに詰められるようになったし、明らかにクオリティが上がっていると思います。ボーカルも変わりましたね。低音の成分が増えて、ちょっと大人っぽい声になったというか。いつもより若干キーを下げているんですよ。ここ数年はどんどん上がる傾向だったんだけど、「男が普通に歌えるキーではないし、自分の声に合ったキーにしたほうがいいよ」ということになって。しっかり低音も出せているし、サビもちゃんと抜けていて。これが一番適正なキーなんだと思います。

武器は「バランスを取ること」

──そしてMVのテーマは“パンク・ホラー・ミュージカル”。ディレクションは武瑠さんですよね?

はい。活動を再開した直後は「自分で決めすぎない」というのをテーマにしてたんですよ。自分で全部やるのではなくて、人に任せることで偶発的なものができたらいいなと。自分でやると、どうしても90%くらいのクオリティまでしか到達しないし、理想に届かない感覚がすごくストレスになっていたので。でも今回はひさしぶりに自分がガチガチにディレクションしているんです。「Aメロではこういう画、Bメロではこんな画を撮ります」ってコンテを描いて、キャラクターの設定も細かく決めて。今までのMVの中で一番派手だし、しっかり作り込めた作品になりました。今回自分でやってみて「ディレクションみたいな仕事が向いてるな」と改めて思いました。自分はフィジカルが強いわけではないし、天才的な作曲能力があるわけでもなくて、バランスを取るのが得意なんです。歌詞、デザイン、映像などを連動させながら、どう表現していくかを考えていく、これが俺の武器なのかなって。

──バンドマンというよりも、クリエイターとしての素養が強いんでしょうね。

武瑠(Vo)

たぶんそうですね。ただ、今年のツアーでは、バンドマンとしての自分も鍛えられたと思っていて。「teenAge dream」ではさらに自分の感情を歌えるようになったし、ボーカリストとしての土台ができつつあるんじゃないかな、と。だからこそ、本来の自分の武器を思い切り使おうと思ったのかもしれない。ちょっと変則的なことをやったとしても、ロック、ポップスとして受け入られる自信ができてきたというか。

──最近はパンクをモチーフにしたMVが続いてますが、それは意図的にですか?

自分の一番根にあるものですからね。次のアルバムも初期衝動をテーマにしようと思ってるんです。バンドにとっての初期衝動とパンクは結びつきやすいし、そのコンセプトは今回のシングルにもつながってます。

ニューシングル「SICK'S」/ 2015年12月16日発売 / ポニーキャニオン
「SICK'S」LIMITED EDITION [CD+DVD] / 1782円 /PCCA-04309
「SICK'S」STANDARD EDITION [CD] / 1296円 / PCCA-04310
CD収録曲
  1. SICK'S
  2. ゆりかご
  3. JUICY(STANDARD EDITIONのみ)
LIMITED EDITION DVD収録内容
  • 「SICK'S」MV
  • MVメイキング ほか
VersuS 2015 極彩SuG VS 極悪SuG
  • 2015年12月24日(木)
    東京都 ディファ有明 ※極悪SuG
  • 2015年12月25日(金)
    東京都 ディファ有明 ※極彩SuG
  • 2015年12月28日(月)
    大阪府 松下IMPホール ※極悪SuG
  • 2015年12月29日(火)
    大阪府 松下IMPホール ※極彩SuG
SuG(サグ)

SuG

2006年に結成された5人組ロックバンド。現在のメンバーは武瑠(Vo)、masato(G)、yuji(G)、Chiyu(B)、shinpei(Dr)。バンド名はスラング「Thug」に由来し、「周りの意見を気にせずに自分たちの思った通りに進む人たち」や「悪友」という意味を持つ。結成当初より「HEAVY POSITIVE ROCK」というコンセプトを掲げ、前向きなメッセージを乗せたキャッチーな楽曲で人気を博す。2010年1月、シングル「gr8 story」でメジャーデビュー。メンバー全員が作曲を行い、作詞とそれに基づいたミュージックビデオ、衣装などのアートワーク全般を武瑠が手がける。2012年10月に突然の活動休止を発表し、同年12月29日の東京・国立代々木競技場第二体育館でのライブをもってバンド活動を休止。その後はメンバーそれぞれ独自の音楽活動を続けていたが、2013年9月に東京・原宿でサプライズライブを行い活動再開を宣言。同年12月に国立代々木競技場第二体育館で復活ライブを行った。2015年3月にはアルバム「BLACK」をリリース。さらに同年12月にニューシングル「SICK'S」を発表する。