「ギンガイアン」の世界は今も続いている
──「SLENDERIE ideal」は過去にSLENDERIEから作品を発表した方も参加していますが、RGさんはものまねのレパートリーの1つであるカルロス・トシキ&オメガトライブの楽曲を扱いつつ、SLENDERIEらしさのあるアレンジでカバーされていて。
RGさんは「『アクアマリンのままでいて』をカバーしたいかな」って即答してくれましたね。僕の気分とRGさんの気分に加え、SLENDERIEならではの要素をミックスする必要があったので、アレンジは誰がいいかな……と考えていくうち、歌謡曲に詳しい斉藤伸也さん(ONIGAWARA)にぜひお願いしようと思ったんです。原曲は都会的な雰囲気ですけど、もっとシーサイドな感じにしてみたくて。そういうエッセンスを加えるためにはどうしたらいいかご相談しました。あとはRGさんに歌ってもらうとき、やたらドラマチックに2番へ向かいたかったので1サビの最後にブレイクを入れていただきました。
──ブレイクの部分は藤井さんのアイデア?
斉藤さんの用意してくれたデモもブレイクが入っていて、すっごくよかったんですけど「意図してなかったです!」とおっしゃってました(笑)。RGさんものびのび歌ってくださいましたね。
──椿鬼奴さんの「Love's Moment」は架空のアニメ「超空のギンガイアン」(参照:椿鬼奴「IVKI」特集 椿鬼奴×堂島孝平×林原めぐみ 鼎談)のスピンオフ作品「宇宙孤児イブキ」のエンディングテーマとのことで。鬼奴さんはまだ「ギンガイアン」の世界から抜けきれていない状態なんですね(笑)。
椿さんにどんな曲が歌いたいか聞いたら「ギンガイアン」の話しかしなかったですから(笑)。「宇宙孤児イブキ」がどんな作品か教えてもらったあと「その世界観を曲にできたらいいですね」という話になって、アルバム「IVKI」のプロデュースをお願いした堂島さんに作曲をお願いしました。「IVKI」では林原めぐみさんやPUFFYの(大貫)亜美さんに作詞をお願いしたんですけど、「Love's Moment」も「ギンガイアン」シリーズの新作としての目玉が欲しかったので、椿さんご自身に歌詞を書いてもらったんです。そうしたら2パターンも用意してくださって。「ギンガイアン」のストーリーは彼女の中でずっと続いているので、僕も椿さんのファンとして「まだまだ続けていかないといけないな」と背筋の伸びる思いでした。
僕はいつでもジョイナス!
──伊礼彼方さんは「IVKI」「Elegante」に続いての参加になりますけど、すっかりSLENDERIEレギュラー陣の1人になりましたね。
もう当たり前のように「伊礼さんの新曲も作らなきゃ」と思ったんですけど、よくよく考えたら伊礼さん、グランドミュージカルのお仕事が決まっていましたし、スケジュール的に難しそうだったんです。でもご相談したら「できる限り都合を付けるので、やってみましょう!」と言ってくださったんです。「Elegante」は伊礼さんのさまざまなキャラクターを表現した作品になったんですが、今作の収録曲「NEO POSITION」では僕がカッコいいと思う伊礼さんの魅力を表現させていただきました。
──楽曲の中で描かれるシチュエーションがちょっと変わってますね。
都会の男がある人物と出会った、というだけの歌なんですよね。2人が出会った瞬間の描写がすごくカッコいいけど、何かが始まったわけではないんです。すごく難しいお題なんですけど、それをARAKIさんに話したら「わかりました!」って全然躊躇なく用意してくれてビックリしました(笑)。
──藤井さんが思い描くイメージをうまくすくい上げることができる楽曲制作陣がいるのは心強いですよね。
中には「巻き込まれた!」と思っている方もいるかもしれないです(笑)。僕はいつでもジョイナス!って気持ちですけど。
──早見優さんはジョルジオ・モロダーの「Right Here, Right Now」を歌っていますが、これも藤井さんの希望を受けて決まったんでしょうか?
はい。冨田さんにアレンジしてもらうのも最初に決めました。「Right Here, Right Now」は明るい曲ではなくて、かと言ってメロウな感じでもない、早見さんのブライトな雰囲気からは想像つかない曲ですよね。でも、どうしても「Right Here, Right Now」のカバーをお願いしたくて。早見さんはプロですし大先輩ですから、後輩の私がお願いするなんてすごく失礼になってしまうんですけど、「OK、わかった!」と引き受けてくださったんです。アルバム「Delicacy of Love」に続き、今回も早見さんに甘えさせてもらいました。
藤井隆×YOU×パソコン音楽クラブの不思議な組み合わせ
──そして藤井さんご自身も、作曲にパソコン音楽クラブ、作詞に盟友YOUさんを迎えた新曲「14時まえにアレー」で参加しています。
実は今回自分のことは考えていなくて、ほかの方の楽曲制作に時間をかけていたんです。でもふと、「僕だけ歌わないのは、なんだかスカしててやだな」って。皆さんにいろいろチャレンジしていただいている以上、自分も何かチャレンジするべきだと思ったんです。パソコン音楽クラブさんは以前に友達のオススメで聴いてて、お若いサウンドでいいなって思っていたんですけど、僕の声とマッチするかは未知数で。でも悩んでいるうち、前向きな気持ちが生まれたので挑戦してみました。
──パ音の2人はまだ20代なんですよね。
はい。お話ししてみると、若々しいを通り越して少年みたいな雰囲気で。だから初めはどう相談したら伝わるだろう、と言葉を探りましたがお二人が共通点を見つけてお話ししてくださったり、アイデアもたくさん提案してくださって、すごく楽しかったですね。エンジニアの兼重哲哉さんも、いい意味で今までの僕じゃない感じにトリートメントしてくれて。YOUさんの歌詞も変わった歌!って感じでいいですよね。
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自分の仕事は“特殊”であって、決して“特別”ではない