ナタリー PowerPush - SuG

武瑠&yujiが明かす「2014年のモード」

昨年12月29日、国立代々木競技場第二体育館でのワンマンライブ「SuG onemanshow 2013 "update ver.0"」をもって本格的に活動を再開させたSuGが、ニューシングル「MISSING」をリリースした。新たなSuGの歴史の幕開けを飾るこの曲は、攻撃的でダークかつヘビーなサウンドにSuGらしいキャッチーさが備わった新境地的ナンバー。カップリングにはライブで新たなアンセムになること間違いなしのパンクチューン「Rolling!!」、さらに先の復活ライブで1曲目に披露された感動的なバラード「0 song」が収録されている。

今回ナタリーでは武瑠(Vo)、yuji(G)にインタビューを実施。昨年末の復活ライブの感想や新曲に込めた思いなど、じっくり話を聞いた。

取材・文 / 西廣智一 インタビュー撮影 / 佐藤類

復活ライブは「会場を1年前よりも狭く感じた」

──昨年末の復活ライブを観ていて思ったのは、皆さんとても感情をむき出しにしてライブに臨んでいるなってことで。その感情がライブ終盤にピークに達して、涙を流したりしたことにつながったのかなと思いました(参照:SuG、1年ぶりワンマンで高らかに復活宣言「楽勝でした!」 )。ライブからすでに2カ月近く経ちましたが、皆さんにとってあのライブはどういうものでしたか?

左から武瑠(Vo)、yuji(G)。

武瑠(Vo) 1年ぶりに同じ場所でライブをやってみて、すごく安心感がありましたね。実際、あのライブ自体も今まで到達したことのないところまで行った感がありましたし。

yuji(G) やる前から予想してたんですけど、やっぱりライブ中は全然余裕がなくて(笑)。そういうこともあって、感情をむき出しにしていくしかなくて……結果、追い込まれてガムシャラになるしかないという(笑)。そういうライブだった気がしますね。でも逆に開き直ったことがよかったのかもしれない。

──客席の雰囲気は1年前と違いましたか?

武瑠 お客さんの温かさは以前にも増して感じました。あと会場を1年前よりも狭く感じたかも。

──お客さんとの信頼関係の部分で、観客との距離感をより身近に感じた?

武瑠 ですね。こういうバンドって新しいファンが付いたり離れたりするサイクルがものすごく速いし、1年活動してなかったらファンはかなり減ってるはずなんですけどね。だからこそうれしかったです。

──ライブ自体も1年前と比べたら、よりいろんなことにチャレンジしていた印象もありましたし。

武瑠 前はできることが少なかったから「これしかない」みたいな感じだったけど、今は演出とかやれることの選択肢が増えたぶん、迷いも感じるようになったし。でもそれって贅沢な悩みですよね。

V系に興味ない男子にもファンになってもらえるバンド

──さて、いよいよ再始動後初のシングル「MISSING」がリリースされます。この曲は代々木のライブでも演奏されましたが、初めて聴いたときはすごく驚いたんです。ああ、これが今の5人のモードなんだなって。カップリングの「Rolling!!」も攻めの曲となっていますが、この方向性は再始動するにあたって話し合いで決めたんでしょうか?

武瑠(Vo)

武瑠 音楽関係者とかヴィジュアル系に興味がない男の子とかにも普通にファンになってもらえるようなバンドにならないと、これから勝負できないだろうという話はしました。その思いが「MISSING」や「Rolling!!」に出てるんでしょうね。正直、ファンのために過去のイメージをなぞった曲で復活するような媚びたことはしたくなかったし。「MISSING」は制作の最後に上がってきた曲だったんですけど、ほかの候補曲に比べて今の俺たちを表現できてると思ったし、曲を聴いてすぐに絵が浮かんできたんです。

yuji 「MISSING」は去年の夏ぐらいに作った曲で。ライブのことは意識してたけど、まさかシングルで出すとは思ってなくて。

──今までのシングルってキャッチーさを前面に打ち出していて、万人向けの要素が色濃く出ていたものばかりでしたよね。でも今回もキャッチーさを残しつつも、以前とは違ったヘビーな側面を打ち出してきたという印象が強くて。

yuji そうですね。去年曲作りをしてるとき、復活したときにタイアップが取れるような曲をたくさんストックしておこうと思ってたんですが、この「MISSING」はそういうところとは別の視点で作って。武瑠がすごく気に入ってくれたんです。

──武瑠くんはなぜこの曲をチョイスしたんですか?

武瑠 うーん……例えばみんなで歌えるような、ライブの最後に歌うような曲で復活することも考えてたんです。でも「MISSING」のほうが単純に今の自分のテンションに合ってたというか。あとサビもよかったので、どうとでもなるというか。復活タイミングでのリリースだから内容についてめちゃくちゃ考えたんですけど、最終的にビビってきたからここで選んだ感じです。

先が予想できるような展開にはしたくない

──今回の「MISSING」と「Rolling!!」はどちらも3分あるかないかで、今までのシングル曲と比べても短いほうですよね。

yuji 「Rolling!!」なんて2分半くらいですからね。

──そうですね。なのに「MISSING」は曲の短さに反して、たくさんの要素が詰め込まれている。メタリックなファストチューンにクラブミュージックのテイストが加えられていて、でもサビのメロディはすごくキャッチー。この目まぐるしく変化していくアレンジは、「これぞSuG」だなと思いました。

yuji(G)

yuji 実はこの曲、最初のデモの段階では1コーラスだけで終わる構成で、シングルで出すことになってから尺を延ばしたんです(笑)。で、制作しながら曲の中間にはやっぱりギミック的な要素を入れたくなって、いろいろ要素を加えていったんですけど。やっぱり先が予想できるような展開にはしたくなくて、そこは聴き手をいい意味でどんどん裏切っていきたいなって意識が働いたんだと思います。

武瑠 これだけ展開が激しいので、歌うときにも感情の入れ方を考えてます。曲自体が短いしスピード感もあるので、そのまま普通に歌ってしまったら自分自身感動する暇がないというか。だからいいフレーズのあとに間奏を入れたり、最後のギターだけちょっと残したりして余韻に浸れるように、短いなりにいろんな工夫があるんです。

──1曲の中にジャンルの異なるいろいろな要素を詰め込むことの難しさ、大変さってあると思うんです。特に「MISSING」は3分に満たない短い曲ですし。

yuji 大変でしたけど、前作「sweeToxic」のほうがもっと大変でしたね。それに比べたら今回は演奏もデモの状態に近いですし。

武瑠 その展開が曲の世界観に対して必要であればいくらでも入れていけるし自然に聴けるんですけど、ただ奇をてらってるだけのアレンジは好きじゃなくて。展開がいっぱいある曲が好きと思われてるのかもしれないけど、意味のない展開は聴いていてつらいなと思うんです。

ニューシングル「MISSING」/ 2014年2月19日発売 / ポニーキャニオン
初回限定盤A [CD+DVD] 1800円 / PCCA-03977
初回限定盤B [CD+DVD] 1800円 / PCCA-03978
通常盤 [CD] 1200円 / PCCA-03979
初回限定盤A CD収録曲
  1. MISSING
  2. Rolling!!
初回限定盤B CD収録曲
  1. Rolling!!
  2. MISSING
通常盤 収録曲
  1. MISSING
  2. Rolling!!
  3. 0 song
初回限定盤A DVD収録内容
  • MISSING -Original Ver.- [Music Video]
  • Making of "MISSING"
初回限定盤B DVD収録内容
  • Rolling!! [Music Video]
  • MISSING -Band Only Ver.- [Music Video]
SuG TOUR 2014 "un-MISSING"
  • 2014年3月9日(日)
    東京都 WWW ※ファンクラブ限定ライブ
  • 2014年3月14日(金)
    香川県 DIME
  • 2014年3月15日(土)
    広島県 ナミキジャンクション
  • 2014年3月17日(月)
    福岡県 DRUM SON
  • 2014年3月18日(火)
    熊本県 DRUM Be-9 V2
  • 2014年3月21日(金・祝)
    大阪府 umeda AKASO
  • 2014年3月22日(土)
    愛知県 ElectricLadyLand
  • 2014年3月25日(火)
    埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
  • 2014年3月28日(金)
    北海道 札幌KRAPS HALL
  • 2014年3月29日(土)
    宮城県 darwin
  • 2014年4月5日(土)
    新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
  • 2014年4月6日(日)
    石川県 Kanazawa AZ
SuG ASIAN TOUR 2014 "un-MISSING"
  • 2014年4月19日(土)
    台湾 the WALL
  • 2014年4月20日(日)
    香港 E-MAX
  • 2014年4月26日(土)
    韓国 Soundholic city
  • 2014年4月27日(日)
    韓国 Soundholic city
SuG OnemanShow 2014 "B.A.B.Y."
  • 2014年5月6日(火・祝)
    東京都 日比谷野外大音楽堂
SuG(さぐ)

2006年に結成された5人組ロックバンド。現在のメンバーは武瑠(Vo)、masato(G)、yuji(G)、Chiyu(B)、shinpei(Dr)。バンド名はスラング「Thug」に由来し、「周りの意見を気にせずに自分たちの思ったとおりに進む人たち」「悪友」という意味を持つ。結成当初より「HEAVY POSITIVE ROCK」というコンセプトを掲げ、前向きなメッセージを乗せたキャッチーな楽曲で人気を博す。2010年1月、シングル「gr8 story」でメジャーデビュー。メンバー全員が作曲を行い、作詞とそれに基づいた世界観、PV、衣装などのアートワーク全般を武瑠が手がける。また、武瑠は俳優として2009年春公開の映画「ビートロック☆ラブ」に出演。2010年3月には自身のファッションブランド「million $ orchestra」を立ち上げ、同年12月発売の女性ファッション誌「KERA」では表紙を飾った。さらに2012年1月には初の著書「TRiP」も刊行し話題を集めた。2012年10月に突然の活動休止を発表し、同年12月29日の国立代々木競技場第二体育館でのライブをもってバンド活動を休止。その後はメンバーそれぞれ独自の音楽活動を続けていたが2013年9月20日、東京・原宿でサプライズライブを行い活動再開を宣言。12月29日に国立代々木競技場第二体育館で復活ライブを行った。2014年2月、再始動後初となるシングル「MISSING」をリリース。