ナタリー PowerPush - Shimokitazawa SOUND CRUISING 2014

小林幸子&後輩アーティストの“シモキタ”音楽談義

知らないジャンルの人と交わって切磋琢磨

まり あの……この前、千葉のイベントでFRUITPOCHETTEっていうアイドルの子たちと対バンしたんですけど、打ち込みをバックに激しく歌ってて。すごい感動したよね。メタルハードロックというか、メタルを歌うアイドルグループだったんですけどお客さんが「お?」と思ったみたいで、一緒に盛り上がってたよね。

みずえ(つしまみれ / Dr, Cho)

みずえ 私たちのお客さんも楽しんでたし、FRUITPOCHETTEを観に来たお客さんも私たちのライブを最後まで観てくれて。いい交流の場というか、異ジャンルのものと触れ合えて新鮮で楽しかったですね。

小林 それってすごくいいことだと思う。自分のジャンルの人としょっちゅう会ったとしてもね、それだけだと切磋琢磨していけないのね。知らないジャンルの人と仕事してると、いつの間にか刺激を受けてるの。だからそういう機会は必要だと思う。

まり ちなみに由芙ちゃんは、どこで歌うことが多いの?

寺嶋 今はアイドルイベントが多くて。

小林 アイドルイベントってどんな感じなの?

寺嶋 1公演でだいたい5組とか、多いと20組ぐらい出てきて。1組10分とか15分とかでどんどん入れ替わっていくようなイベントですね。でも、そういったイベント以外にもバンドさんと一緒にやったり、シンガーソングライターさんとやったりもしてて。アイドルのライブって楽しいなって思ってもらいたくて、別ジャンルのイベントにも出るようにしてますね。私のことももちろん好きになってもらいたいけど、私をきっかけにアイドルを好きになってもらいたいなって。

みずえ 偉いなあ。

寺嶋 私もアイドル好きだから、仲間を増やしたくて。

“下世話”であることの大切さ

──小林さんは今回たくさんの若手のアーティストと競演されますが、いつもと気合いや心構えが違ったりしますか?

小林 ライバル心があったりっていうことはないですよ。アーティストとお客さんのみんなで同じ空間、一緒の時間を楽しもうねってことだけじゃないかな。だってみんなそれぞれの世界を持ってるわけであって。別に彼女たちが私との対バンだからって、演歌を歌うわけではないし。

つしまみれ寺嶋 ふふふ(笑)。

小林 それはできないわけですから。自分の持ってるものをきちんとお客さんに渡して、お客さんが喜んでくれる。それだけですよ。演歌あり、ロックあり……。そのほかにもいろんなジャンルの方がいらっしゃるんでしょ?

スタッフ 全会場合わせると120組ぐらい参加されますね。

小林 お客さんの多くは若者だと思うんだけど、ご年配の小林幸子ファンも面白いと思うことをしなくちゃいけないと思うの。老いも若きも面白いのが、本当に面白いってことなの。私をきっかけに、おじいちゃんやおばあちゃん、お父さんやお母さんが行ってみようかなってなったら素敵ですよね。だってこういうことがなかったら下北に行って、ライブハウスで音楽を聴こうなんて思わないかもしれないから。あとね、私は東京オリンピックがあった昭和39年にデビューしたんですけど、その次の年にビートルズが来日したの。ビートルズに熱狂したのって私よりも上の人たちで、そういう人たちってロックを欲してると思うんです。だから「SOUND CRUISING」は、そういう人たちをどんどん取り入れてほしいなって。

みずえ うんうんうんうん。

小林 でも120組以上が集まるってすごいなあ。本当にお祭りだよねえ。お祭りってドキドキワクワクするじゃない? あのね、私、お祭りがすごく好きで。あのね、下品って言葉と下世話って言葉があるじゃない?

やよい はい。

寺嶋由芙と小林幸子。

小林 私、下品は好きじゃないんだけど、下世話って言葉にはドキドキするのよ。このドキドキっていうのはいろんなことに精通してると思うの。下世話って野次馬じゃないんだけど、「何やってるの?」って思わせることなの。相手に興味を持たせること、ドキドキさせるものを渡すことなの。

──小林さんは昨年のインタビュー(参照:ニコナタ(音楽)小林幸子インタビュー)でもそうおっしゃってましたよね。

小林 うん。その勝負だと思うの、こういうイベントって。ライバルっていうんじゃなくて、自分が持ってる“下世話”な部分をいかに相手に伝えるか。

まり すごい勉強になります。

小林 お祭りでお化け屋敷とか、昔だったら見世物小屋とかあったじゃない。「おおいたち」って看板があって行ってみたら、板にピッって血がついた「板血」があったりして(笑)。実際は大したことないかもしれないけど、でもなんかあるんじゃないかって思わせるところとか。そういうドキドキ感って、ライブじゃないとわかんないと思うの。

つしまみれは「反逆部門」

──ちなみにイベント当日の“下世話”な演出は考えてらっしゃいますか?

小林 教えない!(笑)

つしまみれ寺嶋 はははは(笑)。

──寺嶋さん何か作戦を考えてらっしゃったりします?

寺嶋由芙

寺嶋 その場の空気で決めます。ふふふ(笑)。私、わりとそうなんです。お客さんと一緒に作っていくっていうか。お客さんを見て一緒に楽しもうねっていう気持ちでやりたいと思います。つしまみれさんは何か考えてます?

まり 勝手に体が動くような曲とかを選んでやる感じかな。昔は対バンっていうと「このやろうムカつく」「前に居るやつら全員ぶっ倒す」みたいな気持ちで戦ってしまってた気がするんだけど、最近はお客さんと一緒に楽しもうって気持ちになってきました。あとは1曲15分みたいな曲はやらないとか。

小林 面白いね。「このやろうムカつく!」って思いながら歌ったらどうなるのかしら(笑)。

やよい 特にフェスだと何か爪痕を残したくて、変なことやってましたね(笑)。

つしまみれのやよい(B, Cho)、まり(Vo, G)、みずえ(Dr, Cho)。

まり さっきの必勝法の話じゃないんですけど、自分たちのことを嫌いな人はほっとけばいいのに、爪痕を残そうとしてもっと嫌われる。写真禁止なのに許可したり、水撒いたり、ギターの音量を上げちゃったり。

みずえ シンバル割る勢いで叩いてみたり。でも勢い余って、スティックが髪の毛に刺さったこともあります。

小林寺嶋 はははは(笑)。

小林 いいんじゃないかな。そういうのもOKだと思う(笑)。

まり じゃあ小林幸子さん公認で反逆部門を担当します(笑)。

小林 ほかの人がやれないことをやってくれてるとうれしいよね。

まり 怒ってるほうがライブがよかったとか言って褒められたりするんです(笑)。

小林 怒るってすっごいエネルギーいるものね。人を殴ったりまずいことはあれだけど。気持ちのままに思いっきりやるって大切なのよ。

Contents Index | TOP
小林幸子×つしまみれ×寺嶋由芙 シモキタ女子座談会

Shimokitazawa SOUND CRUISING 2014

InterFM presents Shimokitazawa SOUND CRUISING 2014

2014年5月31日(土)

東京都 下北沢GARDEN / 下北沢ERA / 下北沢BASEMENT BAR / 下北沢ReG / 下北沢ReG Cafe /下北沢MOSAiC / 下北沢THREE / 下北沢Daisy Bar / LAGUNA / 風知空知 / 富士見丘教会 / altoto / MORE

小林幸子(コバヤシサチコ)

Shimokitazawa SOUND CRUISING 2014

1953年生まれの女性ボーカリスト。1963年、9歳で作曲家古賀政男に師事し、1964年シングル「ウソツキ鴎」でデビュー。同曲が20万枚の大ヒットを記録する。1979年1月リリースの「おもいで酒」が200万枚を超えるセールスを記録し、同年末「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たす。以来「もしかして」「雪椿」「越後情話」などヒット曲の数々を引っさげ、現在までに同番組に33回出演し、1980年代末頃からはステージ演出にも注力。NHKホールのステージをフル活用した舞台装置と衣装が年末の風物詩のひとつと目されるようになる。他方、コメディやバラエティ番組、テレビドラマなどにも出演。また映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル」に主題歌を提供するほか声優として登場するなど、その多岐にわたる活動を通じて幅広い年齢層の人気を獲得する。さらに2012年、ニコニコ生放送「小林幸子降臨!『茨の木』夢は捨てずに生放送」「ニコニコ大忘年会2012 in nicofarre」に登場。2013年には歌ってみた動画「ぼくとわたしとニコニコ動画を夏感満載で歌ってみた」を投稿し、イベント「ニコニコ町会議 in 名古屋」「ニコニコ年越し!小林幸子カウントダウンLIVE ~オープニングアクト:ダイオウグソクムシ~」に出演するなど、ニコニコ動画を積極的に活用。ネットユーザーの多大な人気を集めている。

つしまみれ

Shimokitazawa SOUND CRUISING 2014

1999年に千葉大学のバンドサークルで出会った、みずえ(Dr, Cho)、まり(Vo, G)、やよい(B, Cho)によって結成。コピーバンドを経て、オリジナル楽曲の制作を開始する。2001年から大学外でもライブ活動をスタートさせる。2004年の初渡米以来、コンスタントに海外ツアーを行いワールドワイドな活躍を見せる。2009年4月に300円シングル「タイムラグ」でメジャーデビューしたのち、翌2010年にMojor Recordsを設立して独立。2014年に結成15周年を迎え、2月には初のベストアルバム「つしまみれまみれ」をリリースした。ポップでキュート、少し毒のあるガールズロックで音楽ファンを惹きつけている。

寺嶋由芙(テラシマユフ)

Shimokitazawa SOUND CRUISING 2014

1991年生まれ、千葉県出身の女性アイドル。幼少期にジャズダンスを習い、中学校では演劇部に、高校ではアコースティックギター部に所属する。大学1年のときにアイドルとしての活動を始め、2014年2月にシングル「#ゆーふらいと」でソロ名義でCDデビューする。ゆるキャラに造詣が深く、ゆるドルとしても活動している。


2014年5月29日更新