ただ曲を書いてバンドで演奏してるだけ

──ここまでの皆さんの話を総合すると、今回のアルバムは特にコンセプトもなく、曲を作って「せーの！」で演奏してみたという感じに聞こえるんですが。

一同　あはは（笑）。

熱田　でも、まあそうだよね。

園田　うん。

──今まではもっと明確なテーマがあって、制作も緻密に進めていたのに、今回は勢い重視になったというか。

園田　そうですね。これまではインストバンドだからこそ、やっぱりそういうところを明確に、アルバムもちゃんとテーマを決めて作ってたんですよ。とはいえライブになると、古い曲も新しい曲も一緒にやるし、なんかもう何を目指してるのかもわかんない感じになってきて……（笑）。

──それはいい意味でですよね。

園田　うん、そういうものを楽しんでくれたり、感動してくれたりする人がいるっていうのも事実で。そうした状況をこの1年ぐらいでまた体感して、それでできあがったのが今回のアルバムなんです。

──でもテーマを設けなかったというのは、言い方を変えれば、頭で考えていた部分から解き放たれたということでもありますよね。

園田　ああ、そうです。感覚としては、ただ曲を書いてバンドで演奏してるっていうだけ。で、その一番イキのいいテイクを残すために一発録りやアナログテープなんかも試してみたっていうことで。

──肩の力が抜けて、よりバンドらしいバンドになれたということ？

園田　そうかも。なんかそれうれしいな。

──アルバムのサウンドにもその勢いは反映されてますね。

熱田　最初にアルバムを作ったときから「ライブ感を詰め込みたい」っていうのはずっと言ってたんですよ。でも何枚アルバムを出しても「CDよりライブのほうがカッコいい」って言われてて（笑）。

──それはライブのアンケートとかで？

熱田　そうです。だから今回も特に方向転換をしたつもりはなくて、ライブ感のあるアルバムを作りたいっていう試行錯誤をずっと続けてるだけなんですよね。

園田　でもこのアルバムを聴かせた人にも「やっぱりライブのほうがいい」っていっぱい言われましたけどね（笑）。だからもうあんまりそういうの気にせず、楽しく生きていけばいいんじゃないかなって。

熱田　まあね。「CDのほうがいいね」って言われたらそれもまた悲しいですからね。

バイオリンがない曲があってもいい

──今回はゲストも多彩ですね。和楽器集団「ざ・五人囃子」を招いた「討入前夜」が特に印象的でした。

園田　一部の人からは迷走してるって言われましたけど（笑）。

一同　あはは（笑）。

園田　「討入前夜」はとにかく和風な曲を書きたくて。そうすると面白いもので、ここに琴が入ってほしいとか、ここは鼓が聞こえててほしいとか、そういうイメージが自然と膨らんでくるんですよ。だからアルバムの中では、もしかしたらキワモノっぽく聞こえるのかもしれないけど、曲としてはただ素直に、鳴ってほしい楽器の人に手伝ってもらったっていう感じなんですよね。

──でもソノダバンドはボーカルこそないものの、バイオリンもチェロも鍵盤もあって、普通のスリーリズムのバンドに比べて作れる音の幅がかなり広いですよね。さらに和楽器を入れることで、とっちらかってしまう心配はなかったですか？

園田　いや、やっぱりそこは曲ありきで、だから逆に言うとこの曲は鍵盤いらないんじゃないかと思えば弾かないし。この6つの楽器でやろうっていうこだわりも、今はあんまりないのかもしれないです。例えばバイオリンが全くない曲があってもいいと思うし、逆にゲストが大勢参加する曲があってもいいと思うし。