ナタリー PowerPush - SPYAIR
名古屋出身の伝説5人組 目指すは「野外で一番のバンド」
作曲は自主スタジオでジャムりながら
──楽曲に関しては、作詞はMOMIKENさん、作曲はUZさんがメインですが、それは最初から?
UZ 作詞のほうは最初からMOMIKENだったんですけど、作曲のほうはみんなでジャムりながら作るっていうスタイルでした。愛知県にいたときは、自主スタジオがあったんです。ライブとか、その先の予定が決まってなくても、みんなでそこに集まって曲作りをしたり。
IKE ずっと一緒にいましたね、最初の頃は。
UZ 毎日そこに行くのが当たり前みたいな感じだったので。
KENTA 基本、9時集合で、みたいな。
──部活の部室みたいな感じだったんですね。
IKE まさにそういう感じでした。
UZ 曲作りの締め切りもないから、自分らのペースで、作りたくなったらみんなで作るというやり方だったんです。今は自分が大半の曲を作ってますけど、その頃は基本的なリフやフレーズを持ってくるのが自分で、そのあとの肉付けはみんなでやってた感じでした。
──作詞は最初からMOMIKENさんが担当していたということですが。
MOMIKEN まあ、そうですね。
IKE 前身バンドの頃からそうだったんです。なので、SPYAIRになってからも、当然のように作詞はMOMIKENが。
上京することを選んだのは間違ってなかった
──メジャーデビューは去年の8月ですけど、その前に拠点を名古屋から東京に移されましたよね。不安はなかったですか?
IKE 正直、ありました。メジャーデビューに向けて、住まいを東京に移して、活動の拠点を変えた。でも、地元のことはすごく好きですし、名古屋で築いたことも多かったですから、まるでそれらを置いていってしまうような感覚になったりしました。
──ライブに通ってくれた地元のファンの人も多かったと思いますし。
IKE そうなんです。ずっと応援してくれてた人たちを、どこかで裏切ってしまってるんじゃないかって思ったりもしました。でも、自分らが大きくなっていくためには必要なことでしたし、メジャーデビューしてから1年以上経ちましたけど、その時の選択は間違ってなかったと思っています。上京してから苦しいこともありましたが、結果的には上京することを選んで良かったなって。
──地元のファンの人たちからも「良かったね」って言ってもらえるようにがんばらないといけないなって、いい意味で、自分へのプレッシャーもかけられたんじゃないかと思うんですが。
IKE はい。だから今は、どの土地にいても自分たちの活動ができるだけ見えるようにしたいと思ってるんです。テレビ番組に出演することもそうですし、こういうふうに取材してもらって、WEBや雑誌にインタビューが掲載されることもそう。みんなに見てもらえるじゃないですか。
──KENTAさんは、上京するとき、どんな気持ちでしたか?
KENTA 僕とIKEとUZは、引っ越すアパートが一緒だったんです。もちろん、部屋は別々ですけど(笑)。同じアパートなので、荷物を2トントラックで一緒に運ぼうってことになって。出発は早朝でした。UZの家が海の近くだったんですけど、海辺に3人で立って、「俺ら、今から東京に戦いに行くんだよな」って話をしたんです。
UZ ちょっ、ちょっと、そのエピソードやめようよ。記事になって読んだらロマンチック過ぎるから(笑)。朝方で海辺というシチュエーションを楽しんでただけです。そんな重くは考えてなくて、「東京でも楽しもうぜ!」ぐらいの気持ちでした。
IKE いいんじゃないの。俺、そういうシチュエーション、好きなタイプ。
MOMIKEN うん、知ってる。そういうシチュエーションに入り込めるタイプだよね(笑)。
IKE UZとKENTAが海辺で黄昏れてる様子を写真に撮ったんですけど、相当黄昏れてますよ!
UZ 誤解だよ! 黄昏ぶってただけ(笑)。
アルバムを自分たちが出せるというのは大きなこと
──そういう決意をして東京に来て、昨年の8月にメジャーデビュー。あれから1年ちょっとの間に5枚のシングルをリリースし、ついにアルバムも完成しました。
IKE すごく濃い1年でした。ほとんどが初めてのことだったので、いい経験になりました。今思うとデビューしたばかりの頃って、すごく力が入ってましたね。一生懸命だったんだと思いますけど。
UZ メジャーデビューしたことで変わったのは、自分らにかかわる人の数が増えたことかな。インディーズの頃はメンバー5人しかいなかったから、すべてのことを5人でなんとかしようっていう気持ちがあって。これはすごくいい経験でした。メジャーになってからは、スタッフさんがすごく増えたので。
IKE 輪が大きくなったというか、チームが大きくなったというのを実感しました。
UZ うん。音楽と向き合う時間が増えたことによって、SPYAIRのUZとして、やりたいことが以前よりも明確になったような気がします。
KENTA 音楽に集中できる時間が増えたっていうのは大きいよね。
──上京したことによって、書く歌詞の内容も変わったりしましたか?
MOMIKEN やっぱり自分の生活の状況も変わったら、歌詞の内容も変わると思います。昔の気持ちのまま書くような歌詞もありますけど、状況や環境が変わったことによる心情の変化を書き留めておきたいなって気持ちもありますから、自然と変わっていってるんじゃないでしょうか。アルバムを聴いてもらえたら、そういう変化も感じてもらえると思います。
──そのアルバム「Rockin' the World」ですが、これまでにリリースした5枚のシングルを含めて、SPYAIRのこれまでの活動が凝縮された1枚になりましたね。
IKE アルバムをリリースできるっていうのが、すごくうれしいです。
KENTA アルバムに対する思い入れが一番強いのはUZなんです。
UZ シングルの大切さも十分にわかっていますが、アルバムは特別なものなんです。普段、好きなアーティストの楽曲を聴くときもアルバムで聴き続けてきましたから。十数曲入っているアルバムというものが好きで、1曲目から最後の曲までを通して聴くのが好きなんです。だから、アルバムを自分らが出せるというのは大きなことで。シングルも大切ですけど、アルバムのほうがかわいいです(笑)。
IKE シングル曲は僕らを知ってもらうためのきっかけになりますが、1曲で僕らのことをすべて知ってもらうことはできません。シングルを聴いてくれた人が、アルバムを聴いて、SPYAIRのことをもっと知ってくれたらいいなって。
CD収録曲
- Rockin' the World
- ジャパニケーション
- サムライハート (Some Like It Hot!!)
- BEAUTIFUL DAYS
- STRONG
- LIAR
- Stay together
- Beautiful
- I miss you
- Last Moment
- SINGING (album mix)
- My Friend
初回限定盤A / DVD収録内容
- LIAR (Music Video)
- Last Moment (Music Video)
- ジャパニケーション (Music Video)
- サムライハート (Some Like It Hot!!) (Music Video)
- BEAUTIFUL DAYS (Music Video)
- Live & Document @NAGOYA SAKAE PARK 2010.6.27
初回限定盤B / DISC2収録曲
- OVER
- INCOMPLETE
- ノンフィクション
- Just Like This
- Departure
- Just One
- Dead Coaster
- Crazy
- LINK IT ALL
SPYAIR(すぱいえあー)
IKE(Vo)、UZ(G, Programming)、MOMIKEN(B)、KENTA(Dr)、ENZEL☆(DJ)の5人からなるバンド。全員が愛知出身で、2005年に結成される。地元名古屋の野外ライブでキャリアを重ね、デビュー前の2010年6月に行った100本目の野外ライブでは2000人の観客を集める。同年8月、ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズからメジャーデビューシングル「LIAR」をリリース。その後も4枚のシングルを発表し、並行して精力的なライブ活動を展開する。そのライブパフォーマンスには定評があり、メジャーデビュー前に「SUMMER SONIC」に出演しているほか、2011年7月には韓国最大のロックフェス「JISAN VALLEY ROCK FESTIVAL 2011」に出演した。2011年9月に1stフルアルバム「Rockin' the World」をリリース。圧倒的なボーカルと疾走感あふれるギターサウンドで人気を博している。